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家族(エリアレーゼ「主人公の師匠、薬師の聖女」視点)

(主人公が近衛騎士たちに捕まった頃)



森の中に家が見える。

扉が開いて十二歳くらいの少女が飛び出してくる姿が私には映った。

お母さんおかえりなさい。

「ただいまエイリーン」

そして三十半ばの無骨な男性が、いつものように娘の後ろに現れた。

おかえりエリアレーゼ。

「長く家をあげてすまないリーンハルト。ただいま」

私は家の扉を開けて中に入り椅子に腰掛ける。

僅かにほこりが舞う。

あの日からなんら変わらぬ室内の様子に目を閉じた。

お母さん、疲れてるの?

「大丈夫だよエイリーン」

エリアレーゼ、少しはゆっくりしても良いんだぞ。

「リーンハルトは心配性だな。これくらいなんでもないよ」

そう、私は大丈夫

「なんで自殺では天国に行けないんだろうな・・・」

時間が経ち、日が傾き始める。

私は持ってきた食材で三人分の料理を作って食卓に並べた。

そして椅子に座れば笑顔の娘と無骨なあの人の姿が私には見える。

おいしいねお母さん。

なぜか娘に弟子の姿が重なって見えた。

「違う、違うんだエイリーン、私の娘はおまえだけだ」

私は家から飛び出して夫と娘のお墓の真ん中で眠りについた。



「いってきます」

次の日、掃除をしてから家をあとにする。

それから倒木などで荒れた森の道を抜け、日が暮れる頃に馬を預けていた村に到着、そして翌朝村を出立し、二日後の太陽が沈む少し前に街の西門に到着した。

「落ち着いて聞いてくれ。先生のお弟子さん、娘さんが王太子殿下の命令で連れて行かれた・・・」

門番があり得ないことを言っている。

なぜあの子が?

心当たりがないわけではない。

あの子と出会ったとき、胸の辺りに犯罪者の焼印が押されていた。

だがもう四年も前の話じゃないか。

なぜ今頃になって。

私はいつの間にか家に帰ってきていた。

門番の話では、あの子は近衛騎士に連れて行かれたらしい。

近衛騎士を使ってあの子を四年も捜索し続ける罪とはなんだ。

そもそもあの子と出会ったとき。

「聖女マリルレーゼ、行かぬのか?」

私はその声に顔を上げた。

「ゲントバル司教・・・」

彼は何時入ってきたのだろうか。

「娘が近衛騎士にさらわれたのだろう。助けに行かぬのか?」

「・・・」

司教にあの子は家族と伝えているが、あの子は本当の娘ではない。

「マリルレーゼよ、今回のことは何かがおかしい。この街の領主にも探りを入れたが情報は全くなかった。情報がなかったのだ。つまりあの子を何年も探していたとは考えにくい。だからおそらく人違いじゃ。わしが四年前からこの町であの子とマリルレーゼが共に暮らしていることを証言しよう。なに、わしはどうせ先は短いのじゃから迷惑がかかるなどと考えなくても良い。とにかく王都へ行ってみぬか?」

「・・・」

私はどうしたいのだろう。

娘ではないあの子を・・・

「わしはあの子との関係について気付いておる」

私は驚いて顔を上げた。

「答えんでくれ。そなたが口にせぬ限りこれはわしの予想にすぎぬ。知らねば嘘をついていることにはならぬからな」

ゲントバル司教は娘のエイリーンと会ったことはないので、顔は知らないはずだがどうしてばれたのだろうか。

「わしから見てそなたたちは、少し変わっておったが仲の良い家族に見えていたよ。本当の家族のようにな。さて、そなたが行かぬとしても、わしは一人で王都へ行く。薬師の才能がある者は貴重だからな。そなたはどうする」




すまないエイリーン、おまえの名前をあの子に貸してやってくれ。

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