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〜*第1話-2*〜
もう大丈夫よ、とまだまだ心配しているリリィを部屋から出した後、窓際にある椅子に座り息を吐く。
ー本当に良かった。家族が無事ならそれだけで
記憶を遡るも、今の私は家族に愛されていると分かる。処刑にされる事になった時も、誰一人として私を責めなかったのだから。
「貴方は幸せね。どうしてあんな奴の為に…」
ポツリと呟く声は闇に消える。
死ぬ前は復讐に囚われたけれど、そんな事をしてまた家族を巻き込む訳にはいかない。
あんな奴とは関わらないが1番だ。
また恐怖を思い出し、震えはじめる身体を抱きしめた
大丈夫よ…私がこの家を守ってあげる
少し落ち着いた後も椅子の上で縮こまって、膝の上に頭をのせて窓の外をボーッと眺める。
どうして私は転生なんてしたのだろうか
そもそもこの世界はなんなんだろうか
そんな事が頭の中に浮かんでは消える
考えた所でどうしようもないのは分かってる。
ただ、あの時菜々美として人生が終わっていれば…
そうボンヤリと考えていると、控えめに扉を叩く音の後に扉が開いた。