〜*第6話-5*〜
「うーん、、」
なんだろう、身体が動かない?
薄く目を覚ますと、目の前には私を抱きしめながら眠る人。
部屋はまだ薄暗く、ボンヤリとした視界では良く見えない。
「奏汰…?」
今までのは悪夢だったのかな…?胸元に顔を寄せ再度目を瞑る。
その数秒後頭が覚醒した事で視界もクリアになり、身体を起こし隣で眠る人物を確認する。
「お兄様がどうしてここに・・っあ、」
そうだ…昨日死のうと思ったのに、サーシャに邪魔をされて、兄を泣かせてしまったんだ。
腕はサーシャか兄が綺麗にしてくれたのか、血は付いておらず、シーツ等にも飛び散っていた血の跡形も無い。まるで昨夜の出来事が夢だったかのように。
「…ん、アメリア?」
私が起き上がった事で、起こしてしまったのか兄が目を覚ます。
「起きたのか、痛い所はないか?気分は悪くないか?」
少し擦れた声で直ぐに私の心配をする兄に、ズキリと胸が痛む。
意識を飛ばす前に、兄に奏汰の姿をみたせいだろうか。
「…ごめんなさい。お兄様、私…」
昨日あれほど涙を流したのに、兄の声を聞いた途端どうしてまた涙が出るのか。
身体の年齢のつられてか、感情が強く作用するようになった気がする。
「大丈夫だ、生きていてくれたのなら。ただ…もうしないでくれ」
思い出してか頬に触れる手が微かに震えるている。『はい』って一言言えば良いのに、それが出来ない。今は少し落ち着いたが、きっと私はまた死にたくなる。
兄の手に自身の手を重ね『ごめんなさい』とだけ呟く。
「……分かった。では私はその度にお前を引き留めよう。嫌われたとしてもな」
後頸に手を回し、私をベッドに再度横たわらせ抱きしめる。
「こうやって腕の中に居てくれるだけで、私は生きていけるから」
「ーッッ、馬鹿ですね…お兄様は本当、馬鹿ですよ」
兄の服に私の涙が移るのも気にも留めず、優しく私の頭を撫でる。
「リア、もう1度寝て起きたら聞きたい事があるんだが」
「…聞きたい事…ですか」
「あぁ、駄目か?」
撫でる手の心地よさに、ウトウトとし始めたタイミングで話しかけられ、何とか「分かりました」とだけ伝え眠りに落ちた。
◇ ◇ ◇
次に目を覚ますと、ベッド柵に背を預け、本を読みながら私の頭を撫でる兄の姿が。
ずっと撫でてくれていたんだろうか。
「ん?起きたのか?おはようリア」
撫でる手を頭から頬に手をゆっくり移動しながら話しかけられる。今日は一段とスキンシップが激しいわね、と思いつつ
「おはようございます。お兄様今何時ですか?」
「ん?やがて正午だな」
わー、そんなに眠ってしまっていたのね。
「ずっと側に居たんですか?」
「そうだな、ほぼここに居たよ。見張らないといけないからな」
そう言って笑みを浮かべる兄。重い空気にしないようにしてくれているのだろう。
「そうですね」と苦笑いを浮かべ、身体を起こす。
「お腹空いたろう、何か持ってこさせようか」
「いいえ、今は大丈夫です。それより私に話があったのでは…?」
「そうだなぁ。それよりもまずは食事の方が大切だ。話はそのあとにな」
それから直ぐに、兄付きの執事に指示をして私の部屋で昼食を摂る事に。
サラダとパンだけを食べて終わろうとすると、兄がそれを許さずスクランブルエッグに、ソーセージ等も口に入れられる。
無理矢理ではないものの、直ぐに限界がきた私に呆れられつつ食事を終え、本題に入る事となった。




