〜*第3話-5*〜
「……お前はずるいなぁ。こんなことされたら、怒れなくなるじゃないか」
そう呟くと強く私を抱きしめる。
どうやら怒りは収まった…のかな?
「ふふっ、エリック兄様には笑顔が似合うもの。こんな事で怒らないで…私はどうもないから」
「っ、アメリア!もっと自分を大切にしなさい。またこんな事があったら…」
身体を離すと、グッと力強く私の肩を掴む。
……本当心配性なんだから。
「うん。分かってる…ただもうロナルド様とは関わる事は無くなるから。安心して」
そう…あんな態度を取ったんだ。ロナルドも絶対受け入れるはずだ。そうなれば…2年待つまでもなく、アルベルティ公爵家は平穏に過ごせるだろう。
ただ、あの女が現れるまでは油断出来ない。
……思い出した事があるのだが、あの女が現れてアメリアは嫉妬心から、陰湿なイジメを行い、学園の人達やロナルドから制裁を受ける。
そして……あの結末を迎えるのだ。
「そう簡単にいかないと思うんだがな…。」
未来の事を考えていた私には、そう呟く兄の声を聞き逃してしまっていた…。
「はぁ…まぁいい。今度は私が必ず守る。…本当に痛まないか?」
優しく傷口に触れる指、そんて不安気な声に「大丈夫よ」と答え立ち上がる。
「私がそんなにか弱くないの知ってるでしょ」
「どの口が言っているんだか」
もうピリついた雰囲気は全くなく、いつもの柔らかい笑顔を浮かべる兄と2人で校舎に戻る。
戻る間に、ここで働く事になったきっかけを教えて貰った
剣技を教える教師が怪我をした為、王国内でも一二を争う腕前を持つ自分が任命されたとの事。
確かに…王国の騎士でも適う相手が中々居ないって聞いた事がある。純粋に凄いと感心してしまった。
いつもは、特定の女性を作らずフラフラする女たらしにかみえないんだけどね。
「じゃあ…暫くは忙しくなるんですね。恋人?の方々は寂しくなるんじゃないですか?」
からかい混じりに訪ねると
「ははは、それが幸いな事に、皆に振られてしまって、悲しみに暮れていたところだよ。だから…あんな事をしてしまったのかもしれないなぁ」
クスクスと笑いながら、意味深な言葉を残す
「えっ、エリック兄様?どういう事なの!?気になるわ」
「はっはっはっ、まぁ…いつかな」
そう言うと、自身の人差に軽く口を付けた後、少し切なそうな顔で微笑む。
「もう、意地悪なんだから。約束ですよ!絶対に教えて貰いますからね」
ーまぁ、取り敢えず…無事にミッションコンプリート出来たから良いかな
教室に戻ると、お昼後の授業には不参加だと連絡が行っていたようで、咎められる事はなかった。
流石だわ……エリック兄様。
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