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47話 念願のマイホーム 鍛冶場編その2

〔ドワルフ:エマーいるかー〕

〔エマ:いるわよ〕

〔ドワルフ:いつでもいるな。よっぽど暇なのか?〕

〔エマ:確かにそうだけど、言われると癪に触るわね〕

〔ドワルフ:すまんすまん。ありがたい常連さんを無碍に扱うつもりはないんだ。そうそう呼んだのには訳があってだな。この鍛冶場を見てどう思う?〕


〔しょぼい鍛冶場だなー〕

〔次期長がこんな鍛冶場なんてドワーフの血が泣くぜ〕


 案の定ドワーフのみんなにも見つかったか。


〔エマ:私はどうも思わなかったけど、どうにも周りの反応を見る限りそうではないみたいね。もしかしてだけど……〕

〔ドワルフ:そうなんだ。ドーコが駄々をこねてな〕


「駄々じゃないよ!!!」


〔ドワルフ:エルフの里に行くまでに危険が多いのはエマもわかってるだろ?〕

〔エマ:それはわかってるわ〕

〔ドワルフ:だからより一層お金を稼ぐためにここの鍛冶場を大きくしたいってドーコが言い出して聞かないんだ〕

〔エマ:別に良いわよ〕

〔ドワルフ:それでだなエマにもドーコを止めるのをって……いいのか!?〕

〔エマ:前にも言ったけど別に時間に追われているわけじゃないの。それより半端な冒険者を雇って途中で倒れられる方がずっと迷惑だわ〕

〔ドワルフ:だけど絶対ドーコはそれだけじゃなくてただ大きい鍛冶場が欲しいってだけだぞ〕

〔エマ:ドワーフがそういう種族なら仕方ないわよ。そのかわり私の文化が違ってもドーコも受け入れることね〕

〔ドーコ:わかったよ! やっぱり懐が広いなー。誰かさんと違って〕

〔ドワルフ:俺は人を待たせるのが嫌なだけだ!〕


〔このエルフが物分かりのいいねぇちゃんでよかったぜ〕

〔そうだそうだ! 俺たちの代表としてヒューマンの国にいる訳だからな! しっかりとした鍛冶場を建てろよ!〕


 これだけ言ってくるんだ。ドワーフにとって鍛冶場は本当に大切なものなんだろうな。


〔ドワルフ:でもエマ。ドーコの見たてだと500万リラぐらいかかるそうだぞ。俺たちの残金は1万3400リラしかないってのに〕

〔エマ:またあの装飾の凝った鎧でも作ればいいじゃない。そしたらまた1000万リラよ〕

〔ドワルフ:多分だがそうポンポン作ってしまったら価値がドンドン無くなっていくだろうし商人ギルドとしてもそんなにお金を出してられないだろう。それにあれに使ったドワーフ鋼は今はあんまり取れない状況らしくてな、作れたとしても後1つが限界だろう〕

〔エマ:1つくらいなら作っちゃえばいいじゃない。2つくらいあったって問題ないでしょ〕

〔ドワルフ:ダメだ!!! それは俺の装備の分だから!!!〕

〔エマ:変なところにこだわる辺り私からすれば似たもの夫婦ね〕

〔ドワルフ:本当はオリハルコンで全身装備を作りたかったんだがな。それはもっと貴重で取れないらしい〕

〔エマ:一体何がそこまであなたを動かすのよ……〕

〔ドワルフ:俺は安全なスローライフが送りたいだけだ。もしそんな時に魔物が突如襲ってきたらどうする? 俺は今盾と兜しか持ってないから胴体やら手やら攻撃され放題なんだぞ!〕

〔エマ:まぁ納得がいくまで準備してもらっても私は構わないわ。そっちが寿命で死んだりしなかったらね〕

〔ドーコ:流石にそれまでには向かうよ! 私も恩を感じてない訳じゃないんだからね!〕

〔ドワルフ:だそうだ。取り敢えず待っていてくれることがわかって安心したよ。ありがとう〕


「ねぇドワルフ早速この炉で何か作ってみようよ」


 確かにまだ昼間だしこの炉でどんなものが作れるか把握しておきたい。ここはドーコの提案に乗っておく事にするか。


「そうだな。実際に使ってみないとわからないこともあるだろうし」


 そう言って俺は道中買ってきた素材を魔法鞄から机の上に出す。うん改めて見ても買いすぎたな。だがドーコは素材の多さに喜んでいる様だ。


「ヒヒイロカネは納得できないけどそれ以外の素材に関してはなかなかいいチョイスをしてるね! 特にこの魔物の皮は見たことがないけど品質がいいね!」

「不思議なことなんだが良いものを選ぶ目も持ってるみたいでな、買い物は俺に任せてくれ」

「ヒヒイロカネなんて急に買う人には任せられないよ! それでもそんな能力まであるなんてつくづくすごいね【ドワーフの神】って」

「ドーコにも【ドワーフの神の眷属】があるんだからもしかしたらできる様になるかもしれないぞ」

「確かに! じゃあ今度からは買い物にも気持ちを集中させよーっと」


「じゃあ俺はこの鉄から作っていこうかな」

「私も同じのでつーくろっと! どっちがいいのできるか勝負だよ!」

「そうだ、家の方もしっかり見ていきたいから取り敢えず今日はこの鉄で作ったら鍛冶仕事をお終いにしよう」

「それもそうだね。新しい家だしお祝い宴会しなきゃ!」

「何かと理由をつけて宴会をするつもりか? 少なくとも鍛冶場を大きくするまでは節制した生活を心がけるぞ」

「えー宴会がないなんてー」

「エマに恩を感じてるんだろ。だったら少しでも早く行くのがせめてもの恩返しだ」

「わかってるよー」


 なんとかドーコをなだめて鍛冶仕事へと向かう。うーんどうにも炉の出力が足りないな。ドーコが不満を言う気持ちが分からなくもない。これなら金属をあんまり買わずに魔物の素材を多めに買っておけば良かった。だが買ってしまったものは仕方ない。最高の完成度が出せる金属だけ使うことにしよう。


〔やっぱり炉がしょぼいなー〕

〔こんなんじゃあ、最高の出来は無理だぞ〕


 見ているだけでもわかるほど炉の出力が低いな。確かにこれじゃあ碌に鍛冶仕事ができないしドーコが言ってることにも納得ができる。4つも炉を建てること以外は。


 そうこうして無事鉄の剣ができた。鉄で装飾を入れても使い捨てぐらいにしか使われないだろうししないでおいた。それでも魔法印を手に入れてから初めてなので押してみた。


「えーもうできたの!? この炉の出力で!?」

「この鉄と銅くらいならこの炉でも十分出来るぞ。金とか銀も無理すれば出来るがいい出来にはならないだろうからそれはしまっておくがな」

「私も【ドワーフの神の眷属】持ちとして負けてられないのに! 後ちょっとでできるからもう少し待ってて! 私も今までよりはかなり早くなったのにまだ叶わないなー」


 ぐぎぎと悔しそうなドーコの顔を見てなんとなくやってやったぜ感を味わいつつドーコの作品の完成を待つ。

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