〜*第5話-3*〜
目を開くと、いつかの真っ暗な闇が広がっている。
…久々な感じがするわね。
「いるの?アメリア」
呼びかけると、クスクスと笑う声が聞こえ背後に気配がする。
『いるよ、お姉さん』
振り向くと、今度は小さいアメリアが一人で立っていた。
フードを被った女の子が居ない?
『あの子は今日居ないよ。今日は来たくないって言ってた。でも何か嬉しそうだったんだけどなぁ。教えてくれなかったの』
どこか不満そうな顔をして、ぬいぐるみを抱きしめている。
「心は読まないで…それより今日はどうしたの?」
『ふふふ、うん。良い事を教えてあげようかなって思って』
急に目元がみえなくなり、口元だけがみえて歪な笑みを浮かべている。
『目覚めたよ。あの人が目覚めたの。あの人は殺される。きっと殺される。嬉しいでしょ?ねえ、お姉さん』
「目覚め…?誰が殺されるの?ねぇ教えてよ」
『まだ秘密、ふふふ、きっとお姉さんも嬉しいよね?邪魔したら…駄目だよ。それを教えたかったの。あはははは』
そう言って、楽しそうに暗闇に消えていった。
◇◇◇
翌朝今日で丁度一週間という日なのに、とても目覚めが悪かった。
あの人が目覚めたの?あの人は殺される?
一体どういうことだろうか。誰が死ぬのだろうか。紙に夢で言われた事を書き出し整理する。
私も嬉しいって事は…最初の夢での事も含めると
「まさか…殿下…?」
いやいやいや、ちょっと待って。前世のアメリアの記憶には殿下が死ぬ事はなかった。
どういう事だろうか。何か未来が変わっている?
私が襲われたこともそうだし、前世では無かった事が起きている。
「…もし私の仮説が本当だとして、それに事件が起きるのはいつか分からない」
しょうがない、不本意だがダンスパーティーで探ってみよう。
◇◇◇
それから、再度主治医に診察してもらい、もう外出や身体を動かしても良いと許可は出た。
ダンスパーティーの件を家族に報告すると、予想通り心配されて無理はしない方が良いと反対された。兄と父は殿下が気に食わないのもあるのだろう。
なんとか説得して、ダンスパーティーには参加できる事になっけど。
その日の夜、就寝の準備をしていると兄が部屋を訪れて来た。
不服そうな顔からは、本当に殿下と参加するのか、という気持ちが漏れている気がする。
「どうしたんですか、お兄様」
「…はぁ、その顔は意思は変わらないか」
私の顔をみるなり、諦めたように深いため息をつく。
「はい、心配かけてごめんなさい。無理はしませんから」兄からしたら、私が何をしたいのか分からないだろうな。
ちょっと落ち込んでいると、頭を撫でられ「お前のしたいようにすればいい」と笑いかけてくれてホッとする。
「ドレスを新調しようか。最近ドレス等全く購入していなかっただろう」
アメリアは既に沢山持っているから、新たに新調しようと思えなかったのよね。派手すぎて何着か地味めな物を購入したけれど。宝石も沢山あったし。それに…
「あ、それは大丈夫です。殿下から頂きましたから」
昨日貰ったドレスを、ドレスルームから持ってくると兄の表情がピシッと固まる。
…うん。思っている事がなんとなく分かります
「アメリアは、それを着ていきたいのかい」
「んー、悩んではいるんですが、そうしようかと思ってはいます。せっかく頂きましたし」
かりそめの婚約者なのに、王家の色を象徴するドレスは着たくはないが、夢の事もあり出来るだけ殿下の側で様子をみていたいのも事実。
「そうか・・。分かった。護衛は任せなさい」
寂しそうに微笑み、優しく私の頭を撫でて部屋から出て行く兄を見送る事しか出来なかった。
私の曖昧な態度に呆れてしまったのだろうか。




