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35 ヴァイオレットの恋7

初めて見る公開訓練はすごい迫力だった。


間近で見る剣戟の音は想像するより遥かに鋭く大音量で、刃は潰してあるとは言っても熟練の騎士同士のぶつかり合いは、見ていて思わず肩唾を飲んでしまう。


「すごい・・私、気を失いそう。」


隣を見るとヴァイオレットがキョロキョロと視線を動かしながら場内を見ていたが、次にあるだろう騎馬訓練の準備をしている一群を見て声を上げた。


「セオドア兄様!」


やや小走りにヴァイオレットがその一群に1番近い柵の前まで移動していき、柵の中に向けて手を振った。


馬の鞍を付け替えていた赤毛の青年が振り向き、周りに軽く一礼をして柵の前までやってきた。


「やあヴァイオレット。それにジェームスも。来てくれて嬉しいよ。2人とも変わらず元気そうだね。」 


「ああ、僕は変わらず・・」

「セオドア兄様こそっ。身体の調子はどうなんですの?騎士団で頑張り過ぎて無理してないですのっ?あっちょっと痩せた気がするわ?ちゃんと食べてますのっ・・・・あとこれっ・・差し入れですのっ!」


ヴァイオレットは、ジェームスの会話を遮る勢いで一息に話すと、サンドウィッチの入った籐のバスケットをぶんっと音がしそうな勢いでセオドアの前に突き出した。隣にいるジェームスが苦笑いをしている。


「ヴァイオレットは相変わらず心配症だね。痩せたんじゃなくて少し引き締まったのかもね。でもありがとう、心配してくれて嬉しいよ。差し入れ、せっかくだから後でみんなで食べよう。休憩になったらまた来るよ。」


穏やかそうな顔をした赤毛の青年は、捲し立てるように喋るヴァイオレットに、ふふっと優しげに微笑んでぽんぽんと頭を撫でた。

ヴァイオレットを見ると顔だけじゃなく耳の後ろまで真っ赤にしてプルプルと震えていた。


 


「ね?本当に素敵でしょう?セオドア兄様は。」


騎馬訓練を見ながら嬉しそうにヴァイオレットが話す。

馬上のセオドアをうっとりと蕩けるような顔で眺めている。


「とても優しそうな方ね。いい人そう。」


セオドア様は派手なイケメンではないけれど、誠実さが顔から滲み出たような穏やかで優しそうな方だった。


「やれやれ。性格が良いのは認めるけど、本当にセオドアのどこがそんなにいいのか。僕のほうが顔は良いと思わない?」


ジェームスが甘い笑顔で同意を求めるようにアリシアを見る。アリシアはどう答えて良いのかわからずしどろもどろだ。


「全部よ!ぜ・ん・ぶ!!貴方は腹黒で軽薄なのよ。セオドア兄様の爪の垢でも煎じて飲みなさいっ。」


ヴァイオレットがジェームスをそう嗜めていると休憩に入ったセオドアがやってきた。


ヴァイオレットは薔薇が咲いたような微笑みを瞬時に浮かべた。


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