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聖女は仮住まいと食事を確保したい



その後、私は、……間違えた。私たちは馬車に乗り換え、片っ端から畑を作り直していった。

手順は全く一緒だ。


「って、いつまで魔力が続くのだぁ!?」


十何軒目にして魔王が吠えた。


どうしたの?いきなり。


「おかしいだろう!なんでこんなに大掛かりなものを平気な顔で続けられてるのだ!」


そんなこと言われても、私は本当にただ平気なだけで。

それに魔力の消費はかなり押さえてるからそりゃあね?


「首を傾げんでいい。理解してないのは理解してるから」


貶されてるの?それとも褒められてるの?私。


「とりあえず!我の魔力はそろそろ限界だから今日はここまでにしてほしい」


なんだ、そういうことか。

確かにさっきからずっと吸引魔法使ってくれてるからね。


「気づかなくてごめんなさい」

「……気にするな。それに我はお礼を言う側なのだ」

「お礼?」

「当たり前だ。リーリア、貴女のしたことで我らの生活は向上するだろう。これだけでも十分に感謝したいのだからな」


魔王は私に深いお辞儀をした。


「ありがとう。魔族の王として礼を言おう」


やっぱり、こういうのって気持ちいいね。

こういうのが好きで今まで働いてきたようなものだから。


「はい、そういうのはもういいから、それよりもさ?」


しかし、今の私には身近に危機が訪れていた。

それは何か?


「なんだ?」

「私さ、住む場所も食べるものもないんだけど」


そうさ、衣食住の食と住が、今の私には全く、ない!

死活問題だ!


「それは大変だな……というか逆になんで今まで言わなかった?」

「忘れてた」


あっ、呆れた顔してる!

だって集中して、取り組んでたらうっかりしてて!


「しばらくは我の城に泊まれ。食事も出そう」

「ありがとうございます!魔王様!」


その場に座り込み、深く綺麗な礼をした。

これほどまでするのは当然。

だって死活問題解消は良いことだよね。


「そんなにしなくてもいい。むしろこれくらいしかしてやれんのだ」

「いやいやこれくらいも、だよ?」


明日の食が保証されてる安心感って本当に凄いんだよ?

住む場所も保証される。この二つがあるのは本当に生きてるって感じがする。


私だって親を失ったときは明日は生きてられるかなぁなんて、怖かったからね。


「そうか。なら、とりあえず城に戻ろうか」

「そうだね。転移で良い?」

「良いぞ」

「オッケー、んじゃ馬車も一緒に転移!」


そうして景色は切り替わった。



「部屋は自由に使え」


私は魔王に案内されて部屋についた。

ベットと机、椅子、それだけしかない質素な部屋だ。


「いいの?」

「どうせしばらくは行く場所がないんだろう?」

「確かにそうだけど」

「リーリア、貴女は変なところで遠慮するな。我が良いと言ってるのだ」


そう、だよね。

んじゃお言葉に甘えさせてもらって


「ダーイブ」


フカフカのベットにダイブした。

こういうの知ってみたかったんだよねぇ。

聖女の頃は聖女らしく振る舞ってたからこんなことしなかったし。


「何かあれば私に言ってくれ」


枕に顔を埋めながら聞いた。

……あれ?違和感があるんだけど、何かな?


「あぁ!」

「な、なんだ?!どうした!」

「なんで他の人を見なかったんだろう!」


違和感の正体。

それはこの城に魔王以外の人を見なかったことだ。

そして召使いとかがやりそうなことも全て一人でこなしている。


「もしかして……ボッチ?」

「違うわ!ただ戦いに巻き込まれぬようにみな家に帰らせたのだ」


帰らせた?なら、なんで帰ってきてない……あっ。


「理解したようだな。多分あっている。我は死んだことになっていて、ここが危険か安全かわかってないのだ」

「まぁ、誰が好き好んで戦場にくるか、って話よね」


そりゃ誰もいませんわ。

逆に言えば今は二人きり。

何をしても基本的に良い。


「まぁ、今日のことで生きていることは知れ渡るだろうし、しばらくは大人しくこの場でゆっくりするのがいいだろう」

「そうだねぇ。まぁ、今のうちにやれることやっておけば後で苦しまずに済むからね」


課題とかと同じで仕事は期限があると言って何もしないと後で苦労するやつ。


「今やってることはそれに含まれるが、半分は趣味に近いものだからな」


えっ?魔王、畑作りが趣味?

なら、本格的に教えたりするけど?


期待したような目を向ける。


「なぜだが少しイラッとする」


酷いなぁ。ただ見つめてただけなのに。


「それがだ!」


どれだろう?

どこが悪いんだろう。


「もう良い。我は色々と仕事があるのでな」

「頑張ってね〜」


私はベットの上から、けしてふざけたものじゃない、声援を送った。

気のせいか魔王の背中は笑っているように見えた。






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