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聖女、女神になる その5



そうして私はリハーサルを一日かけて行い、魔王とメリアさんの感想を取り入れ、完成形を作り上げた。


そしてまたリハーサルを行い、リハーサルを完璧に終わらせた。

ちなみにメリアさんは私がリハーサルを始めるちょっと前に起きてきた。


それは置いといて。

それから魔王はお披露目の場の用意などでなんやかんやで忙しく動き、その間に私はメリアさんとともに優先度の高い村々への薬の配布を急いだ。

ついでに私の変身後の姿の認知度を上げるためにも。


なお、この配布に関しては、立場とか関係なく、重症者、また感染したリスクの高い人らに配る予定。

全面的に一斉配布するのはお披露目の場の終わりからだ。

どこかで配布しそこねるのは怖いので、配ると宣言してから、私たちが片っ端から回っていくつもりだ。


ちなみに貴族たちに関しては信頼できる立場の高い人に頼み、配ってもらう予定だ。使用人等は別途で支給とする。

貴族は身元や人数が一番ハッキリしてるからそっちでお願いすることにしたのだ。逆にそれ以外は正確な人数は不明なのでこちらから出向くのだ。

貴族の相手とかやってたら時間の無駄ということもあったりなかったり。


そんな感じで、なんやかんやで一二週間経過。


お披露目の日となった。


場所は魔王城前。

そしてその光景を映像魔法で各地へと流している。


私は朝から服装やら何やらメリアさんに色々言われてそこから徹底しておめかしされた。もちろん変身後のほうで。

言い忘れていたが、変身の効果時間は私の魔力が切れるまでだが変質魔法ならば変質させているので最初のそれだけだ。


「随分と綺麗になったなリーリア」

「そう?あんまり自覚ないけど、綺麗、なのかな?」


ちょっとドレスをフリフリしてみたり、靴の裏側を見てみたり。

よくわからないけど今の私は綺麗らしい。

嬉しいのだが気恥ずかしい。


照れていると、魔王が笑いながら


「こういうところは普通の女の子なのだな」


なんて言った。

普通の女の子ね?


「ねぇ、私の歳は子って呼べる年齢じゃないんだけど?」


割と本気で、優しい笑顔を見せた。


私、すでに二十歳超えてますが?そんな女を女の子、ねぇ?


魔王、顔を青ざめて急いで謝罪した。


「すまなかったぁ!」

「ねぇ?いきなりどうしたの?そんなに怖がりながら血相変えて謝るなんて、ね?」


リーリアの笑顔は一寸も動かず、ただ影みたいのが深まっていくように見えた。

このとき、魔王は本気で怖えぇ!なんて思っていたらしい。


まぁ、もちろん確信犯ですが?


後日、魔王はこのときのリーリアを思い出して震えたらしい。

もう二度とそんな間違いは起こさぬように年齢やらをちゃんと調べたのは当然のことと言える。そうして年齢を見て色々な意味で驚いたのは別件だ。ふふふ。




私は本番を前に緊張を覚えていた。

偽の姿とはいえ、大勢の人の前に姿を見せなければならない。

ついでに話も少々しないといけない。


聖女のときはそういうのはあまりなかった。

基本的に表に出さないようにされてた。

理由は、忙しいとか防犯上とかのそういうのだ。

というのは建前で、本当はあまり私の顔を見せるわけにはいかなかったのが一つ。

もう一つ、私の名声をあげさせたくなかった。


あの老害、もとい教皇連中は私をあまり良く思っていなかった。理由は明白。自分の立場を揺るがしかねないからだ。

しょうもないなぁ、とは思いつつも私にしても気楽で良かったので乗っかってやった。


さて、何が言いたいかと言うと、私ってばこういう場に慣れてないのです。


緊張も緊張。ど緊張してますよ。

足ガタガタ、冷や汗ドバァー、ですよ。


「そんなでよく聖女できてたな」


そんな様子の私を見て、魔王は疑問を口にした。

うん、自分でもよくできてたと思うよ。


「あれは聖女の私であって、今の私じゃないから」

「あぁ」


そう説明すると納得顔の魔王。

わかってくれて嬉しいよ。


以前にも説明したとおり、私は聖女という縛りをしていた。

それは聖女らしくあろうとしたからの行為ではあるがもう一つ、聖女に内面的にもなりきるという意味もあったのだ。

その縛りがなくなった今、内面と外面が完全一致する状態なのだ。


「ならば、今度は女神になりきれば良いのでは?」


それは確かに考えたんだけどね?


「どうするのかわからない」


聖女は聖女というイメージがあるけど、女神ってなに?

どんなの?どういう態度なの?どういう目線なの?

何もわからない。

それでどうなりきれと?


「それもそうだな」

「笑い事じゃないよぉ」


どうすればいいの?

ずっっと悩んだが解決法は浮かばず、結局、『当日の私!頼んだ!』になった。人頼みならぬ自分頼みになってしまった。

そのことにちょっと恨んでる。後悔してる。


「まぁ、なるようになるんじゃないか?」

「そう?」

「だって、リーリアの言うとおり、女神のことなんてわからない。けどそれは我らとて同じだ。リーリアがしたことが女神なのだ」


……言われてみれば確かに!

誰もわからないんだから、私が提示した女神が真実になるんだ。


そう言われたらすっと、心が落ち着いた。


「緊張は?」

「ありがと、魔王」

「どうってことはない」


ハイタッチ。

よし、行こうかな。


私は魔王とともにステージに上がった。





すんません。色々と詰めすぎて終わりませんでした。その6で今度こそ終わらせますので。

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