聖女、魔王に報告に行く
おはよう。
誰もいないけど。朝じゃないけど。
なんだかんだでこういうとき誰もいないのは寂しかったりするリーリアです。
「時間とか色々と問題的にも魔王のところに行かないとね」
外は夕暮れ時。ちょうど良さそうだね。
転移!
私の景色は切り替わった。
「はぁ、疲れたぁ」
「だらしないですよ、魔王様」
メイド服の女性がだらっとする魔王に書類を両手に持ちながら注意を促す。
「だって、疲れた」
「私だって疲れましたよ?」
「なんで、二人だけなんだ?」
「他の方は遠い場所に帰ってますから」
むむむ、そんな擬音を鳴らしながら睨み合う。
休みたい魔王と休ませたくないメイドのバトル。
「こうなれば物理で行きますよ?」
「魔王様に勝てると思うのか?」
なかなか折れない状況に痺れを切らし、物理的に解決しようとする。
こうなれば魔王が勝ちそうだが、それがわからないような人ではないはずだ。
「行きます!」
「こい」
メイドが拳を構えて魔王目掛けて拳を振るった。
「到着っとぉぉぉァァァァァ!?」
その拳は魔王に届かず、目の前に現れた女性の顔面に命中した。
言わずもがな、リーリアだった。
「り、リーリアァァ!!」
魔王の悲痛な声が城に響いた。
切り替わり、魔王城に到着した直後、目の前に拳があった。
ちょうど到着って、声を出したときだったので、叫び声がでた。
それと舌噛んだ。痛い。
というかいいとこ入ったから、ちょっと、きつい。
ガハッ。
私は倒れた。
倒れる前魔王の悲痛な声が聞こえた気がしたが私にはそれを聞き取るだけの意識はなかった。
「え?えっ?誰?」
そして殴った本人が一番状況がわかっていなかった。
それから私は部屋に運ばれ起きるまで数時間かかった。
「すみません!」
「いやいや、いいですよ」
起きてから改めて魔王の執務室に行った。
すると、さっき私を殴った人がすぐに謝りにきた。
「怪我はないな?」
「当然でしょ?」
心配しているメイドと違い、魔王は比較的落ち着いて怪我がないよね?とだけ聞かれたから当たり前のように大丈夫と答える。
そんな様子をまたも一人取り残されたようにメイドの人が周りを見る。周りには何もないですよ。
「今日はどうしたのだ?」
「ちょっと緊急の連絡があってね?あと、家が完成した報告」
「おっ、家ができたのか。今度遊びに行かせてくれ」
「うん。いいよ。それと本題だけど」
「ストォーップ!」
「「なに?」」
二人でサクサク話しをしているときにメイドが大声で止めてきた。
つい厳しくなに?なんて言っちゃったよ。
「何じゃないです!誰ですか!この人!人間ですよね?というか二人はどんな仲なんですか?!魔王様とタメ口で謁見の許可もなしに話すなんて!」
あぁ、言われてみれば魔王って魔王だったね。
でもさ?
友達と会うのも話すのも普通だよね。
それにどんな仲なんて今言った通り
「「友達ですが何か?」」
「なんなんですかぁ!」
完全にアウェイな感じですなぁメイドさんは。
それにしても友達なんていないものかと思ってたら以外にいるんじゃん。
少し安心した。
「落ち着け、メリア」
「………ふぅ。はい」
あっ、真面目な雰囲気の魔王様の一喝で静かになった。
というかこのメイドさん、メリアって言うのね。
「改めて、この方はどなたですか?」
私のことですな?私のことは私から話しましょう。
「私はリーリア。魔王の友達で、元聖女」
「というわけだ。わかったな」
さっ、話を続けましょうか。
「ちょちょちょい!待てや!」
メリアさん、話が進まないんですが?とは私は大人なので言わない。ですが、早めに話をしたいので早くしてください
「聖女ってどうゆうことですか!」
「そんなに慌てるな。聖女と言っても元だ。それにリーリアは友達だ。心配しなくてもいい。それに企んでるなら我を蘇生させる意味なんてないのだからな」
そうそう。私は怪しい聖女じゃないよ。
「蘇生?魔王様?蘇生とはどういうことですか?」
「あっ」
おい、魔王。言ってなかったのかよ。
しかもそれを自然に言っちゃうとか。
私はなんだか二人を見る目が漫才を見るような目になってきた。
「ちょっと、ちゃんとしたお話を聞かないといけませんね」
「り、リーリアぁ」
弱々しく、私を頼ろうとするな。
うん。私は何も関係ない。すなわち目をそらしても問題ない!
私は目をそらした。
魔王の目が捨てられた子猫みたいになった。
それから説教が始まった。
その間私は暇なので脳内でパズルをして遊んでいた。




