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死にたがりな悪役令嬢  作者: 緑茶
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〜*第4話-8*〜

膝に頭を預け俯いていると、コンコンコンと扉を叩く音が響く。

頭だけ扉の方に向け、返事をするか迷う。


もうこのまま寝たふりをしても良いかな。

あ、でもリリィだったら、大丈夫そうだったらお風呂に行きたいって言ってみようかな。


「リリィ?どうぞ」


返事をするとガチャッと扉が開く。こんなだらしない恰好していたら駄目よね。

姿勢を正そうとする前に、自室に入って来た人物は私を見た瞬間に息を呑んだのが分かった。


うん、私も凄くビックリしている。

姿勢を正す事も忘れそのままの状態で入ってきた人物に声を掛ける。


「お兄様・・どうしたの」


そんな私の声掛けも無視して、凄い勢いで私に近づいてくる。


「それはこちらの台詞だ。どうした、何かあったのか。体調が優れないか」


そう言いながら優しく私の髪を払うと、頬に触れる手。


「平気です。さっき目覚めてボーっとしてました」


冷えた頬が、兄の手の温もりが移り熱を帯びる。その気持ち良さに目を瞑る。

日中の気まずさが残っていたが特に気にしていないようだ。

このままで居たいと思ったが、流石に悪いと思い姿勢を正す。


頬から手の温もりが離れたかと思ったが、直ぐに両頬を掴まれた。


「・・これは、何のつもりですか?お兄様」


兄の手を掴み引き離そうとするも、力が強く離れない。

何なんだろうか。視線を合わせると真剣な顔をしているため邪険に出来ないし。

潔く諦めて、その状態のまま椅子の背もたれに身体を預け兄の様子を伺う。


「顔色も最近よくない、夜まともに寝れていないだろう」


えぇ、バレてる。どうして気付いたのかしら。


「上手く誤魔化しているようだが、食事を摂る量も減っている。服もだから少し緩くなっているだろう。私が気付かないと思ったか。・・そんなに私は頼りない兄か」


いつも笑顔の顔が歪み、苦しそうにしている。

そんな顔をさせたい訳じゃない。この家に人は信頼している。


「お兄様の事は信頼しているに決まっているじゃないですか。馬鹿ですね」


ギュッと手を掴み笑みを浮かべる。

これ以上聞いてこないで。踏み込んでこないで。私の事は放っておいて欲しいのに。


貴方が私を甘やかす度に、心が揺らぎそうになる。

ずっとこの家の子で居たくなってしまう。


「お前は!どうしてそうやって!……ッッ」


何かを言いかけたかと思うと、強く抱きしめられ

『そんなんだから、お前は目が離せないんだよ』そう耳元で囁く声が震えていた。


その言葉にドクン心臓が大きく跳ねる。

どうしてだろうか。悲しくもないのに泣きたい気持ちになってしまうのは。


◇◇◇


その後切り替えるように、いつも通りの兄に戻る。

空いている椅子に座腰掛ける兄に本来の目的を聞いてみると、夕食の時間になって呼びに来た侍女の声も届かない程熟睡しており、風邪でも引いたのか心配になって来てくれたのだという。


やっぱり私が気付かなかっただけだったのか。


「まぁ、最近寝れていなかったみたいだし、寝れたのならそれで良い。それよりお腹は空いていないか。スープでも準備させようか。食べれそうなら、もっと持って来て貰うが」


椅子の取っ手に頬杖を付き、にこやかに言われる。

ここで断ったら、食事量の事気付かれているし、また世話をやかれるかもしれない。


「夜も遅いし、スープだけで結構ですわ。太ってしまいますから」


こちらもニコリと笑顔で交わすも、『もっと太って良いくらいだ』『丸々したアメリアも可愛いだろう』等々まぁ、歯が浮く言葉をスラスラ言われる物だから、もう良いですから!と恥ずかしさからクッションで顔を隠す事に精一杯だった。


その後持って来て貰ったスープを飲む私の様子を満足気に眺めた後、兄は自室に戻って行った。


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