〜*2話-13*〜
「何飲むか〜、神崎酒飲めたっけ?カクテルにしとくか?」
ガヤガヤと賑わう店内。は半個室でゆったりと座れる座席タイプ。
……個室にならないようにとか、色々考えてくれたんだろうなぁ
「あ、そこまで強くないのでカルーアミルクを」
「……りょーかい。俺は生にすっかなぁ」
注文を聞きに来た店員さんに、適当に色々注文した後は、適当に今の仕事の事とかを話して過ごした。
****
神谷さんはオフィスでの事はあえて触れず、穏やかな時間が過ぎる。
食事も一段落したし、もうそろそろ解散になるだろうから謝っておかないと。
「あの…神谷さん、オフィスでは」
「まて」
少し低く響く声に、下げていた視線を目の前の人物に向ける。
少し酔いが回っているのか、少し頬が赤くなっているが、真剣な瞳をしていた。
「お前が…神崎が謝ることじゃないだろ?俺が不躾に変な話題を振ったからだ。すまん…そしてセクハラまがいの事までしてしまった…」
両手で顔を覆い、ズーンと効果音が見えるほど落ち込んでいる姿に胸が痛む。
「そんな神谷さんのせいじゃないですよ。落ち込まないで下さい。…あれは私の問題なんです…」
キュッと右腕を握りしめる。そう…あの日から右腕を触られると、条件反射のように拒否反応が出てしまう。
「…………その顔」
「えっ?」
「その顔をみて…忘れられなくてな。いつもは凛としてるのに、ふいにそんな顔をする時があるんだ。それが気になってなぁ。気付いたら目で追ってた」
そう言うと神谷さんは、いやはや、と照れ隠しをするようにビールを口に含む。
「んでー、まぁ、どうしたら笑ってくれるかな?何かしてやれないか?とかって考えて居たら…神崎の事を好きになってた。」
心臓がドクンと大きく高鳴る。
ー私を…好き?
あんな事をしたいと…思っているの?
顔を見る事が出来ない…右腕を掴む手に更に力が入る
「……すまない。迷惑だったよな?」
「……あ、その、ごめんなさい」
どうしよう…顔を上げると傷付いた神谷さんがいるのだろうか。
そう、きっとあれが地獄の始まりだった。上手に傷付けないよう、断らないと
「神崎」
グルグルと考え込んでいると、あまりにも穏やかで優しい声。
反射的に顔を上げると、優しく笑う神谷さんの姿があった。
「すまん。困らせるつもり…は嘘だな。全く意識されてないのは知ってたから、困るって分かってたけど、意識して欲しくて言ったから。」
「…」
「あ、でも安心してくれ?振られたからって私情は仕事に持ち込まない。今まで通りだ。……ただ、嫌かもしれないが、アプローチはさせてくれないか?意外と俺は諦めが悪いからな。」
頭をポリポリと掻きながら、いたずらっ子のように笑う姿に、無意識に涙が溢れた。
ーまるで太陽みたいな人だな
「すまん…そんなに嫌だったとは」
「違います」
「……え?」
こんなに優しく、2人きりでも嫌悪感を抱かず入れる人は他には居ない
そして、こんなにも私を優先して、思ってくれる人もきっと居ない
「…嬉しいですよ。その気持ちには答えられないんですが。…それでも良ければ」
久々に心から笑えた気がする。
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