49話 伝説の鍛冶師から配信を学ぶ その1
チュンチュン
んーこの鳥はどこにでもいるのか? 鳥の声で目覚める。ドーコはまだ眠っているので好評だった卵焼きを作ってやろう。今日は出来立てで食べさせられるぞ! チャチャっと卵焼きを作りサラダを適当に盛り付けてパンを出して朝ご飯の準備が出来た。
「ドーコー!!! 朝ご飯が出来たぞーーー」
家が大きいので1階から2階まで呼ぶのも結構な大声を出す必要があった。ドーコが眠そうな顔で1階まで降りてきた。
「おはようドーコ」
「おはよードワルフ」
「ほら前食べた時は冷めてただろうけど今日は出来立ての卵焼きだぞー」
「本当だー! 卵焼きだ! なんで作る時に起こしてくれなかったのー! 私だって作れるようになりたかったのに!」
「1つくらい俺しか作れない料理があったっていいじゃないか。そんなことよりほら早く食べるぞ」
「「いただきまーす」」
「おぉー出来立ては前よりもっと美味しいね!!!」
「だろだろ? あの日もすぐに起こすか悩んだんだぞ。そういえば今日は前の時みたいにそのー痛かったりするのか?」
「ううん。前は初めてだったのがあったからね。今回は全然痛く無いよ。でもいじめすぎるのはやめてほしいかなってこんな話朝からすることじゃなーい!」
「それもそうだな。じゃあ早速作業に入るとするか」
「そうだねー」
「「ごちそうさまー」」
★ ★ ★
じゃあまず自分の配信でもつけるか。約束したしな。今日のタイトルは『配信の勉強しながら作業パート1』これにしよう。
〔おはよう〕
〔おぉ今日ははえぇじゃねぇか〕
〔エマ:おはよう〕
〔ドワルフ:おはよう。そういえばずっと気になってたんだがそうしてエマとか名前を表示してる人や何も表示されてない人がいるんだ?〕
〔エマ:これは自分で設定できるものなのよ。私の場合ちゃんと認識してもらう必要があったから名前を表示してるってわけよ〕
〔そうそう。俺たちが名前を表示したってドワルフどうせ覚えてられないだろ?〕
〔村人全員の名前なんてまだ覚えなくてもいいしな〕
〔ちゃんと長になった時には覚えてもらわなきゃ困るがな〕
〔ドワルフ:その時は頑張らせてもらう〕
昨日の予定通り、早速配信一覧を開く。今日は伝説の鍛冶師は配信してるかなーっと。作業カテゴリを開くと1番上にあった。やはりまだダントツ一位か! くぅいつか追い越してやるからな! 今度から探すのも面倒だしフォローしておこう。フォローするのは別にお金がかかることじゃ無いタダだ。して損なんてことはない!
おぉ今日はドワーフ鋼を叩いているぞ。ちゃんと炉の出力も高いものだ。扱えない金属を無理やり扱っているというのではなくしっかりとドワーフ鋼を使いこなしていた。
〔ドワルフ:そうだ今日は伝説の鍛冶師の配信を見ながら作業してるから時々独り言が入っても気にしないでくれ〕
〔了解〕
〔あいよ〕
伝説の鍛冶師はなんて名前なんだろうか? 誰もチャットを送ってないので俺も気まずいしコメントを送ってみるか。
〔おはようございます〕
〔おはようございます!〕
〔今日も勉強させて頂きます〕
……
きっと集中しているんだろう。そういうことにしよう。なんてたってドワーフ鋼を扱ってるんだしな。だからみんなが挨拶してても反応しないだけだ。きっと一息ついた時にコメント返しをするんだろう。念のためもう一度だけコメントを打とう。
〔ドワーフ鋼を扱えるなんて凄いですね〕
〔ゾルギン:ほう配信を見ただけでその事に気付くものがいるとはな〕
〔おいゾルギンさんが反応したぞ!?〕
〔何者だあいつ!?〕
〔そんな事よりこれドワーフ鋼だったのか!〕
ゾルギンっていう名前なのか。名前を知れただけでも収穫としよう。そういえばドーコも最初これを鉄だって言って渡してきたな。
〔炉の温度と力加減でわかりました〕
ちょっとくらいできるやつアピールをしてもいいだろう。
〔ゾルギン:ほうなかなか優れた鍛冶師のようだな。名前はなんという〕
〔ゾルギンさんが名前を聞くなんて何年振りだ!?〕
〔確か前1人弟子を取った時以来じゃなかったか?〕
〔ってことは5年ぶりか!?〕
他の視聴者が驚く中、ガチンガチンっとドワーフ鋼を叩きながら訪ねてくる。聞かれた以上名前を明かしてもいいだろう
〔ドワルフ:ドワルフです〕
〔ゾルギン:ドワルフか、覚えたぞ〕
〔マジで覚えられたぞ!〕
〔いいなー俺もゾルギンさんに名前を覚えられてぇ〕
〔ってことはドワルフ?ってやつも弟子になるのか?〕
〔いやー流石にそれはないだろー見た感じ今回が初めてって感じだぜ。もうちょっと見て技を盗んでからじゃないと無理だろうな〕
なんか好き勝手コメントで言われてるが弟子かー確かに装飾に関する話は一度してみたいとは思うが別に弟子になる程のことはないだろう。でもそんなことを言ったら確実に叩かれるので流石に俺もコメントしない。でもいい事で良いんだよな? 大手配信で名前を覚えられたんだから。
それにしても見事なロングソードだ。製作時間こそ俺たちには及ばないがそれでも完成度はかなり俺たちと近いレベルにある。俺のフォロワーじゃないからステータスが確認できないが、もしかしたら【ドワーフの知恵】ぐらい持ってたりして。いやでも映っている手のマメや分厚さからこれはユニークスキルなどではなく努力でできるようになったものだと証明していた。
〔もうロングソードができちまった!〕
〔まだ午前中だぜ? やっぱりすげぇや〕
〔見て学ばなきゃ〕
〔そうだぜしかもドワーフ鋼でだなんて流石、伝説の鍛冶師だぜ〕
ん? そんなにドワーフ鋼って加工に時間がかかるものだったか? まぁゾルギンの汗のかき具合からもわかるがヒューマンでは扱うこと自体が難しい物なんだろう。そう言いつつ俺は3本目のロングソード作りに入る。と言っても俺はただの鉄だけどな。
もうそろそろ昼だな。今日は昼ご飯を作って持ってきてないし一度家に帰って食べるか。急いでることは急いでるが、必死になるほどではないからな。
ゾルギンの方は疲れたのか。早めの休憩を取るようだ。奥から綺麗な女性が2人食事を持って出てきた。従者か何かだろうか?やっぱりこれだけ有名な鍛冶師となると従者を雇う金もあるんだなー。それにしても綺麗な衣装を纏っている。
〔いつ見ても美人だよなーゾルギンさんの奥さん〕
〔本当本当いいよなー〕
〔こんな綺麗な奥さんが2人もいるなんて羨ましいぜ〕
〔俺もいつかゾルギンさんレベルになって綺麗な奥さんゲットしてやる!〕
ん? ちょっと待て今何かおかしなコメントがなかったか? この綺麗な女性が奥さんなのはわかった。ただ奥さんが2人!? 慌てて自分の配信ページを開き直す。
〔ドワルフ:なぁ! この世界って重根が許されてるのか!?〕
〔許されてるも何も飢えないなら何人と結婚しても問題ないじゃねぇか〕
〔長はどうやら奥さんの尻に敷かれてるから重婚しない見たいだがな〕
〔エマ:エルフでも別に重婚は認められているわ。魅力にある男性と結婚したいものだしね〕
重婚ねぇ。確かに女の人に囲まれるのは憧れるがどうなんだろうな。ちゃんと俺は平等に愛せるんだろうか? いやいやそもそも俺には重婚する金も余裕もない。それにドーコで十二分に満足している。 でもハーレムっていいなー
「ねぇドワルフってば!!! 聞いてる?」
「何もやましいことは考えてないぞ!」
「どうせハーレムもいいなーとか考えてたんでしょ!」
「ギクッ! 俺の心を読むんじゃ、いやそんなことは考えてない。あーそうだ昼ご飯を食べにいこう。ちょっと早いがいいじゃないか」
「もー! 仕方ないなーそういうことにしといてあげるよ」
そう言って2人で一度家へと戻る。午後からはお待ちかねの伝説の鍛冶師の装飾が見れそうだ。
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