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12 初めての友人

アリシアとヴァイオレットが向かった先は学園のカフェテリア。


いつもはカフェテリアの手前の店で売っている軽食を買い、庭園の片隅で食事を済ませていたのでここで昼食をとるのは初めての体験だ。


アリシアの物珍し気な視線にヴァイオレットが微笑んだ。


「アリシア様はカフェは初めてですの?ここの食事はなかなか美味しいんですのよ。」


ヴァイオレットに教えて貰い、本日のおすすめランチを注文する。今日はスモークチキンのサンドウィッチだった。

スープと一口サイズのオードブルに、ちょっとしたデザートと飲み物がついてきた。値段も手頃だ。


「今日は天気が良いからテラス席にしましょうか。」


ヴァイオレットについてテラスに出た。ちょうど良い具合に2席空いていたのでテーブルに料理を置いて腰かける。



「ふふ。改めましてかしら。私はヴァイオレット・ヘレフォードよ。ヴァイオレットと呼んで頂戴。」


「こちらこそ、よろしくお願いします。私はアリシア・ニーダムです。アリシアと呼んでください。」


初めてのクラスメイトとの昼食にアリシアは緊張していた。それを察してくれたヴァイオレットが上手く会話をリードしてくれてデザートを食べ始めるころになると会話がはずんで止まらなかった。


「やっぱりアリシアさんは思った通りの博識さね。話していてとても面白いわ。今度ぜひうちにも遊びに来て頂戴。」

「私も話をしていてとても楽しいです。こんなにたくさん年の近い人と話したのは久しぶり。」


そんなアリシアの言葉にヴァイオレットはほんの一瞬だけ顔を曇らせた。


「ご、ごめんなさい。変なこと言って。」


アリシアが謝ろうとするとヴァイオレットはおもむろに話し始めた。


「・・私も幼い頃は、自分の与えられた加護に振り回されたわ。周りは私のことをはやしたててチヤホヤするけれど、それは精霊の加護をチヤホヤしてるだけで誰も私のことなんか見ていないって思っていたし。どんどん内側に籠っていったわ。」


あ、私と同じだ。アリシアは太陽のように明るく強いヴァイオレットの意外な過去の話に驚く。


「けれど、ある時吹っ切れたの。私は私だって。自分の価値は自分で決めるって思ったら気が楽になったわ。」


それは、どうしてそんな気持ちになれたの?そう聞こうとした時に残念ながら午後の授業の予鈴が鳴ってしまった。


ヴァイオレットがしてくれた話にアリシアは、自分もそうなれたら良いのにと強く思った。


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