18 2学年になり
平日は学園、時間のある休日は図書館というサイクルを守りながらアリシアの大波小波に揺られた1年次は終わり、気がつけば2学年に進級していた。
ケイトは凝りずに時々カフェに現れてはチャールズその他を侍らせ、それに対してアリシアが何も発言しないため、アリシアとチャールズの不仲説はますます強くなっていった。
さて、アリシアの2学年でのクラスは、当然のことながらSクラスだ。
ヴァイオレットも同じクラスで、また1年一緒ねと2人して喜びあった。
蛇足ながらイザークはAクラス、ボールはなんとBクラスに落ちていた。
噂では、2人ともケイトを好きになってしまい勉強に身が入らなかったとかなんとか。
「好き」と言っても、胸の谷間を見たり押し当てられたりしているうちに性欲なのか恋心なのか良くわからなくなってしまった類のものだろう。
2人とも新入生のなかに婚約者がいると聞いたが大丈夫なのだろうか。
そしてチャールズとゴッグは、まさかのCクラス。
座学成績はずっと最下位を2人で争っていたはず。教師に金を積んだんじゃないかと専らの噂だ。
同じクラス内で授業が完結していた1学年と違い、2学年からは他クラスの学生と一緒に受ける授業が出てくる。
そのうちの1つが、加護持ちのための特別授業だ。
加護持ちは、特に男子は将来国の中枢で働く可能性が高いため、加護に関してのきちんとした知識や倫理、能力を最大限発揮させる方法やそのコントロール法を学ぶことが必要とされる。
アリシアたちの学年の加護持ちは8名。
アリシアとヴァイオレットの他、イザーク・ボール・ゴッグ。後の3人は1年の時はクラスが別だったのでこの授業で初めて顔を合わせる。
「国の中枢で働いてらっしゃる加護持ちの方が順に授業に来られるそうよ。楽しみね!どんなことをやるのかしら。」
ヴァイオレットはきらきらと顔を輝かせている。
火の精霊、しかも大精霊の加護を持つヴァイオレットは、自分の力のコントロール力を上げたいと前から思っていたそうで本当に嬉しそうだ。
アリシアはといえば、そんなヴァイオレットとは真逆で、加護持ちの授業のことを考えると気持ちがどんよりする。
そもそも自分で使えもしない加護にコントロールも何もないし、クラスメイトにはあの3人もいる。後の3人は知らないけれど、またいつものように嫉妬されて嫌われるお決まりのコースだろう。楽しい想像なんて出来ない。
楽し気なヴァイオレットにそんなことも言えず、アリシアは気が重いとため息をついた。