〜*第6話-2*〜
「アメリア、何をやっているんだ!!」
手に持つガラス片を私から奪い取り、傷の確認をするも
既に傷が無い事にビックリしている様子だ。
サーシャが魔法を解いたのか、身体が動くようになった。
「一体…なにをしていた、この状況はなんだ」
「・・・・」
兄の問に答えず、兄の後ろに待機するサーシャに視線を移し声を掛ける。
「サーシャ二度と邪魔をしないで。私は・・もう疲れたのよ」
『そうだよ。早く死のうよ』
また幼い私の声がする。床に散らばるガラス片を手に取ろうとするも、それはまた邪魔をされる。
「止めてくれ、アメリア…頼むから。何があったか話してくれないか」
兄の震える腕が、私を強く抱きしめ動きを止める。
「死ぬの。もう疲れたの」
「あぁ、それは聞いたよ。何に疲れた?私に理由を教えてくれないか」
「…理由」
子供に問いかけるように、穏やかな声で私に話しかける兄。
「生きるのが嫌なの。私は生きていたら駄目なの…皆が不幸になるから」
こんな穢れた私があの人と同じ所にいけるか分からないけど、もういい
「奏汰の…彼が許してくれるなら、あの人の元に・・。私が居るとここも・・またあいつに奪われてしまうかもしれない。皆が不幸に…」
支離死滅な言葉を言い続ける私に、抱き締める力を強める。
「ならないよ。お前が居なくなった方が私と公爵家の人間は不幸になってしまうよ」
「・・・・」
「それに誰にも奪わせたりしない。ここは私が守るから。お前は心配しなくてもいい」
そんなことない。あいつは・・絶対に何かしてくるんだ。
『菜々美…』としつこく名前を呼ぶ。
うん。そうだね。分かってるよ。
「ごめんね、お兄様」
魔法を唱え兄の動きを止め、ベランダまで歩いていく。
動けなくなった兄は絶望の表情を浮かべ、「止めるんだ!アメリア!」と叫ぶ。
あぁ、綺麗な満月だ。柔らかい風が私の頬を撫で心が落ち着いてくる。
サーシャにはもう邪魔はさせない。
「…アルベルティ公爵家に生まれて幸せでした。この家の人を守りたいと思う程に」
感謝の意を兄に伝える。貴方から家族に伝えて欲しい。
「ごめんなさい、許して何て言えないけれど、ありがとうございました。お兄様」
ニコリと笑みを張り付け、腰掛けた手すりから手を離し身体を後ろに倒す。
「アメリア!!駄目だ!戻ってくるんだ!止めてくれ!」
奏汰…怒るかな。いや、悲しむかな。目の前の兄のように…泣かせてしまうかな。
ズキリと胸が痛むが、もう生きたいとは思えないの。
「さようなら」
もう2度と生まれ変わりませんように。




