50 図書館とイザーク王子9
「ア、アリシア?!」
アリシアの取った行動に、隣にいたヴァイオレットは驚き顔だ。
「ごめん、ヴァイオレット。つい・・。けど。」
そんなアリシアの懇願する様子に、ヴァイオレットはこの子はまたと呆れ顔をしながらも、わかったわよとクルリと背を向け3人組に向き合った。
「さあ、そこの3人のうちの誰が私と組むのかしら?」
ヴァイオレットが声を掛けると、先ほどまでヒソヒソ話をしていた3人組は、ビシッと姿勢を正し我が我がと競って名乗りを上げ始めた。
そしてあっという間にペアは決まった。
ヴァイオレットとのペアを勝ち取った男子は人生で1番幸せと言わんばかりの満面の笑みを浮かべていた。
さすが今をときめくカリスマ美人生徒会長。すごい人気だわ。
「よろしく、お願いします。」
アリシアはといえば、イザークの隣の席に座りおずおずと声を掛けた。
アリシアと向き合ったイザークは、アリシアの顔を瞬間眺めるとフンと鼻を鳴らして横を向いた。少し頬が赤いように見えるのは気のせいかな。
「・・フン。俺は心が広いからお前のような者でもペアになってやる。」
な、なんて可愛くないヤツなの?さっきまで泣きそうだったくせに!
アリシアはイザークの発言にそう思うも、ぐっと我慢してギギギと口の端を上げ笑顔を作ってみた。
そう、会話の第一歩は笑顔から。とりあえずムカつくヤツでも笑ってみよう。
イザークはアリシアに笑顔を向けられて、なんのつもりだとかその手には乗らぬとか意味のわからないことをのたまいながら、顔をタコみたいに赤くしてバッと背を向け深呼吸をし始めた。
うーん、挙動不審の極みだわ。
イザークのおかしな行動を眺めながらアリシアがポカンとしているとヨハネス先生が説明をし始めた。
「は~い。では、ペアで順番を決めてお互いの精霊の加護について自分がわかっていることを話してください。それが終わったら、加護の発現の仕方を。自分が認識していることを思い付く限り話してみてくださ~い。はい、始め!」
ヨハネス先生の説明にアリシアは困惑した。
え、私、何も話すことないかも・・どうしよう。
アリシアが困り顔をしているとイザークが口を開いた。
「フン。俺から先に話すぞ。お前は有り難くちゃんと聞いていろよ。」
そしてイザークは自分の加護について話し出した。




