〜*第6話-4*〜
ーside エリック
アメリアの様子を見にいくと廊下まで響く『死なせてよ』というアメリアの叫び声。
只事ではないと感じ、部屋に押し入ると血まみれの腕や服に、血の臭い。
自身の血の気が一気に引いていく。
最初は私の姿等見えていないかのように、知らない名前を呼び、話を進める。
話を聞こうにも、死にたいとしか言わなくて、本当に精神が限界なのだろう。
抱き締め、少しでも話を聞きたくて出来るだけ穏やかに声を掛ける。
話しを聞いていると、何とか言っている事が理解出来た。
サーシャという人物が死ぬ邪魔をし、きっと・・奏汰という人物をこの子は愛しているのだろう。
その名はあの日、眠っているアメリアの口から聞いた名だった。
聞いたその日から調べたのだが、そのような人物は存在しなかった。
それからも事件等色々な事があり、心落ち着かない日が多く、それに加えて
殿下との仲が修復し、嫁いでしまうのだろうか。
花壇で出会った男を好きになったのだろうか。
等と色々な事を考え、ジリジリと押し寄せる焦燥感を押し殺す日々。
寮暮らしが始まってからは、何か調べていたようだが、護衛に指示し隠しながら何を探っていたため、何を探っていたのかは分からずじまい。
護衛にはアメリアの命令も守るよう指示していた為、付いて来るなと命令を受ければ護衛の目も離れた。
一体この子は何を隠しているのか。
それさえも聞けない、聞いたらきっとこの子は居なくなってしまう。
それでも愛しい子で、可愛い妹…ではあるのだ。
「生きてくれてて…本当に良かった」
静かな寝息、私より低い手の温もり。
ベッドで眠るアメリアの頬を起こさないよう撫で、あの方とのやり取りを思い返す。
父から聞いていた話が本当だったとは。父上と作戦を立てなければいけない。
絶対に言い伝え通りになんてさせない。私が…私達が守って見せる。
「だから私の側で…どうか心穏やかに過ごして欲しい。ゆっくりお休み。私の愛しい子」
額にキスを落とすと、キュッと心臓が捕まれたような感覚に襲われ、溢れそうになる涙をなんとか堪える。
『お前の生もなんとも難儀な…』サーシャ様は一体何をご存じなのだろうか。
難儀な日々を送ったつもりは無い。
この子に出会えた事が、私の唯一の幸福であり、宝だと思えるから。
まぁ、あの方が私の何かを知ったとしても、この子の望みを叶え続ける為にも、絶対に悟らせるつもりもない。私は…唯一の 騎士-ナイト-なのだから。
安心したのか、徐々に眠気を伴うと、
『ありがとう。これからも頼むよ』と、どこからかそんな声がした気がした。




