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聖女、女神になる その6



裏方。

今現在、魔王が説明を兼ねた演説中。


私の出番はまだ先。


説明はもちろん、あれです。


ちなみに私の出番は最後です。

インパクトというか、なんというか最後が一番良いとのこと。

魔王いわく、話が進まなくなりそうなので、とのこと。


当日は中継するんじゃなかったっけ?

と思ったら、会場にも人がたくさん来ていました。

これが特大の緊張の要因になったのは言わずもがな。

どちらにしても緊張したのにね。


「それにしても堂々と話すね」


魔王が今は魔王様してるので格好いい。

威厳に満ち溢れるお方のイメージそのものだ。

聞いてる方々も同じような感想だろう。

反論は認めない。


メリアさんに視線を向けると親指を突き立てるので、同じなのだろう。


「さて、それでは出てもらおう。救世の女神本人だ」


おっ、合図が出た。

それじゃあ行ってきます。


私は裏方から表に姿を表した。



私が姿を見せると、歓声がピタリとやんだ。

そして一様に私を見ている。

なんとも言えない気持ちになった。


私が魔王の隣まで進むと、視線もゆっくりと動く。

目が離せないとはこういうことを指すのだろう。


「ご紹介に預かりました、救世の女神、リリアナです」


偽名だ。もちろん女神と連呼されるのも嫌なので偽名も考えてきましたとも。

リーリア、リリア、リリアナ、みたいな感じで決まった。

ナはどっから?という質問は受け付けない。


「私はこの魔族の国を見て、感動しました」


人と同じように話をして、物を作り、隣人同士助け合うような姿。

誰もが暖かく、助け合い、生きていく姿が。

人に蔑まれているにも関わらず、戦をしない姿が。


「そんな姿を見て、私は助けたいと、心から思いました」


そんなとき、病が起こりました。


「先程、魔王から説明があったとおり、私はそんな人を助けたいと思い、助けました」


そこからは魔王の説明をなぞるように言わせてもらったので割愛。


「これから私はここを見守ります。ですが、もう私は生きる術を与えました。今までよりも豊かな生活が送れることでしょう」


ですから、


「これからの魔族に幸福が訪れることを祈りましょう」


ここで私は一工夫。

私は魔王城に虹をかけた。

もちろん、時間で消えますが。


そんな光景に人々は目を奪われた。

その光景を目に焼き付けるかのように、言い方は悪いがガン見していた。

ちょっと怖いです。


ついでに先程の言葉を要約すると、生きる手段はもうあるんだから私に頼らないでね?幸せな生活を作れるように祈りはするけどね?という感じである。


まぁ、魔族の皆様は幸せな幻想に浸からせておこう。

実際悪い人じゃないし。


それにいくつかの人には今回の説明で私のことがバレてるんだろうなぁ。

誰に?はもちろんあの村の人たちだ。

理由は言うまでもなく、あそこの村は私が治してしまったからだ。薬じゃないもので。


まぁ、あそこの人たちなら言いふらしたりはしないだろう。

めちゃめちゃ胸を張って誇るくらいはしそうだけど。


「それでは私はこれで」


最後に一言断りを言ってから表から裏方に戻るのだった。



「プッハァー。疲れた」


戻るなりすぐに変質魔法で元の姿に戻した。

これ以上目立ちたくないので。

それと、自分じゃない自分って、違和感があって結構ストレスだわ。


「お疲れさまです」


メリアさんが気を利かせて、タオルと飲み物を持ってきてくれた。


「ありがとうございます」

「いえいえ。こちらこそ」


私とメリアさんはこの一二週間の間にかな〜り仲良くなった。

薬を配りに行く際に経過観察の時間があってその間に話とかをしていたのだ。

その間に私の詳しい経緯をメリアさんに話、色々と理解を得た上、魔王という共通の話題があり、仲良くなるには時間はかからなかった。


「リーリア、そろそろ魔王様も終わる頃だし、お茶とか準備しててくれる?」

「いいよ」


私はメリアさんに暇なときに作ったお茶とお菓子をメリアさんに食べさせたところ、色々と理解を得まして、魔王城にいるからには色々としてもらいますからね?という建前のもと、メイドの仕事をちょこっと手伝わせてもらってる。

なお、メリアさんの本音は私のお菓子が美味しいので、食べたい(略)。とのこと。

メリアさん、甘いものに目がないご様子。


魔王の料理ほどではないものの私も料理は上手だ。


かつて、メリアさんと同じように甘いものに目がない人が私に作るように言った時期があり、私はその時猛練習の末プロ顔負けのものを作れるようになった。

その後も各地を転々と回っているときに食したものの味を盗み、時々練習をしたものだから、この分野では強いのだ。

……ただしもう一度言うが魔王には勝てないのだ。


まぁ、魔王に作らせるわけにもいかないから私は丁度良かったのもあるかもね。


何はともあれそういうことなので、私はお茶と菓子を準備し、魔王とメリアさんを待った。


「リーリア、お疲れ様」

「魔王もお疲れ」


それからしばらくすると二人は姿を見せた。

準備は整っているので、私はティーカップを打ち合う、わけにはいかないので軽く持ち上げて、乾杯を上げるのだった。 






ホントにこれで女神になるは終わり。

急ぎで仕上げた。次回は話の流れでわかる通りのお茶会回です。のんびり話をしながら反省会する予定。(自分が忘れそうだから書いた)

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