〜*第6話-7*〜
なんだか殺気のようなものも感じる。そんな簡単に人を消したら駄目でしょう。
私なんかの為に。
「ちょっと待ってください、お兄様!それは駄目ですからね」
「なぜ?生かしておく必要は無いだろう」
何が問題なんだ。と言わんばかりの態度。これはいけない。
シスコンもここまでくると問題よね。
「…嫌です。私の事でそんな事しないで」
自死をした私が言えた道理ではないが、やっぱり私のせいで誰かが死んだり、それに関わった周りの人が悲しむのは嫌なのだ。
「お兄様の、この暖かい手で誰かを殺さないで、ね?」
あざとい、とか言われても構わない。兄の両手を握り私の頬に当て情に訴えかける。
高位貴族であれば、平民や下位の貴族の命は簡単に奪える時代だ。それでも…私が憎いと思う相手でも、誰かにとっては大事な人で、悲しい思いをさせてしまうから。
身をもって実感した事でもある。前世でもこの世界でも。
「・・・」
何も言ってくれない兄。あざと過ぎただろうか。
私よりも経験豊富だし、こんなんじゃ絆されないかな。そう思いつつ見つめていると、無言だったがスッと顔を横に向けられる。
「ーッッ、それはズルいだろう」
顔には出ていないが、耳が赤くなっているのが見えた。
変わらず私には甘いままでいてくれる。それがとても嬉しくて。
「お兄様?こっち向いて下さい。ダメですよ?」
「…全く、ズルいね。お前は」
視線を私に戻すと、困ったように笑いながら了承したかと思うと、顔を引き寄せられ、そのまま額にキスを落とされる。
「可愛い可愛い妹の頼みだからな。それとこんな風にお願いするのは私だけにするように。良いな?これは命令だからね」
妹に向けるような笑みではないと思うほど妖艶な笑みで。
私の事をズルいと兄は言うが、私も兄の泣き顔や、お願いには弱くなるから同じではなかろうか。と思いつつ、落ち着いてくれたから一安心だ。
◇ ◇ ◇
「お兄様、アベル、お願い・・邪魔をしないで」
明日は通学予定なので、寮に戻ろうとする私を兄弟揃って引き留められ家を出て行けない。
従者達は慣れた様子で私達を見守っているし、私を助けようとしてくれない。頼みの綱の父達は用事が出来て公爵邸を出ている。
まぁ、そんな父も『アメリアが心配だぁ!』と駄々をこねていたが、母に引きずられて仕事に向かったし。本当にアルベルティ公爵家の男は甘えん坊が多いこと。
「嫌だよ、倒れて帰って来たばかりなんだよ?今日までいた方が良いよ?」
ウルウルと涙を溜めて、訴えかけえるアベル。
「そうだ。体調も万全ではないだろう。側で見張らないと…また…」
兄は兄で、私がまた死のうとしないか心配な様子。
これは自分の責任なので頭を悩ませる。
「アベル、お姉様はもう大丈夫だから心配はしないで。食事も食べるのみたでしょう?お兄様…に関しては、私を信用して下さいと言えないけれど、心配するような事はしませんから」
引き剥がす事も出来ず、抱き着く2人の頭を撫でる。
リリィ達にも今日まで公爵邸で過ごした方が良いと言われたが、どうしようかしらね。
学園に戻るのは怖い。ハリソン…義弟の事を考えると足が震える。今は少し落ち着いているけど、また同じようになるかもしれない。でも、これは私に架せられた運命だと思うから。
逃げ回るわけにはいかない。それに殿下とのダンスパーティーも目前だ。
「あ、そうだ。ダンスパーティーが終わったら公爵邸に暫く帰ってくるっていうのはどうですか?だから、数週間だけ我慢して欲しいな」
交換条件というわけではないが、提案してみるとその条件に2人は直ぐに了承した。
…ちょろすぎるわ。この兄弟




