15 なぜかいる妹
ケ・・ケイト?!なんでここに・・?!
アリシアは白昼夢でも見ているのかと自分の目を疑った。
目を何度か瞬かせるも、やはりテラスの一角の席にチャールズといるのは派手なピンクのドレスを着て髪を盛りに盛った妹のケイト。髪飾りやアクセサリーがゴテゴテ金綺羅していてなんとも下品だ。周りの女子も眉根を顰めている。
身体が弱いはずのケイトは特Aランチのモリモリスタミナ牛肉ステーキを口いっぱいほおばりながらチャールズと楽しそうに話していた。
そして、チャールズの隣には騎士団長の息子である筋肉ダルマのゴッグ。いつの間にチャールズと仲良くなったのか。
ゴッグは上機嫌で、ケイトが上目遣いで話しかけるたびに顔を赤らめていた。何ともちょろい男だ。
呆気にとられて見ていると、そこにさらにイザークとボールが合流した。
ケイトは席に現れた顔だけは良い2人を見るとさらにテンションが上がったようだ。
自分が一番可愛く見える角度でシナをつくり上目遣いで2人を見つめた。
ケイトの幸薄い、もとい儚げな容姿とそれにそぐわない膨らんだ胸に2人は鼻を膨らませた。
「まあっ。チャールズさまぁ。ケイト、ご挨拶をしたいからお二人のお名前を知りたいですのっ。」
「ああ、なんてケイトは礼儀正しく美しいのだ・・。こちらはこの国の第3王子であられるイザーク様と宰相のご子息ボール様だ。」
ケイトの瞳孔が開いて口の端が上がったのが遠くからでも見えた。
ケイトは胸を両腕で押し上げながらクネクネと身体を捩らせた。
「初めまして♪ケイトですぅ。不慣れなので色々教えてくださいっ♪」
鼻をさらに膨らませながらケイトの胸元にできた谷間を4人の男子がガン見したところまで見ると、ヴァイオレットとアリシアは白い目をしてやっぱり今日は中で食事を取りましょうと踵を返した。
「馬鹿ですわね。」
「そうですね。」
そう言って屋内に入る扉に手を掛けた時に、大変運悪くケイトに見つかってしまった。
「あ、そこにいるのはアリシアお姉さまじゃないですかぁ。」
大声でケイトが叫ぶので、テラスにいた学生がちらちらとアリシアを見る。
恐る恐る振り返ると、ケイトが口の端をこれでもかと言うくらいに上げわざとらしく大振りに手を振った。
「ずっと待ってたのに無視するなんて酷いですわ。今日は一緒に食事をしようって誘ってくださったのはお姉様ですのに。」
いや、誰も誘ってない。
そう思うも、周りの目は一斉にアリシアに向いた。