〜*第4話-6*〜
ーー???side
ああ、俺はなんて事をしてしまったんだ。
ごめんなさい、ごめんなさい。
泣いて許される事じゃないことは理解している。その罪を償う事なく逃げた俺は卑怯者だ。
真っ暗な闇の中で、うずくまり泣き続けていると声がする。
『主が消えた後の、かの者の姿は酷いものだろう。』
頭に流れてくる、映像が消えたかと思うと突然声が響く。
ー誰だ。そんな事分かっている。だからせめて一言だけでも良い。謝罪したい。
『お主が知る必要はない。お主の願いを叶えてやろうか。しかしよいか。お主が生きている間に出会えるとは限らぬ。そしてまた同じ事をするようであれば、其方は二度と生を受ける事は出来ぬぞ』
ー大丈夫です。今度こそ、あの人を苦しめたくない
『……そうか。では其方は業を背負いながら、かの者の苦しみも背負い生きよ』
ーありがとう。今度こそ必ず…
顔を上げると暗闇の中でひと際、キラキラと光る黄金の光から声がしていた。
誰でも良かった。罪を償う機会を貰えるならばそれで良かった。
もし出会えなかったとしても、何度でも何度でも貴方を探す。
どんな罵詈雑言を浴びせられようと、次は間違わない。
自分が光に包まれた時、黄金の光に1つだけ願いを伝えた。
そして、ただ一言“よかろう”とその言葉を最後に意識が途絶えた。
この出来事を突然思い出したのは10歳の頃だった。それまで伯爵家の嫡男として普通に育てられていた。温かい家族に、可愛い兄弟。
あの人も俺が居なければこんな生活をあの頃過ごせていたのかと思うと、涙が止まらなかった。
幼い身体では受け止めきれず、嘔吐・不眠等様々な精神的な症状に悩まされ家族にはとても心配を掛けてしまった。ただ、あの人の苦しみに比べればこんな事天と地程の差だ。
それからは、彼女を探すも姿等も変わっているだろうから、簡単に見つかるわけもなく。
数年もたてば、不眠や精神的に不安定な事と付き合う事も慣れてきた。
その間も、結婚適齢期になっても婚約者も作らずに居る俺に、両親が何度も婚約者候補を紹介してくるが、頑として受け入れる事はなく、ここまで生きてきた、
そんなただ時間が過ぎる中で、楽しみ等作らず生きてきたが、唯一花の栽培だけは続けていた。あの人が綺麗な花を見る事が好きだったから。
ーそして出会いは突然訪れた。
姿は変わったとしても、仕草や言葉使い。そして自分の魂がそう言っている
この人は、俺が焦がれ探し求めていた彼女だと。
死ぬまで探し続けるつもりでいたから、まさかこんなに早く出会えるとは思わなかった。
早く正体を明かし、謝罪しないといけないのは分かっている。その為に生きてきたのだから。ただ…いざ伝えようとすると、怖くて怖くて・・伝えるタイミングを逃してしまう。
どう伝えれば良いのか、試行錯誤している中あの女が突然現れた。
真っ赤な瞳をした、悪魔のような女は俺の前世を知っており、そしてなんと彼女の事も既に知っていったのだ。ここで取引を断ると、彼女の身の安全の保障が無く、俺の正体もバラすと言われた。
ーあぁ、臆病な俺のせいでまた彼女を巻き込むわけにはいかない。
彼女の安全は守りきらねばならない。・・俺の正体も出来れば自分の口から伝えたい。
これは俺の贖罪なのだ。必ず貴方だけは今度こそ守ってみせる。




