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21 もう1人の神の加護者

先生は授業の最後くらいにチラリと加護を与える者についての話をしていた。


加護は精霊が主に与えているが、稀に大精霊、さらに極めて稀に神が与えており、大精霊は10年に1人、神になると100年に1人くらいの確率で加護を与えるそうだ。


そして今この国では、奇跡的に2人の者に神の加護が与えられているという。


1人はアリシア、そしてもう1人はーー


「この学園の理事長です。お忙しい方ですので確約はできませんが時期があえばお見えになると思います。」


この話に教室内は沸いた。

あの知略の神がと男子たちは興奮して顔を見合わせていた。



一方、理事長が神の加護持ちだと聞いたアリシアは目を大きく見開いた。


私の他にも神の加護を授かった人がいる。



話してみたいーー



その日アリシアは、顔も知らない理事長のことを考えて昨日に続きまた眠れなかった。




次の休みの日、アリシアは図書館にいた。


この間の授業からずっと理事長のことが頭から離れなくて、前に適当に流し読みした王弟の奇跡譚を改めて読んでみようと思ったのだ。


伝記・王室の棚を見ると、目の前の棚の一列が全て理事長である現王弟について書かれた本だった。


中には「美の化神~麗しの王弟」やら「知略の神の思考力」やら、やや伝記から外れたようなものもあったが、いずれにしても王弟の人気の高さを物語っていることに間違いない。


「改めて見るとすごい。」


適当に手に取った本の中表紙には王弟の横顔が描かれていた。通った鼻筋に切長の涼やかな目元、それに沿う意思を感じる眉、美しい銀髪。


「大抵こういう肖像画は現物の何倍も盛ってるそうだけど、みんなの反応からすると実物に近いのかもしれない。」


しげしげと肖像画を眺めながらアリシアは呟く。


パラパラと本を捲り、棚の中で1番内容が現実に近そうだと感じた本を2冊ほど借りることにした。



その後、アリシアが向かったのはいつもの中庭。


大樹の下の銀のボサボサ髪を見つけると、アリシアは嬉しくなって駆け寄った。


「マックスさん!こんにちは!」


アリシアは瓶底眼鏡に向かって満面の笑みを浮かべた。



マックスさんはいつも通りのアリシアにしか聞こえない小さな声で会話に相槌を打ってくれていたが、アリシアが借りた本を見ると、(加護の勉強ならもっと良い本がある)と言って本を借り換えるよう勧めてきた。


マックスさんオススメの加護の本も気になると思いながらも、理事長に興味があるから借りるのだと言って今回は断った。

 

けど、本なら何でも好きなマックスさんにしては珍しい。


マックスさん、王弟殿下は好きでないのかしらね。

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