50話 伝説の鍛冶師から配信を学ぶ その2
早速家に帰る。
「「いただきまーす」」
2人でパンを食べる。簡単な昼にしたかったのでパンだけにしたがドワーフの村で食べていた保存用のパンじゃないので硬くないのが良いところだ。
「ねぇひょっとしてドワルフって重婚に興味があったりするの?」
「あるかないかでいえば少しはあるが別に相手も居ないし、ドーコだけで十分だしなー」
「商人ギルドの受付の人に鼻の下伸ばしてたじゃん!」
「あれは男の性であって仕方ないものだ!」
「そんな胸を張って言われても……もしかして暗に私の胸がつるぺたなのを言ってるの!? ひどいよドワルフー」
「勝手に被害妄想を広げるなよ。そんなことは言ってないだろ。ただ大きな胸は見てしまうものなんだそれは許してほしい」
「もう!」
「そういえば魔物の素材を使った加工はどうなんだ?」
「そうやって話を切り替えてー! でも前より遥かに作業速度が上がったよ!」
「おぉそれは良かったじゃないか。もうドーコもほとんど俺と変わらないレベルになって来たって事だな」
「そのセリフ本来なら師匠である私のセリフなのにー」
「ハハハ」
楽しい昼休憩を終えて家から鍛冶場に移る。
ゾルギンはまだ食事中だったらしく奥さんを両脇に食事を楽しんでる。許せねぇ! いやまぁ法律で認められてるんだし問題ないんだろうがなぜか許せない。男として負けた気がするからだろうか?その怒りを鍛冶仕事へとぶつける。一応自分の配信でも重婚している人がいるか聞いてみる。
〔ドワルフ:ドワーフの村で重婚してる人っているのか?〕
〔いる事はいるが殆どが1人としか結婚してないな〕
〔ドワルフ:なんでなんだ?〕
〔ドワーフってのは男女比に結構差があってな。男が多いんだ。だからあんまり重婚しちまうと他の住人から反感を買うだろ〕
髭が生えてるからあんまり男女比なんて分からなかったがそういう理由があったのか。
〔正直ドワルフがすぐ発ってくれて助かったぜ〕
〔そうだなー〕
〔ドワルフ:どういうことだ?〕
〔ドワルフの鍛冶技術と立派な髭のせいで村の女性がみんなお前に釘付けだったの気づいてなかったのか?〕
鍛冶の技術を見られてるだけだと思ってたがまさかそんな視線まであったとは。今までモテたことがないからそう言った視線にも鈍感なのか?
おっとゾルギンが昼休憩を終えて、装飾作業に入るみたいだ。ドワーフの村ではなかった小さなノミまで揃っている。確かに俺も指輪を掘る時に大きなノミで無理やり細かいものを作ったから疲れたな。今度店で買っておくか。それともいっそ自分で作るのもありかも知れない。でも道具から全部自作ってなると半端じゃない時間が掛かるだろうしそこはやはり道具の専門家に任せておこう。
ゾルギンは大きなノミでまず大きく形を作っていく。その造形には何か意味の様なものを感じた。聞くは一分のは聞かぬには一生の恥ということわざがあるし聞いてみよう。
〔ドワルフ:質問なんですが、私も装飾などを入れたりするのですが、ゾルギンさんの装飾にはよりヒューマンに特化したような物を感じます。何か意識していることなどあるんでしょうか?〕
〔こいつ調子に乗って質問なんて〕
〔ゾルギンさんの装飾は万人受けするものに決まってるだろ!〕
〔こりゃBANもあり得るな〕
〔せっかく弟子になれたかもしれないのにな〕
〔ゾルギン:よくわかったな、俺がヒューマン特化の装飾をしていると。というよりかはもし俺がドワーフ特化の装飾を作ろうとしても上手くはいかないだろう。いつかは作ってやりたいと思っているがな〕
〔おいおいゾルギンさんが認めたぞ〕
〔本当に何者だあのドワルフとかいうやつ〕
〔信じられねぇ〕
〔今日見てないやつに言っても嘘だと思われるだろうな〕
〔ゾルギン:ちゃんと教えてやっても良いがドワルフも装飾が出来るのだろう。それなら言えることはただ1つだ。相手を意識しろ〕
〔ドワルフ:ありがとうございます。教えを元に励みます〕
〔マジかよ〕
〔よーし俺もそのことを意識して装飾してみるか!〕
〔良い情報が聞けたぞー〕
〔ナイスドワルフ!〕
案外ゾルギンは気さくな人なのかもしれないな。それにしても相手を意識するか。ここであった人といえば酒場の店長に商人ギルド長か……両方武器や防具と関係ないヒューマンだな。もう少し作る相手っていうのを増やしてから挑戦した方が良さそうだな。くぅー早く実践したいのにできないというのはもどかしい。仕方ないし今はゾルギンの装飾を見ておこう。
それにしてもゾルギンは綺麗に装飾するなー俺も小さいノミがあればゾルギンより早く仕上げられるかな。
そんなことを考えながら6本目のロングソードに手をつける。自分の配信にもコメントが来てた。
〔それにしても作るのがはえぇな〕
〔ドワルフ:これでも今日はかなりゆっくりしてる方だぞ。勉強しながらだしな〕
〔そういや勉強って言ってたけどなんの勉強してるんだよ〕
〔ドワルフ:いやー作業配信で1番の配信で装飾の勉強をしててな〕
〔装飾だったらドワルフも十分できてるじゃねぇか〕
〔あぁあのオリハルコンの盾は立派な装飾が付いた盾だったぜ〕
〔ドワルフ:いやーそれはあくまでドワーフ向けに装飾なんだ。だから今度ヒューマン向けの装飾を学んでいるんだが、どうにも装飾には相手を意識することが重要らしくてな。ドワーフの装飾の時は無意識でも出来たんだがヒューマンとはまだ関わりが少ないからまだ上手く形にできないんだ〕
〔ドーコ:でもあの鎧はかなりヒューマン向けだったと思うよ〕
〔ドワルフ:あのレベルなら出来るだろうが、それでもヒューマン向けのマジックアイテムを作るとなった時真のマジックアイテムになる程の装飾はできないだろうな〕
〔ドーコ:極める目標が高すぎるよ!!〕
〔流石ドワルフだな〕
〔あぁ目指してるところがちげぇ〕
おぉ珍しく俺に配信でもコメントが早く流れた。そこまでズレたことを言った気はしないんだが、どうせ作るならヒューマン向けのマジックアイテムができる程のものを作りたいじゃないか。それにゾルギンがもしマジックアイテムの装飾のコツを覚えればそれだけで器は出来てしまいそうなレベルなんだ。俺だって焦る。
〔ゾルギン:それでは今日はここで終わろうと思う。またな〕
〔お疲れ様です!〕
〔お疲れ様ですゾルギンさん!〕
〔お疲れ様です。今日も勉強になりました!〕
〔ドワルフ:お疲れ様でした。色々教えていただきありがとうございました〕
そう言ってゾルギンの配信は終わった。まだ装飾を完成していなかったが1日で完成させるのは難しいのだろうか?
そういえば作ったロングソードに魔法印を押すのを忘れてたな。そういえば以前ドーコから機能を落とさない場所だったらどこでも良いと言っていたな。俺も持ち手の下に押しておこう。
「俺はキリのいいところまで行ったからもう終わるがドーコはどうする?」
「私ももう終わるしちょっと待っててー」
〔ドワルフ:じゃあ今日は配信切るな。 今日も来てくれてありがとう。 明日は勇者パーティーの配信を見ながら作業しようと思う〕
〔エマ:お疲れ様〕
〔おつかれ〕
〔おつかれ。明日も頑張れよー〕
配信を切る。今日の晩ご飯は何を食べようか。
GWなので本日もう1話投稿します!
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