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勇者の誤算

閑話みたいなもの。ちょっと未来の話なので前の話とは繋がってないのは了承ください。

勇者視点。




俺は、賢者とシレーナとともに魔王討伐のために魔族の国に向けて出発した。


「賢者どう思う?」


俺はなぜ魔王が生きているのか?そう賢者に聞いた。

あの日からちょくちょく考えていたが、とどめをさしたはずの魔王がなぜ生きているのか疑問に思っていた。


「さぁ、な。倒したのが影武者だったか、それとも純粋にトドメをさせてなかったか」


俺がしくじるなんてあり得ないから後者はないな。

影武者はあの強さで、それはないか。


あれより強いとなると俺たちは勝てない。

いや、今は足手まといがいないから、勝てるか?

どっちにしても、前者であってほしくないな。


「面倒だ」

「本当にな」

「そうですね」


俺の呟いた一人言に二人は同調し頷いた。

片方は心底面倒くさそうに、もう片方は忙しさに押し潰されそうな顔で。


「ま、さっさと終わらせようぜ」


勇者はこのとき、楽観的に見ていた。

影武者の線を否定して、前よりもちょっと苦戦するかな?と考えた時点で彼の運命は終わっていた。

少しだけでも、リーリアの力を知っていれば、認めていれば。

少しだけでも、自分が負ける可能性を考慮して対策や作戦を考えていれば。


そんな当たり前のようなチャンスを逃した彼に未来なんて残っていなかった。




そうして数週間後。

俺たちは魔王城に到着した。


前回よりも寄り道が少なかった分前回よりも早かった。

やっぱり足手まといがいないのと、馬車でここまでこれたのは大きいな。


おめぇのせいだよ、全部お前のせいなんだよ!

リーリアはそう叫びたかった。

ここにいれば、だが。


馬車に乗っていけなかったのは純粋に危険を犯してまで行く人はいなかった、ではなく、馬車を借りる金がなかったのだ。

そして、その原因は勇者の着服だったり、なんだったりするのだ。


今回はそういうのは特にないため早くいけただけである。


「さて、いっちょ討伐しようかな」


俺は勇ましく、堂々と城へ足を踏み入れた。


・・・


「きたな」


魔王は玉座に腰掛けながらそう呟く。


「いやぁ、本当に事前に知っといて良かったわ。じゃないと死んじゃうもんねぇ」


そんな一人言に笑い事で返したのはリーリア。

魔王に侍るようにして座っている。


これが男の魔王だったりしたら、魔王が洗脳か調教かしたような光景になるのだが、いかんせん、魔王にそんな風格はないし、女性だし、そんな感じはない。

なんなら和気あいあいとしていて、今から戦いますよなんて言っても信じられないだろう。


「んじゃ、魔王様、頑張ってくださいね」


リーリアは苦笑しながらそう言った。


その苦笑は勝敗がすでに決まっていて、今から起こる茶番に対しての笑いだった。



・・・


玉座の間。

いつぞやの再現のように、魔王と勇者が対峙する場所。


違う点は、リーリアがシレーナになっているくらいである。


「ふん、どうやって生き延びたか知らねぇけど、残念だったな!魔王!」


俺は聖剣を構えた。

さっさと終わらせる。

初手から必殺だ。


「まぁ、死んだんだがな」

「あぁ!?怖じ気づいて念仏でも唱え始めたか!」


背後では賢者が魔法の準備をしている。

俺の一撃だけじゃ流石に無理だが、二人分の全力を叩き込んで一気にこっちの勢いに持っていってやる。


だから、俺はなんの躊躇いもなく、魔王に斬りかかった。

それと同時に俺の背後から魔法が放たれた。


これで俺が魔王を斬って魔法を当てて、あとは攻撃をし続けておわりだ!


「はぁ、本当に弱いな」


んだと!

俺が弱いだと!?

ふざけやがって

俺は剣をその言葉を否定すべく、全力で一撃を放つ。


キィィン


軽く金属同士を叩きあったような音がなった。


「なっ!?」


それは聖剣が軽く、魔王の片手に止められた音だった。

そんな馬鹿な!前はこんなことなかったのに……なんで!


「避けろ!」


賢者の声でハッとして、俺はすぐさま後ろに引いた。

その直後、俺のいた位置に魔法が降り注いだ。


前なら、これで目に見えたダメージを与えることができた。

だが、俺はなんとなくだが、これじゃ駄目な気がする。


その予感はしっかりと的中してしまう。


「温い。そよ風かなにかか?」

「そん、な」


やはりか、そう感じた。

間違いない。

こいつ、強くなってる。


「賢者!」

「わかってます!」

「援護します!」


俺たちはここにきてようやく、目の前の存在の強さを知った。

前と同じように考えるのはやめだ。


そうして本当の意味での戦いが始まった。



しかし、俺たちには歯が立たなかった。


「くそっ」


俺はもう、体力が残ってなかった。


「っ、魔力が」


賢者も魔力が底をついている。


「ふぅ、ふぅ」


シレーナはすでに魔力はきれて、体力もない。


この状況で残された選択肢は、一つしかなかった。


「撤退だ」

「そうするしかありませんね」


逃げる。

選ばれた存在の俺が逃げるのは癪だが、ここで死ぬのはもっと嫌だ。

俺は死ねない。なぜなら選ばれたものだから。


「逃げられると思うか?」


その圧は、とても俺たちが逃げられると思うことができないものだった。


「思うさ!」


だが、俺たちには長距離転移が使える!

賢者一人じゃむりだが、二人ならばできる!


魔力は無理矢理引き出せばいい!


「「転移!」」


目映い光が()()を包み込んだ。


「ここは引くが、次会うときがお前の最後だ!」

「次は私の魔法で消し炭にしてやるっ」


そして、二人は姿を消した。



次に俺が目を開けると、そこは、観衆のど真ん中だった。




なんか簡潔になってるのは、リーリア視点でやるときにネタが残ってないのが不味いからであって、今回は物足りなく感じると思います。

リーリア視点のときにしっかりざまるから、それを望む方はもうちょい待ってください。


感想のやつですが、ピンヒール忘れてたわ。バニースーツとセットのイメージだったので完全に失念してた!ありがとう!ピンヒールは採用!

その箇所にピンの方はいれた。

もう片方はシチュ的に無理なので、またの機会に。(やる、多分)



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― 新着の感想 ―
[一言] なんとなく次はない感じでしたが、もし次があったら魔王側は 聖女 魔王 聖女 という3人PTになっているのか(笑) しかも一人は規格外だから絶対に勝てないな。 ⬆置いて行かれた聖女は説得・即…
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