表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/50

聖女、お世話になる



ほうほう、なるほどね。


私は寝ている間に何があったかを聞き納得した。

ついでにこの村がとてもいい村ということも理解した。


「まぁ、さっき言った通り私は報酬はいらないから」


そもそもそんなつもり無かったし、加えて欲しいものはちゃんと買うし。

もらう必要ないし。


「そうかい。なら、村長に伝えとくよ」

「ありがとう」


さて、私のやるべきことはもうな………いかん!?


「ところで嬢ちゃんは何をしに――」

「食料と家具の調達に来たんだったぁ!?」


忘れていたことを叫んだ。

何をしに来たのか忘れてたら駄目だろうに。


「いつから人助けが私の目的にすり替わってたの?」


いつの間にか自分の目的とか諸々脳内ですり替えられていたことに驚きを私は隠せない!


くっ、まさかこんなところで私の性格が仇になるとは。


「すみません。お金はちゃんと払うんで、どこか食料と家具の買える場所に案内してください!」


私は門番さんとユキミさんに頭を下げてお願いした。

多分今は大変な時期だと思うのでそんなときに案内をお願いするのだから頭を下げるのは当たり前だろう。


「ちょいちょい。そんなもん頭なんて下げずともいくらでもしてやるよ」


そんな私を見かねて、笑顔で嫌って素振りを全く見せずそれを言った。

ユキミさんも隣で頷いている。


「ありがとうございます」

「礼はいらない。むしろこれくらいしかできないからな」


むしろこれくらいもです。とは言い難いので言わなかった。



建物を出ると、来たときとは比べられないくらいの活気と人に溢れていた。


「嬢ちゃんが救ってくれたんだ。この村の景色を、な」


私がその変化に見惚れていると隣からそんなことを言われた。


私が救った景色、ね。


言われて気づいた。

私は終わったあとの景色を見たことはない。

いつもいつも、仕事を終えて一日二日滞在してもそれだけだ。

過程の景色は見たことがない。

日常の景色も普段からガチガチの護衛に囲まれたり、アホといるせいでキャキャ言われて普通とかけ離れてる光景だった。


「うん。温かい」


一人一人の笑顔は優しく、困っていれば助けてくれる。

ここは平和という言葉がふさわしい。


「魔族も人もやっぱり違いなんてそうないじゃない」


最後のそれには悲痛が込められていた。



「おまたせ。ここがそうだ」


おおっ!

家具屋。窓から除くとたくさんの魅力的な家具が並んでいて、入り口の看板から手作り感のある可愛らしい店だった。


「ただなぁ、ここの店主が」

「早速行きましょう!」


何かを言おうとしていたが私の耳には届くはずがなかった。

だって今の私は目の前の素晴らしい家具のことしか頭にないのだから!


カランッ

入り口の扉を開けてベルがなる。


「ひゃー、凄い凄い。どれもこれも可愛いし、オシャレ」


入ってすぐにあるランタンや素敵な柄の布地。それに使い勝手の良さそうなベットなどに私は興味津々で食い入るように見つめた。


「いらっしゃい」


不意に私に影が差し掛かる。

それと同時に太い声が聞こえる。

そっと後ろを振り返ると……


グラサンをかけた二メートルはある筋肉盛々のおじさん?いやお兄さん?どっち?がいた。


思わず、ヒッ、って声を上げて後ずさる。


「なにかお探しですかな?」


オジサマだ。

口調とその声に私はこの人をオジサマと断定した。


「えっと、家の家具を見に来たんです」

「そうですか。ごゆっくりどうぞ」


そう言うとオジサマは下がっていった。


「えっ?何あの人」


下がっていって、思考がようやく追い付いた。

そして至極真っ当な疑問を口にする。


「ここの店主でここの店の商品を全部作っているライネルさんだ」


へぇ、ここの店主……ここの店の商品の製作者ねぇ。


「はぁっ!?!」


私は思わず声を大にして疑問の声を上げた。


だっておかしいじゃない!

あれだけの筋肉と体格で、グラサンとかかけて、オジサマでどこにこんなセンスが?!


「わかる。その気持ちは凄くわかるが、現実だ」


まっ、マジっすか。


なんとなく視線を横に流す。

するとそこには凄く精密に掘られた猫の置物が置いてあって


「どうやってんの!?」


って、再三驚くのも無理ないことなのだろう。



「ふぅ、まぁ今は良いとして」


叫び疲れたのもあり、私はひとまず落ち着いて、店主とは普通に接することにした。

私は店を端から端まで見て回り、いい感じの家具を見つけていた。


「この三つください」


ソファー、テーブル、そして物置棚。

この三つを選び会計をお願いした。


「おぅ、えっと三つでこれくらいです」

「えっと………ん?」


そこには、明らかにやすい数値が出されていた。

私は予め三つの値段も確認して計算してから会計に出していたので、すぐに気づいた。

数値にするならおよそ半額。

握りしめたこの金貨半分はどうすれば……。


「あの、計算間違ってます、よ?」

「いいえ、間違っていません」


間違いかもしれないから指摘するとやんわり否定された。


「これは私の気持ちです」


反論しようとして、止めた。

受け取ってくれとその目が私に訴えかけていた。


「はい。そうですね。それでは、はい」

「……確かに。ありがとうございました」


その、ありがとうございました、はどちらの意味でなのか私には理解できなかった。


その後、私は購入した品を設置してもらう段取りを決めておき、家が完成したらその時にまたここに訪れて設置してもらえるようにした。


目的を達成したので私は一度門番さんの家に戻ることにした。




本当はもっと前に更新するつもりだったのに……夏バテと忙しさに負けた。今日も帰ってきてから寝てたし。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 用事が出来たから、誤字報告だけして読んでる途中で出掛けたけどもしかして誤字報告を誰もしてくれない?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ