表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/50

聖女、畑作り



あぁ、愚痴たくさん言ったわぁ。

スッキリしたぁ。


「ありがとね、聞いてくれて」

「こちらこそ、聞いてくれてありがとう」


二人はすっかり仲良くなっていた。

このときだけは感謝するぜ、アホ二人。


「ねぇ、困ってること、ある?」


気まぐれで、出た質問だ。

特に深い意味はない。


「む?なぜだ?」

「いやぁ、なんかしたいなぁって思ってさ?」


うん、ホントだよ?

こうやって話してなんか体がウズウズしてきてさ?


「そうか………そうだなぁ強いて言うなら食料問題だな」

「食料……」


確か魔族側の土地は痩せ細っている、だったよね?

その代わりに鉱山資源とか野生の動物とかが豊富でって。


「畑とか、凶作続きで、人間側からの輸入は難しそうだから、これが終わったら取り掛かろうとしていた問題だ」


あぁ、確かに。辛そうだよねぇ。

どうにかできそうだけどなぁ。


「まぁ、これはもともと我らの問題だからリーリアを巻き込まないさ」


そこまで言われたら


「協力したくなるんだよなぁ」

「えっ?」


何?驚いてるの?


「どうにか、できたりするのか?」

「たりめぇよ。できるに決まってんだろがべらぼうめ」

「なぜ、親方みたいな口調に?」


それはどうでもいい。


「さ、行こうか」

「行くって?」

「畑に」


逆にこの流れで何が他にあるの?


「えっ?今から?」

「当たり前じゃん」


てことで案内よろしく!


「はぁ、どうにかなるならそれに越したことはないが、なぜだか物凄く嫌な予感がするぞ」

「えっ、なにか言った?」

「いや、何も」


私は魔王と一緒に畑に向かった。

………飛んで。


「た、高いんだが?」

「そう?」


なんか、顔が青いけど、大丈夫でしょ?

寒くないようにシールドとか色々と張ってるし。


「多分だが、今考えてることと我が気にしていることは絶対に違うと確信できるぞ」

「えっ!?」


ショック!他に何か問題が!?


「………」

「考えんで良い」


そう?なら急ぐか。

えっと、目的地は確かあの辺りって言ってたかな?


「エアロ」

「へっ?」


私は風を起こす魔法を発動した。


「行っきまぁす!」


そして私は風になった。


「ひぃ、ヒィやぁぁ!!!」


風を切る轟音で隣で叫んでいることは聞こえなかった。

けど、到着してフラフラしていることからある程度私は察したのだった。



「帰りは頼むから安全で普通な方法で……」


涙目で言うこと?

威厳が、さっきまでの威厳が!


「大丈夫。帰りは転移で帰るから」

「そうか、良かったよ。……リーリアが非常識で」

「なんで?!」


今のどこが非常識なの!?


確かに転移は使ってる人見たことないけど、そういう装置はあるじゃない!

あるよね?まぁ、王族くらいしか持ってないものだけど。

……ごめんなさい。確かに非常識かもしれません。


自覚した。


「ま、まぁ、それは置いておいて、どの畑?」

「これだな。今のところは一番酷い」

「触ったりしてみても?」

「良いぞ」


じゃ、遠慮なく。

触ってみる。


わっ、石みたいに硬い。

それに乾燥して水っ気が全く無い?

土の栄養とかは、期待できないかな?


「どうだ?」


心配そうに聞く魔王に私は結論を告げる。


「土が生きてればなんとかなったけど、もう死んでるね」

「そうか……」


残念そうに俯く。


って、ちょっと待って!


「なんとかならないとは言ってないからね!?」

「なんだと?」


ほっ、良かった。

そんな仕方ないよなオーラを出さないでほしいよ。


「で、一体どうするのだ?土はもうだめなのだろう?」


フッフッフ、よく聞いてくれた。


「土を丸ごと変えちゃお?」

「はいっ?………ってまさかとは思うが」


もう何にも聞こえないなぁ。


「クリエイトアース。からのエンチャント:エネルギー!」


まずは大量の砂を生成。

ちなみにクリエイトアースは石とかそういうのを作るのだけど失敗すると砂が作られるの。

けど、今回はわざと失敗して砂を生成しましたと。


「これで栄養のある土の完成っと」

「えぇ………そんなのあり?」


ありなんです!

これだけ大量のものに付与するのはあれだけど今回は同一物指定したから消費は抑えられたし。

付与は何にでも付与ができるわけじゃないよ?

今使ったエネルギーは、生きているものにしかできないとかそういう制限はある。

ので、このエンチャントを今ある土に付与はできなかったので、生成から始めたというわけですよ。


「あとはこれと入れ替えるだけ」


さて、何の魔法にするかなぁ。


「はっ!それくらいは我がやろう」

「じゃあ、お願い」


お願いすると一度頷き、少し集中して沈黙、もう少しして手を畑へとかざす。


「吸引」


その言葉が紡がれると、その畑の上に穴のようなものが発生して、みるみると穴へと吸い込まれていく。


「おぉ、すっごい」

「嫌味にしか聞こえん」

「本気だよ?嘘じゃないよ?嫌味じゃないよ!」


嫌われそうだから、懇願するように否定する。


「わかっている。こっちが勝手にそう思ってるだけだ」

「なら良いけど」


目の前の光景は本当に凄いよ?

吸引魔法っていうのはあの穴を開くのがまず難しいからねぇ。

賢者もできなかったし。

私は……できるよ?

けど、一度加減間違えて危なかったから封印したからなぁ。

あれだけのサイズを完璧にコントロールできるのは凄いことです。


「さて、終わったぞ」

「じゃあ、落とすね」


よっ。

吸引されて畑にあいた穴へと先程作った土を入れていく。

砂埃がたたないように入れていく。

よし、終わり。


「これで、完成かな?」

「ふうっ。これでだいぶ良くなると思う。ありがとう」

「何言ってるの?まだ一か所だけだよ?」

「えっ?」


ここ一つじゃ根本的に解決できるとは思ってるわけ無いじゃん?

他全部やらないと行けないでしょ?


「手伝ってね?」

「あ、あぁ。わかった」


んじゃ、早速行こうかな。


「けど、頼むから飛ぶのはよしてくれ!」


そんなに怖かったの?

魔王なのに?


「高いのは嫌なのだ!ホントに!」

「むぅ、仕方ない。じゃあゆっくりと歩いていこうか」


歩くことを提案すると首を横に振って代案を提案した。


「一度城に戻って馬車を用意しよう」


確かにそっちのほうが楽だし、視線とかも、ね?


周りには好奇の目が向けられている。

流石に恥ずかしい。

魔王様がいるから誰も話しかけないけど。


「そうだね。じゃ手を繋いで?」

「こうか?」

「オッケー。じゃ転移!」






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ