〜*第1話*〜
「って!お家追放くらいでしょう!普通!なんなのあれー!!」
そう叫びなが勢いよく起き上がる。
ーはぁ、はぁ、と荒い息。滲む汗
「……いき、てる?」
確かに火炙りにされた時の、痛みと苦しみは覚えているのに。感覚を思い出しカタカタと震える身体を抱きしめる。
周りを見渡せば、煌びやかな家具の数々。
ズキズキと痛む頭を押さえながら、ゆっくりと現在の状況を整理する
ここが日本の私の家ではない事は確かだ。
処刑される前に思い出した、昔の記憶。
確かに私は、日本で産まれた神崎菜々美
ーーあぁ、そうだ。私はあの事があって辛くて辛くて生きる意味を見いだせず…自分で命を…
そして死んだ後、この子に転生したんだ
しかも、転生した後も殺されるって…
もしも神様がいたら、私は嫌われているのね
ギュッと心臓近くの服を握りしめる
それより、家族は無事なのだろうか
ハッとしてベッドから降りた直後、コンコンと部屋がノックされる
どうぞ、と返事を返すとメイドが顔を出す
「お嬢様…大丈夫ですか?叫び声が聞こえ、心配で伺ったのですが」
「リリィ…」
私専属のメイドの子ね。記憶を探り思い出す
「ありがとう。大丈夫よ。心配かけたわね」
ニコリと笑みを浮かべると、リリィは目を見開き硬直している。
ーえ、なに。どうしたのかしら
「大丈夫?」そう声をかけると、顔を真っ赤にして勢いよくお辞儀をする
「も、も、申し訳ありません!とんでもない事です!お嬢様!」
その様子が可愛くてクスクスと笑ってしまう。
妹が居たらこんな感じなのかな、と思いつつ近くまで来ていたリリィの頭を撫でる
「え、お、お嬢様!?」
困惑したような、慌てた様子で顔を真っ赤にするリリィ
あー、やっぱり女のコって可愛いわ
撫でるのを止めて、リリィに現在の状況を聞いた
「今は1185年。お嬢様は16歳でいらっしゃいますが…本当に大丈夫ですか?何か…」
…確か処刑されたのは1187年。私が18歳の時ね
まだ少し時間はある。その間に今の家族を巻き込まないよう、守った上で私は消える
それが一番のベストのはずよ!!