〜*第4話-15*〜
「お嬢様、旦那様がお見えです」
兄のお小言を受けて暫くすると、リリィが部屋に顔を出す。
そう言えば、事件について話をしてくれると言われていた事を思い出した。わざわざ部屋まで来てくれたのね。
「ありがとう。入って貰って大丈夫よ」
心配性の兄にベッドから降りるな。と言われたが流石に気が引ける為、ソファーに移動する為に立ち上がる。移動している最中に入ってきた父が「寝ていなくていいのかい」と心配そうに声を掛け来たため、笑みを浮かべ大丈夫です。とだけ伝えた。
向かい合わせで座り、父が把握している事件について説明してくれた。
そして、私が公爵家に運ばれた姿をみた兄が今にも犯人を殺しに行かんとばかりに、怒りを露わにして止めるのが大変だったと知り、深々と頭を下げお詫びをした。
「この事件については、私も許す事は出来ないから厳しく取り調べをさせ、犯人は処理をしておくから安心しなさい」
・・あの兄にしてこの父ありよね。ニッコリと笑みを浮かべているがその瞳はとても冷たい。
笑いながら怒るタイプの人間が一番恐ろしいわね。
あらかたの事件の内容に不足がないか、確認の話が終わった後、父が真剣な顔をして
「それと侍女から聞いたが、アメリア…お前が犯人を吹き飛ばしと聞いたが本当なのか?」
と静かに口を開いた。
ーそうだよね。聞かれないとは思っていなかったけど。
嘘を言うべきか…サーシャの事まで伝えたらどうなってしまうのか。
「コレは私とエリックだけが知っている事だ。侍女にも口止めをしている」
「そう…なのですか」
私は魔法使いなんです。なんて…こんな事家族にも言うべきではない気がする。
それに、私が魔法を使えるって知ったら王家に捕まってしまう可能性もあるわよね。
【この王国護りし者、人智を超える力をふるいて、我が王国に仇なす者討ち滅ぼす】
【その者に、魔法使いの称号与え、未来永劫我々の国を護りし英雄となる。】
授業で習った事を思い出し、ゾッとする。
絶対に嫌よ。家族は守りたいけれど、この国を守り続けるなんて耐えられない。
心苦しいが、家族にも嘘を付き続けるしかない。
「私は…」
「もしお前が魔法を使えるとしたら、悪いが私達は何がなんでも隠し通す。」
俯いていた顔をバッと上げると、私を真っ直ぐに見つめる瞳。
それは何か決意をしたような、そんな瞳だった。
こんな真剣な人に嘘はつけないな。
この家から私が魔法使いだという事が万が一漏れたら、その時はどうにかすれば良いか。
「…私がやりました。」
その言葉に両手で顔を抑えながら、ふーっと長い息を吐き、暫くの沈黙の後
「そうか…良く正直に言ってくれた。アメリア…エリックとは情報を共有して今後はお前の警護を増やす事いなる。窮屈に思うかもしれないが…我慢してくれ」
「そんな、今まで通りで良いです。誰も知らないのでしょう?」
待って。どこか出かける度、今でも多く感じるのにもっと増やすとか無理。
「駄目だ。我慢しなさい」
「おとう」
「駄目だと言っている‼」
私の声を遮るように、怒鳴る声にビクッと身体が震えた。
父に怒鳴られた記憶がないから、ビックリして涙が出てきそうだ。
「あ…悪かった。アメリア、そんな顔をしないでおくれ」
ギュッと抱きしめられ、ポンポンと頭を撫でられる。
「私達は…お前が心配なのだ。」
…魔法使いってことは知られないようにすればいいだけなのに、どうしてここまで心配するのだろう。切羽詰まったような父の姿を見て、これ以上拒否する事が出来なかった。




