成り代わり令嬢「前編」(14歳+21歳の女「転生者」視点)
(主人公と転生者が出会った後)
街でライバル令嬢と接触したその後、入れ替わるために原作通りなら彼女がいるはずの場所に向かった。
父のへそくりをちょろまかしてきたので移動は簡単だった。
ライバル令嬢と私は顔は似ているが、背丈は私の方が高く、おそらく私の方が年上だろう。
まあ私は童顔だが二十歳を超えているので当然なのだが、そのためライバル令嬢と入れ替わるためにいろいろ対策を考えた。
まあそんな必要は無かったけどね。
別邸の近くで様子をうかがっていたら使用人にあっさり見つかってしまったけれど、使用人は何も疑うことなく私を別邸に迎え入れた。
なんとも拍子抜けだ。
原作では伯爵夫人の療養に同行している設定だったのに、夫人の姿はそこになかった。
以前旅商人の父を誘導してカルテ伯爵領に行った事がある。
もしかして私、本当は伯爵令嬢で誘拐とか事故とかでいろいろあって今の父に拾われた、なんて可能性を考えたのだ。
まあ現実は城に生まれて間もないライバル令嬢がいた。
これは城へ行商に行った父から聞いた情報で、ライバル令嬢には直接会ってはいないが、伯爵夫人が赤子のために上等な布類を望まれたそうなので間違いないだろう。
ついでに伯爵夫人はとても元気だったらしい。
ゲームでは伯爵夫人は産後に体調を崩して別邸で静養するはずだが、この時点ではそんな兆候はなかったようだ。
ついでに香辛料は売れたが宝石は売れなかったとか、侍女が高価な薬を買ってくれたとかいらない情報も聞かされてうんざりした記憶がある。
物語が変化してる?それともライバル令嬢が何かした?
まあそれはわからないけど伯爵夫人がいないならばれるリスクが減って助かる。
それに伯爵夫人がいないなら私がこの別邸の主よね。
その夜、生意気なマリルレーゼとか言う女がやってきたが、物理で殴っておとなしくさせた。
手の届く範囲なら魔法より拳の方が早いのは当たり前じゃない。
だけどライバル令嬢の先生、こんなキャラいたっけ?
それから約一年、貴族の常識などを使用人のマリルレーゼから学んだ後に伯爵邸に向かった。
馬車から降りてカルテ伯爵に笑顔でお父様、と呼んだだけで彼は私を溺愛した。
ちょろすぎる。
ライバル令嬢はなにが不満だったのか?
破滅につながりそうな領内の犯罪組織は課金アイテムである傭兵団を使って潰した。
ゲームではこの傭兵団をショップで購入することができ、好感度上げをサボっても騎士ルートの重要な分岐である誘拐イベントを乗り切れる。
おまけにヒロインを誘拐しようとした犯罪組織はライバル令嬢の実家を本拠地にしており、ライバル令嬢の好感度をゼロにしてしまう効果があった。
まあ、つまり課金すれば誰でもクリアーできるお助けアイテムだ。
それをヒロインより先に手に入れて領内の問題は解決したけど、この犯罪組織が人身売買までしてるなんて思ってなかった。
罪をねつ造して犯罪奴隷や借金奴隷として売っていたようだ。
まあゲームでヒロインを誘拐しようとしていたのだから考えれば当然なんだけど、ゲームではその部分は語られなかったし、気づかなくても仕方がないでしょう。
人身売買を始めたのはごく最近で、売られたのは十八人
そのうち十人は買い戻し、七人は帰りたくないと言うので借金は肩代わりして普通の住み込み従業員として扱ってもらえるように手配した。
一人だけ売られた先から逃げ出した人がいたみたいだけど、その子を買ったのは怪我で引退しその後亡くなった先代らしく、現在詳細を知っている者はいなかった。
まあ一人くらい誤差みたいなものでしょ。
チョロいお父様は私をひたすら褒め、色々な物を買ってくれた。
私って凄い。
私って神に愛されちゃってる。




