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25 なぜ私は、もし私が

次の日、アリシアは入学して以来初めて授業を休んだ。



朝、ベッドからどうしても起き上がれず、夜具を深く被ったまま侍女に体調が悪いのと伝えた。


いつも起床の確認に行く時分には既にひと通りの支度をし終えているアリシアの、そんな様子に慌てた侍女がニーダム夫人にそのことを伝えると、「わかったわ。学園に連絡して頂戴」と一言いいケイトを連れてお茶会へ出掛かけてしまった。




アリシアはベッドに横たわったままボンヤリと天蓋を見つめていた。


今まではケイトに何を奪われても、怒れてもきたし嫌ではあったけれど、仕方ないと諦めて見て見ぬ振りができた。


けれど、生まれて初めてできた友人からのプレゼントまで奪われたことには、深い悲しみで胸が引き裂かれそうになった。



なぜ、私にはこんな妹がいるんだろう。

なぜ、私の家族はそんな妹の味方なんだろう。

なぜ、私の両親は私を見ないんだろう。

なぜ、私の婚約者はチャールズなんだろう。

なぜ、私はピカリング家に嫁がなければならないんだろう。

なぜ、私にはこんな加護があるんだろう。

なぜ、私は加護を使えないんだろう。


なぜ、ナゼ、何故。


もし、私が加護を使えたら私はもっと自信に満ちていたんだろうか。

もし、私に加護がなかったら私は家族から愛されたんだろうか。

もし、私がピカリング家に嫁がないのならもっと私は自由だったんだろうか。

もし、私の婚約者がチャールズでなかったら私はもっと幸せだったんだろうか。

もし、私の妹がケイトでなければ両親は私を見てくれたんだろうか。

もし、私に妹がいなければ私の人生は薔薇色だったんだろうか。


もし、、、



「私は、生まれて来なければ良かったのかしら。」



そう呟くと、アリシアは緩慢にベッドから起き上がった。


アリシアを心配していた侍女は、すぐにアリシアに駆け寄り起床の準備をし始めた。


アリシアは支度が終わると侍女に感謝を伝えて部屋を出た。

ほぼ無意識に足が向かう先は一つ。

 


「図書館に行ってくるわ。」




図書館に着いたアリシアは真っ直ぐにいつもの場所に向かった。


中庭に繋がる扉を開けて大樹の下を見ると、いつも、まるでそこに飾られた置物かのように必ずいるはずのボサボサ髪の姿はなかった。



「今日は、、今日だけは居て欲しかったのに、、」



泣きそうになるのを堪えて中庭に背中を向け、のろのろと出口に向かって歩き出そうとしたとき、ポンと肩を叩かれた。



振り向いた先には、銀のボサボサ髪に、瓶底眼鏡、ヨレヨレの服。



「・・マックスさん・・・!」



アリシアは大粒の涙を零した。

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