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魔王、振り返る

本日2本目。魔王視点です




我は魔王。

魔族たちの王だ。


今我は勇者たちと戦っている。


お父様も魔王で勇者たちと戦い相打ちになった。

お父様が亡くなってしまったから、我はなぜこんな戦いをしているのかわからない。


しかし、勇者たちに負けるわけにはいかない。

負けてしまえば、少なくとも我らの暮らしが更に悪化するのは目に見えている。


「くっ、何故だ」


しかし、戦っていると、明らかに勇者たちは我に劣っているのにも関わらず我は勝てない。

理由はわからないが、力が全然出ないのだ。

お粗末な攻撃なのはわかるが、スペックの差がありすぎるせいで我は、負けた。


攻撃しても傷はなくなっているからダメージを与えられず、魔法を発動しようとしても賢者とやらに高い威力の魔法のせいでそれを組む時間を作れない。

体力切れも狙えない。

弱点も見つからない。

これをどうしろと?


最後は聖剣に鎧越しに心臓を貫かれて我は死んだ。




はずだった。


「う、うぅ」

「ねぇ、大丈夫?」

「あれ、我、は……お前は!」


生き、てるのか?

なぜ?

周りを見回すと、見覚えのある女がいた。

なぜ、お前は我を心配する?

というかお前は敵だろう!

勇者はいないからって油断など……いや、待てよ?

我は間違いなく死んだはずだ。それなのに生きているのは……目の前にいるこいつが我を蘇生させたのか?

一体なんのために?


えっ?死んだことにされた?


わけがわからない。

情報量が多すぎて声を荒らげてしまった。

少し恥ずかしい。


その後話しているうちにこいつ、リーリアは良い人だということ、そして非常識の塊だということがわかった。

聞いている限り、我が勇者たちに負けたのはリーリアの存在があったからこそ。

そしてそれを捨てた勇者は恐らく我には及ばない。


それにしてもこんなに話がわかるやつとは。

これだけで心を許すには十分だった。



その後、困ったことと聞かれて、勇者たちがくる前に上がっていた問題の一つ、食料問題について相談した。

そうしたらできるというではないか。

そして今から行くとも言うではないか?


どうやって行くのだろうと思ってたら空を飛んだ。


うぅ、高い、怖い!

等のリーリアは我の顔が青くなっていることに気づきながらも、ただ怖いと気づいてくれなかった。

嫌な予感の正体はこれか。


我、小さい頃にお祖父様に高い高い、とあやされたのだが、スケールが違くて……少し雲に掠るくらいまで飛ばされたのだ。

それからというもの高いところは苦手で。


結局気づいてくれたのは到着してからだった。

帰りも同じ方法は嫌なので色々と説明を用意して飛ぶのを避けようと思ったのだが、転移して帰ると言うのだ。

それも使えて当然のように言いおる。

おかしいだろう。そんなもの個人の力で扱えるものなのか?

しかも一度行けばどこにでもと座標指定までできるものなのか?

いや、できない。

やはり非常識の塊だ、リーリアは。


だが、それで飛ばないで済むのなら我は感謝しよう。その非常識に。


畑に着くと土を調べ始めた。

これが改善すれば我らの暮らしは良くなる。

少なくとも人間たちとの無用な争いは無くせるはずだ。


しかし、死んでるという。


やはり無理なのか。駄目でもともとだったから仕方がないと諦めようとしたがリーリアはなんとかできると言うのだ。

普通なら信じられないけれど、我はこの短い間でリーリアの非常識をたくさん見てきた。

だからこそ、素直に信じられた。


目の前で大量の土を作った。

それ全てに付与した。


はへ?

流石に驚きはしたが耐性がついたのかそこまで驚かずに済んだ。

だが、これは予想外だ。

1から栄養のある土を作るとは。

その量の土に一斉付与を行うのって本来できるはずがないんだがなぁ。 


そしてリーリアが土を入れ替えようとするときに我はハッとした。

全てリーリアに任せるのは違うと。

だからせめてこのくらいは手伝おう。


吸引魔法、かなり高度ではあるが、これは得意な魔法なのだ。

これで畑の土を一気に吸う。

畑の空いた穴に今度はリーリアが土を落としていく。

埋め終わると、畑は目に見えて色が良くなった。


これで多少は改善するだろう。

だからリーリア、ありがとう。


って、え?まだ1か所?

もしかしなくても他のところも?


てことはまた飛ぶのか?!

嫌だぞ!


それは嫌なので代案を出した。

受け入れられた。良かった。


一度転移で城に戻る。

改めて見ると、転移、凄い魔法だな。

あの距離を一瞬で。

しかし驚くのは等のリーリアだ。

この魔法、対した疲労もなく使っている。

本当に非常識だ。



馬車に乗り換え、我らは畑を回った。

十何件も同じ作業を繰り返した。


って、待って!待ってくれ!

リーリアの魔力は底なしか!?

これだけの規模の魔法を平然と続けられるとかおかしいだろ!

ともかく今日はここまでにしてもらっても!


改めて礼を言うとリーリアは思い出したように言う。

えっ?住むところと食べるものがない?

それくらいなら我でもどうにかできる。

城にはまだ部屋は余っている。

そこを貸せばいいし、食料はまだ残っている。

ましてや一人分ならなおさら余裕だ。


感謝された。

我が受け、もらったものを考えれば安いものなのだがなぁ。


部屋を案内した。

ベットにダイブしたりと、可愛らしいというか子供というか。

そういえば年はいくつなのだろうか。

いや、やめておこう。

女性に聞くのはタブーだ。我も聞かれたくない。


何かあれば我に言うように伝えると、我がなぜ一人なのかについて問われた。


そんなの戦いがあるからみなを避難させたからだ。

数日、全く音沙汰がなかったとなれば我は死んだものと扱われたに違いない。

形は違えどリーリアと同じだな。


みなはここの安全が不明だからこそまだ誰も戻ってきてない。

今日あれだけ目立ったのだから直に戻ってくるだろう。

それまでは二人生活だな。

……考えると少し笑えるな。

先日まで敵だった人間と同じ屋根の下でたった二人きりで住むなんてな。


さて、そういうのは置いといて、我は仕事を片付けなればな。


書斎に入り、椅子に座る。

ペンを握り書類とにらめっこする。


「ん?書類の山が少なくなってるような……」


気のせいか。

それよりも早く仕事を終わらせなければな。





ざっとなので細かいところはツッコまないでいただけると助かります。


ブックマークや評価ありがとうございます。


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