65話 双子の良い点と悪い点
「はーい起きてー朝だよー!」
くそっやっぱりあの鳥が鳴かないとドーコに勝つことは無理なのか? いやちょっと待て2人を家に住ませてしまってるから当分やる機会なんて訪れないんじゃ……。まずいな俺はまだやりたい盛りだぞ。どこかのタイミングで町の宿に泊まるしかないな。
「ドワルフー! 何やってるのー!」
「今降りるよ」
下に降りるとみんな席についていた。キーは晩ご飯を食べてないのもあってか今すぐ食べたそうにご飯を見つめている。
「じゃあ」
「「「「いただきまーす」」」」
やっぱりキーの晩ご飯を昨日作っておいて正解だったな。飢え死に間際なのかと言う勢いでご飯にありついている。
リカの方は昨日はやっぱり悩んでよく眠れなかったみたいだ。少しクマが出来ている。でも今日はキーが凹む日になる気がするんだがなー。ちゃんとリカが眠れる様にリカの作品の素晴らしさを伝えながらやらなきゃな。
「「「「ごちそうさま」」」」
早速みんなで鍛冶場に向かってから配信をつける。今日のタイトルは『昨日の弟子の改善点』でいこう。
「じゃあ早速今日は昨日の良かった点と反省点を教えながら俺が作業するからよく勉強する様に!」
〔□:おぉ待ってました!〕
〔○:俺もなんだかんだ見ちゃう様になったな〕
〔○:俺も俺も!〕
〔エマ:おはよう。あんまり厳しくし過ぎない様にね〕
〔ドワルフ:あぁわかってる〕
〔ゾルギン:俺も勉強させてもらおうか〕
〔ドワルフ:おぉゾルギン! と言っても今日はただの鉄だからあんまりゾルギンには勉強にならないかも知れないけどな〕
「じゃあまず昨日のキーとリカが作った作品から見ていこうか」
そう言って俺は両方の鎧を横に並べる。
「へへーん俺はちゃんと全部作れたのにリカは出来てないのかー」
誇らしげに言うキー。悪いが今からその伸びきった鼻を折ることになる。
「じゃあまずキーの良い点から言っていこう。一日で鎧を作り切るなんて初心者じゃまずあり得ないほどすごいと言って良いだろう。リカなにかキーの鎧を見て思うことはあるか?」
「私も1日で完成させるのが凄いと思いました」
〔□:確かにそれは凄い。だがなー〕
〔○:何が不満なんだ? 俺だったら三日ぐらいかかってるぞ〕
「そうか。だけど至る所に伸ばしたムラが目立つ。リカも気づいてたんじゃないか? これじゃあ鎧とは呼べない」
「それは……」
「なんでさ! ちゃんと守れるって」
「じゃあ試しにここをこのナイフで切ってみな」
「良いけど」
ザグッ! 案の定脆いポイントは簡単に壊れてしまった。
「そんなに力を入れた訳でもないのに壊れただろ? そう言ったポイントが何点もあるんだ。これじゃあ冒険者が来て行ってしまったらどんな被害に遭うか想像つくだろ?」
「うがー確かにこれじゃあ命を守るどころか奪いかねないな……」
「だから今度は二日掛かってもいいからちゃんとした厚みで作ってみよう。ちゃんと集中力が持ってた部分に関してはそこまでムラは酷くないしな。それに別に1日で作らなきゃダメなんて規則はないんだからな」
「はーい!」
あんまり凹まず元気なのはキーの良い所だな。俺だったらもっと凹んでた。
「次はリカの分だな。リカの鎧を見て何かキー思うことはあるか?」
「うーん1日で完成してない!」
「そういったルールはないんだってそれ以外は?」
「装飾が入ってる」
「おいおいもっと興味を持てって! 見て勉強するのが1番重要なんだぞ」
〔□:まずは見て盗まないとなー〕
〔□:うんうん〕
「俺よりムラが少ない気がする……」
ちゃんと分かってはいるのか。ただプライドで認めたくなかったって感じか。まだ子供だししょうがないな。
「そうだなよく見えてるじゃないか。リカは確かに完成こそしなかったが装飾付きで鎧を作ることに挑戦したんだ。それでいて装飾のセンスもなかなか良い。あの市場で買った髪飾りを見本にしたのか?」
「はい! すごく綺麗だったので」
「うん見る力が十分にあると思うぞ! 自信を持って良い。1日でそこまで見て盗めたらセンス抜群だ」
「なぁエコひいきしてないか?」
キーがジト目で見てくる。
「キーは急ぎ過ぎたんだ。もっとゆっくりやっていけば双子なんだし同レベルまでいくだろう」
「戻るがリカのはムラが少ない。細かく見ていけば0と言うわけではないがそこら辺に売っているものと同じレベルだろう」
商品レベルとわかり嬉しそうな顔のリカ。ここからその顔を少し曇らせるのが申し訳ないが仕方ない。
「だがこれが完成するのに一週間も掛かっていてはなかなか商売をするには辛いところがある」
「確かにそうですよね……」
「でも作業速度を上げるのは慣れればできることだと俺は思う。だよなドーコ?」
「うんそうだね。ムラを減らしたりするよりかは簡単だと思うよ」
「それじゃあ俺の方が厳しいってこと?」
「キーはそのポジティブさとやる気でなんとかなる!」
「わかった!」
なんとも根拠の薄い励まし方だが分かったらしいし、それで良いか。
「じゃあ概ね自分の直すところはわかったか?」
「うん! 俺はとりあえずゆっくりムラのないものを作ってみてから作業速度を上げる!」
「私はもっと数をこなして早く慣れることですよね?」
「互いが互いに持ってないものを持ってるしもう少し進んでいったら2人で話してみるのも良いかもな」
「じゃあ反省会も終わったし、俺とドーコで作業を始めるから、今日はリカが俺を見てキーはドーコを見てくれ。ちゃんと見てわからないところがあったら質問する様に」
「「はーい」」
師匠としてかっこいいところを見せないとな。
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