〜*第5話-4*〜
翌日は、アベルと一緒に遊んだり母と一緒にゆっくりお茶をしたり、鈍った身体を散歩をしてならしたり、ゆっくりと過ごした。
アベルが勉強の時間になり、母と2人きりになった時考えていることを相談してみた。
すると反対されるかと思ったが、『貴方が思うようにやってみなさい』と言ってくれた。
その言葉に勇気を貰い、自身の考えを夕食後に話す事にした。
「お父様、お話したい事があります」
4人の視線が集まり少し緊張する。母に視線を向けると穏やかな表情で少し落ち着く。
怪訝そうな兄、『どうした』と少し表情が硬い父。
軽く深呼吸をして、意を決して口を開く。
「私は、この家を出て学園の寮で暮らそうかと思います」
その言葉に2人が目を見開き、アベルは困惑の表情を浮かべている
「アメリア…どういうことだ。私はそのような事聞いていない」
いつもより少し低い声。兄が怒っているのがとても分かる。
でも昨夜自分で考えに考え抜いて、決めたことだ。
殿下が襲われないか、その事を探るために寮に入る事に決めた。
あの人も寮生活を送っているから、同じ敷地内に居た方が分かりやすいし、探りやすだろう。
「一体どんな心境の変化だい、その他大勢が住む寮になんて絶対に入りたくないと言っていたのは、君じゃなかったかい?昨日のダンスパーティの事と言い、どういう事だ?」
ニコリと微笑んでいるが、父も少し怒っている。
きっと、私が護衛を増やす事に納得していないと思っているのだろう。
「…。少し気になる事が出来たのです。それに仲良くなったご令嬢の方々も出来たので、今は寮生活をしてみたいと思っておりますの」
食後の紅茶を飲みながら、心を落ち着かせながら話す。
「お姉さま…?」隣に座るアベルが泣きそうな声を出しているので、慌てて頭を撫でる。
「大丈夫よアベル。貴方が会いたいと思ってくれたら直ぐに帰ってくるし、お休みの日だったり、私も会いに帰ってくるから。今と何も変わらないわ」
「本当?…分かった」ニコリと笑みを浮かべる頭を撫でて、アベルの従者に時間だからと、部屋に連れて行ってもらった。
残った大人組に視線を戻すと、まだ納得していない様子。
「アベルにはあのように伝えましたが、後は私がアルベルティ公爵家の令嬢として、殿方に嫁いだ時の付き合いの縁も作っておかないといけないと思いましたの。いつまでもお父様とお兄様の庇護下に居る訳にはいかないでしょう。」
そう言ってニコリと微笑むと、一瞬何も言えなくなったと思ったが、『アメリアがそんな事気にしなくて良い』『そうだ。我が公爵家は愛娘1人くらいずっとここにいてくれても構わないんだ』
と言ってくる始末。すると大きめな音でガチャっとカップを置く音がしたと思うと
「いい加減になさい2人とも。娘、妹の成長を大人しく応援できないのですか」
いつも笑顔の母から笑みが消え、男2人は途端に大人しくなる
ーひぃ、やっぱりこの家のボスはお母様だわ。
「分かった…ただ、護衛は必ず付かせる。そして、その気になる事とやらが解決したら、一旦寮から戻ってくるのだぞ。よいな」
渋々といった様子で父から、条件付きで許可が出た。
「それでは、私も職員寮に入ることにしよう」と兄が言い出したので、「やめて下さい。お兄様はお父様の仕事も手伝っているのだし無理でしょう。」とピシャリと言い放つと、怒られた子犬のようにシュンとしている。
兄が一緒にいたら、探るのが難しくなってしまうのが目にみえている。
少しでも危険な事をしようものなら、きっと感づかれるだろうし。




