表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/50

聖女、とある再開、ある出会い その1



私は転移で人間の国の元私が住んでいた街のある路地にきた。


「ここも変わってないね」


路地を選んだのは人目がないこと。

そしてこの街は路地までしっかりと管理が行き届いているため、整備されているということだ。


「流石に転移した先で足をぶつけるのは嫌だ」


うん。治せるとはいえども痛いのは嫌だ。


「っと、ここで油売ってる場合じゃない」


何故私が、魔族よりの村ではなく、こちらにきたのか。

それはある人物に会うためだった。


「さてさて、元気にしてるかなぁ、ソウマ君」



私はフードを目元まで被り大通りを一人歩いていた。


この辺も変わってないかな?

ちょっとだけ活気が減ったように感じる気がするけど。


「気のせいかな」


気のせいと言うことにした。


それからしばらく見て回りながら、たどり着いたのはごく普通の一軒家。


コンコン


私はその家の扉をノックした。

すると扉の奥から、はーい、と青年の声が聞こえ、こちらに歩いてくる音がする。


「どちら様でしょう」


扉を開け顔を出したのは、黒髪黒目の私よりも身長の高い一人の青年。


わぁお、格好良くなったね。


そんな感想を抱くほどには、格好いい。

なんと言えばいいか、騎士のような強さを持ちながら誰にでも優しいっていう感じかな?


まぁ、そんな感じの容姿だ。


「久しぶり、ソウマ君」

「っ!?な、中に入って」


とても驚いてるのに声を出さなかったのは流石だよ。

ここで声を出されたら色々と面倒そうだったからね。


ソウマ君に連れられて中に入り、向かい合うように置いてある椅子の一つに腰を掛けた。

それを見たソウマ君は続くようにもう片方の椅子に座った。


「リーリア、だよね?」

「うん、勿論よ。貴方のお姉ちゃんのリーリアだよ」


あっ、ホントの姉じゃないよ?義理の姉(ソウルシスター)だよ。


「う、リーリアァ!」


う、うわぁ!?

泣きながら抱きついてきた。


ふふっあの頃と変わらないなぁ。




あの頃。

私がまだ師匠のもとで教えを請えていた頃の話。


あの日の私は休みの日で……いや、というか師匠が使い物にならないから強制的に休みになった……私は休みの日をどう過ごすかなんて知らないのでどこかのおじさんに話を聞こうと思いおじさんに会いに行った。


「おじさん!」


少しボロが見えるこの家が、どこかのおじさんの家だ。

外見はボロだが、内側は凄いのだ。


「おう、リーリアか。中に入れ」

「はーい」


ちなみに私には護衛はいるのだが、そちらの方々は話のわかる人だったので近くまでついてきてくれたがそれ以上の干渉はしてこないようにしてくれた。


「ん〜おじさん、なんか苦しそうだけど具合悪いの?」


私を迎えてくれたときから少し顔の色が優れない。

何かあるのかと聞いたら


「いやぁ、な。ちょっと右手が疼くだけさ」


って、言った。

回復魔法で治すかと問うと、不治の病なので大丈夫だとのこと。


回復魔法は外的要因には効いても、内的要因、それも持病などにはあまり効果を見せない。流行病などは外的要因のため効果はあるが。


「むー、今日は何かあるかもな」


そんなことを呟いていた。

そしてそれは本当になった。


それから私はおじさんから色々な話を聞いていた。

仮面のヒーローの話とか、勇者が魔王やら竜やらを倒す話とか。


そんなときだった。


「むっ」

「ん、おじさん」


私は何かの気配がこちらへ迫ってくるのを感じた。

おじさんも感じたようだ。


「多分、人だが」

「これって…空?」


なんとその気配、空から向かってきてるのだ。


「どうしますか?」


流石にこんな経験はないので経験者であろうおじさんに問いかけた。


「一先ずは様子見でいいだろう」


というわけで私は最低限の構えでそれを待った。


そしてそれからしばらくして、大きな物音を立てておじさんの家の屋根を突き破って人が姿を表した。


「わぁぉぅ。まさかホントにラプーーー」

「おじさん!やっぱり人だよ。しかも気絶してる」

「…おう。とりあえず寝かしたれ。話は起きてからだ」


言われたとおり布団を敷き、そこに寝かせた。

その人は、黒髪黒目で、見た目は少年というのが正しい。

私よりは下だね。


「それはそうと、リーリア、屋根を直してもらっていいか?」


あっ、忘れてた。

屋根にデカい穴開いてる。

流石にこれじゃおじさん暮らせないよ。

まぁ、過ごせはするけど、雨風くらいはしのげるようにしないと。


「オッケー、直してくる」


修復は魔法の力も借りて速攻で終わったということだけ言っておこう。



「う、うぅ」

「あっ、起きた」


おじさーん、起きたよー。


「見りゃわかる」


まだ何も言ってないのに。


「それはそうと」

「あっ、わかっててスルーしないでよ」

「後でな」


わかってますよ。後でちゃんと相手してくださいね。


「君、どこから……」


優しくおじさんが目を覚ました少年に問いかけようとしたとき、


「う、」


「「う?」」


「うわァァァァーーーーーん!!」


その少年はボロ泣きを始めた。


「え、えぇぇ」


おじさんは突然のボロ泣きにどうしたものかとフリーズしてしまい、


「おじさん泣かせた」


私は割と冷静におじさんを非難していた。

勿論面白半分にね。


「そ、そりゃ仕方ないだろう?」


まぁ、わからなくもないけどね。


「ねぇ、君はどうしたの?」


おじさんに代わり、私が少年に話を聞こうと話しかけた。

泣き止むことなく、むしろ声を更に上げるのでおじさんと同じ末路を辿った。


それが、私とソウマ君の初めての対面だった。



どこかのおじさん、実在しますよ。空想上の人じゃないよ。

後半からはリーリア過去語りです。次回は現在に戻しますよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ