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死にたがりな悪役令嬢  作者: 緑茶
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〜*第5話-9*〜

思いがけない問に目を見開く殿下をじっと見つめ返す。

私が真剣に答えを知りたいと理解したのか、気まずそうに口を開く。


「そう、だな。私はその状況にならないと分からないが、彼女のような決断を取るかは分からない。想像してみるも、怒りや憎しみの方が強くなりそうだと思うが」


そうよね、この人はきっとそう答えてくれると思った。


「アメリア嬢はどうなんだ?彼女と同じ決断をするのだろうか」

至近距離で見つめ合っていた事に気付き、椅子から立ち上がり誰もいない舞台に視線を送りながら口を開く。


「私も殿下と同じように、怒りや憎しみが強くなると思います。愛する人を失う喪失感なんて、2度と味わいたくないですわ。きっと…その人を許す事なんて…」

途端に強い頭痛が私を襲い、ザザッと砂嵐のような景色の先で、前世の私が泣いているのが見えた。

どうして、貴女は、私は泣いているの。


強い痛みに立っていられずフラッと身体が傾き、倒れると一瞬身構えると身体が抱き寄せられる。

「大丈夫か、アメリア嬢」

「ッッ、えぇ。申し訳ありません。ありがとうございます。」


そっと殿下の胸に手を当て、無事を伝えるとそっと開放される。心配そうに私を見つめる殿下に笑みを浮かべ「ただの立ち眩みですから」と嘘をつく。

…あの光景はいったい…私は何を忘れているのだろうか。あの夢の霧の先の光景が一瞬だけ見えた気がした。


◇◇◇


その後、私の体調を気にかけてくれつつ、予約をしてくれていたレストランでディナーをごちそうになった。美味しい食事に体調も回復した気がする。食事も済み窓際のソファーに2人で座り直し、外の景色を眺める。

最初のギクシャク感も無くなり、嘘のように穏やかな時間を過ごす。


「今日は誘いを受けてくれて本当にありがとう。感謝する。とても楽しかったよ」

「…こちらこそ。ありがとうございました。私も楽しかったです」


この情況で、殿下にこれから酷な事を伝えないといけないと思うと罪悪感が押し寄せるも

意を決し口を開く。


「殿下、帰る前にお話があります」

そう伝えると、殿下の肩がピクリと反応した気がする。


「私にとって、いい話だと嬉しいのだが」

聞かないという選択も出来ただろうに、従者を含め人払いをしてちゃんと聞いてくれる姿勢をとってくれた。

やはりこの人は、根は優しい人なのよね。


「ダンスパーティーが終わったら、正式に婚約破棄を殿下から行ってくれませんか?殿下の生誕祭までではなく、申し訳ありませんが」

「…」


私の言葉にふぅーと軽く息をはき、顔を抑えながらソファーにもたれかかる。

「待てない理由を…教えて貰ってもいいだろうか」こちらに顔をみせないまま、そう言葉を続ける。


「お昼に殿下が仰ってくれた言葉は嬉しかったです。殿下が私との未来を考えてくれていたこと。私を想ってくれていると理解できました」

「あぁ、その通りだ」

「それでも、私は同じ位の想い返す事は出来ないと思います。同じ気持ちを返せないのに、付き合わせてしまうのは申し訳ないのです。」

「……」

「最初にお伝えした時とは違い、貴方に相応しい相手が居ると思うのです。心から貴方を想ってくれる相手が。それこそ、本日の劇の彼女のような素晴らしい方と出会える筈です」


すると私のその言葉に、ソファーから背を起こし手を握り締めて鋭い視線を私に向ける。


「それはどこの誰だ。誰が私をそう想ってくれる」

「それは…」

「そんな分からない未来には興味がない。私はアメリア嬢を好きだと、私の将来の王妃になって欲しいと言っているのだ。何処の誰でもない君にだ。私と同じくらいに想って欲しいなんて願わない。ただ、私の側にいれくれないだろうか」


ソファーから立ち上がり、私の目の前に跪いて優しく手を握り締められると、その手は微かに震えていた。

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