〜*第3話-9*〜
裁縫の授業が終わり2人が言っていた、剣術を見学する事は出来なかったが、教室に戻る途中剣術を教え終わったエリック兄様をみかける。
少し長めの髪を後ろで結び、太陽でキラキラと光る銀髪に目が止まる。動きやすい訓練着にも関わらず、フェロモンがダダ漏れのような。
...これは、女性が放って置くわけないか。
現に今も、上の学年の貴族の令嬢達がタオルを持って、エリック兄様に群がっている。
「アメリア様、よろしいのですか?」
「小公爵様ですわ」
そわそわとした、アリス嬢とリーリエ嬢には悪いが、近付いて目立ちたくないからね。
『えぇ、もう行きましょう』と歩き出すと、目の前から二度と会いたく無かった人物が歩いてくる。
「アメリア嬢、ようやく見つけたぞ」
...どうして、貴方がこんな所に居るのよ。
「王太子殿下...ごきげんよう」
後ろの2人も慌ててロナルドに挨拶を交わす。
...はぁ、顔を見るだけで憂鬱になるわ。
2人きりにしてくれ、とロナルドが言うものだから、直ぐにその場に2人きりになってしまった。職権乱用ですわ。これは!
「.....何か私にご用でも?使いの者を寄越せば宜しかったのに」
ほほほ、と笑い伝えれば、ムスッとした顔で
「使いの者を向かわせても、そなたは応じず、あの日より約束の日でも、来なくなっているではないか」
当たり前でしょう。行かないって言ったのに。行く馬鹿が何処にいるのよ。
「失礼ながら、先日お伝えした通り、私は二度とあの場所に行くことはありませんわ。婚約者ではなくなるのですから、王族以外は...」
「俺はそんな事認めて居ない!!」
私の言葉を遮るように叫ぶ声にビクリとしたが、兄様達に聞こえる方が嫌なので、『こちらへ』と手を引き、建物の裏側へと回る。
一体どうしたというのだ。今までアメリアには興味なんてなさそうにしていたのに。いざ、手放すと思うと勿体ないと感じたのかしら。
「...すまない、叫んでしまって」
「いいえ...先程認めないとおっしゃいましたが、陛下には近く父より話が行くと思います。陛下が認めて下されば、それで終わりなのですよ」
事実を淡々と述べると、ロナルドは苦々しい顔で唇を噛み締める。
あぁ、またそんなに噛み締めて...
「殿下、まだその癖治って居なかったんですね。唇を噛み締めるのやめてください。また血が出ますよ」
身体に染み付いた癖か、そっと殿下の唇に手を伸ばす
何かあれば唇を噛み締めて、出血する姿を見た時から、こうやって止めていたんだっけ。
まぁ...怪我した唇を噛んで出血した時以外、血が出るのは見た事は無いけど。
「っ、そなたは、そうやっていつものように優しくする癖に、どうして私を突き放す。今までの非礼は詫びる。だから...」
伸ばした手を握りしめ、辛そうな表情を浮かべる。
貴方が私を殺すからよ。なんて言える訳ないし
「もう、殿下の事を愛していませんの。きっと素敵な人と巡り会えます。私の事なんて忘れて下さい」
そう...あの女が来ればきっと私の事なんて直ぐに忘れる。だから、今感じてる胸の痛みは...気にしなくて良い。これで、合っている筈だから。
「認めない」
そう言うと、逃げないようにか腰も反対の手でホールドされ、身動きが取れなくなる。
握る手を振り払おうにも、力強く手を振り払えない
「殿下、一体何を!」
「私と結婚すると言えば離してやる。私の婚約者はアメリア嬢以外居ない」
近づく顔に、逃げたいのに動かない身体。
本当に、どうしてこんな急に執着するようになったのよ
「いやっ、殿下」
ぎゅっと目を瞑ると『アメリア!』と呼ぶ声が聞こえたと同時に、引き寄せられる感覚が。
「いやー、申し訳ない。王太子殿下。ご無礼をお許しください。学園で変な噂が流れると大変でしょう?アメリアの事を大事に思うなら、このような事は控えて頂けませんか」
落ち着く香りに抱き締められ、先程の恐怖が薄れる。
「エリック兄様」
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