〜*第4話-3*〜
「お前はまた・・・」
何か言おうとした様子だが、グッと押し込み外に目を向ける。
そこからはお互いに何も言わず、学園に到着する。馬車を兄が先に降りたかと思うと
「お手をどうぞ、レディ」と他の令嬢がみれば、卒倒するような笑みを浮かべる。
現に周りのご令嬢から黄色い声が上がっているし。
本当にこういう事をサラッとするの止めてほしい。また教室内が騒がしくなったらどうしてくれる。
でも断れなくて、素直に手を取り降りた後、兄に止めてよ。という意味も込めた視線を向ける。
「ま、お前が素直じゃない事は分かっていたさ。ただ、いいかいアメリア、あの約束は忘れないように。いいね」
チュッと髪に軽く口づけをすると、足早にその場を去る姿を見送りながら
どの約束の事だろうか、と少し頭を悩ませた。
◇◇◇
「はぁ・・本当に素敵でしたわ。アルベルティ卿」
「あんな素敵な方が、お兄様だなんて本当に羨ましいです。私の兄にも見習ってほしいですわ」
案の定あの光景をみていた、アリス嬢とリーリエ嬢以外にもご令嬢が集まっている。
最近は声を掛けてくれる令嬢達が増えてきた気がする。
その会話の途中、5日後リーリエ嬢主催のお茶会があるとの事で、声を掛けらる。
お茶会か・・。ここで断るとまた心象悪くなるかしら。
不安気にこちらの様子を伺うリーリエ嬢に、行かないなんて言えないよね。
まぁ、確か予定は無かったと思うけど。
「そうですね、予定が無ければお邪魔しますわ。明後日にはお返事しますね」
手紙を受け取りそう伝えると、花が咲くようにパーッと笑顔を浮かべる姿が可愛くて頭を撫でる。
顔を赤くして照れる姿をみて、以前のガチガチに緊張していた姿からは想像できないな。
なんだろう、野良猫に懐いて貰えたような感覚に近い気がする。
なんて事を考えていると『あの。。』と、か弱い声が背後から聞こえ、振り向くとモジモジと恥ずかしそうにローラ嬢が立っていた。
あぁ、頭痛の種が襲来してきた。
まだ何かされた訳ではないが、極力関わり合いたくないのに、儚い感じがして邪険にできないし。
しかも平民出身という事で、良く思っていない貴族育ちのご令嬢も多く冷ややかな視線が彼女に集まる。あぁ、もう本当に勘弁して欲しい。
「あら、ごきげんよう。マグノリア嬢。どうかなさいましたか」
その瞬間、令嬢達から困惑の空気を感じる。
・・まぁ、そうよね。きっと今までのアメリアだったらこんな風に話かけもしないし、なんだったら蔑み一蹴していただろうしね。
「その、、先程のお話が聞こえてきまして・・」
あぁ、この子もお茶会に来たいのか。私主催だったらまぁ、仕方ないから誘ってあげるけど
今回はリーリエ嬢主催だ。決定権は彼女にある。
チラッと彼女に視線を向けると、とても嫌そうな表情のリーリエ嬢。
んー、これは難しいかもしれない。でも聞くだけ聞いてあげようか。
「あぁ、えっと・・リーリエ嬢、彼女もお呼びは出来ますか」
「・・・・え!?でも、・・・・ちょっと宜しいですか!」
少し間を開けて、困惑の表情を浮かべるリーリエ嬢に手を引かれ部屋を出る。
「アメリア様、宜しいのですか?彼女は伯爵家ですが元は平民です。それに・・学内を案内して下さった殿下と仲良くなったと噂もあります。仲睦まじい姿を見かけた者も居るのです」
言いにくそうにそう告げられ、そんなに思惑通りに進んでいたのかと少しビックリした。このまま仲良くして、私の事なんて放っておいてくれないかしら。
「んー、私としては構わないのですけれど。私は婚約者ですが、それは数人居た内の1人でしたし。幼い頃から王妃教育を学んでは居ましたが、、どうもないです。せっかく同じ学び舎で学ぶのです。仲良くしても良いと思いますわ」
性格に難はあるものの、あんなに健気に頑張っていたアメリアを殿下は、あの女に現を抜かし彼女の大切な家族と殺した。恨みはせど愛なんて芽生える訳がない。おぞましい、汚らわしい。
つい口や表情に出そうになるが、グッと堪え笑みを張り付ける。あの厳しい教育がこういう時にとても役立つわね。
「なんて・・素敵なんでしょう。大丈夫です!こんなに素敵なお方を殿下が手離すとは思えませんわ!」
キラキラとした瞳で私を見つめ、「アメリア様がそう仰るのならば!」と彼女も招待する事になった。
また盛大に私の評価を上げられた気がするが、無視しておこう。




