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33 ヴァイオレットの恋5

「アリシア、もう行きましょ!」


ヴァイオレットはガタンと音を立てて席を立った。

いつも完璧な淑女たる所作を崩すことのないヴァイオレットが苛立ちを隠せずにいる。


けどジェームス様が、とアリシアはヴァイオレットとジェームス様の顔を交互に見比べるけれど、ヴァイオレットは1秒でも早くここを離れたいと言わんばかりにテーブルに背を向けてしまったので、慌ててアリシアはその後を追った。


ジェームスはそんなヴァイオレットの様子に動じることもなく、ペコリとお辞儀をするアリシアにぱちんとウインクすると、歩き出すヴァイオレットの背に声を掛けた。


「ヴァイオレット、次の休みの日は、迎えに行くよ。どうせ()()セオドアのところに行くんだろう?」





「ほんっとにムカつくわ!!」


ヴァイオレットは淑女らしからぬ言葉遣いでジェームスに対する怒りを露わにする。


花の乙女の恋バナを邪魔された上に揶揄われたと口から炎を出さんばかりの勢いだ。


「確かにジェームス様もどうかなとは思ったけど、ヴァイオレットもいつものヴァイオレットじゃないわ。ジェームス様にだけすごく突っかかるんだもの。」


ヴァイオレットは軽く口を尖らせて頬を膨らませた。

うん、美人は膨れっ面も可愛いのねとアリシアは思う。


「けど、ヴァイオレットとジェームス様は本当はどういう関係なの?ジェームス様はセオドア様のこと知ってるっぽかったし、ただの婚約者候補には見えないんだけど・・。」


アリシアは、カフェでの2人のやり取りを見て思ったことを口にする。

ヴァイオレットはぶすっとしたまま本当に嫌そうに小さな声で答えた。


「・・アイツも、幼馴染なのよ。」



意外。けど、だからか。

アリシアは、ヴァイオレットの普段らしからぬ態度に対してストンと納得がいった。

かちりと何ががはまった気がしてポロリと言葉がでた。


「ヴァイオレットは、きっとジェームス様にはかなり気を許しているのね。」


どこがなの!とヴァイオレットは即否定したけれど、普段どんな人に対してもヴァイオレットは凛とした態度を崩したことがない。例え非礼を働かれたとしても。


「揶揄うようなことも確かに言うし軽いけど、ヴァイオレットがあんな態度を取っても怒ったりしないから、私はそんなに悪い人じゃないように思うけど。」


そう宥めるように言うと、アリシアは気が良すぎるのだとヴァイオレットに怒られた。


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