42話 いざ商人ギルドへ
「ふぅー食った食った」
「食べ過ぎだよドワルフ! 私の倍以上食べてるじゃない!」
「それは体がドーコのより大きいからだ!」
「絶対関係ないよ……。それにもう4時になっちゃったじゃん! 勇者パーティーの防具作ってる鍛冶師に会う時間なくなっちゃったよ!!」
「うっ俺とした事が!」
「俺としたことがじゃないよ!」
〔ドバン:俺もどんな風な感想を言うのか期待してたのにな〕
〔そうだそうだ!〕
〔食欲に負けたドワルフ!〕
散々な言われようだな。
「でもまぁ仕方ない。別に今日見なきゃ死ぬわけでもないんだし、それに俺たちはここに住むんだろ? じゃあいつだって見れるわけだ」
「そうだよ。だから出店なんていつでも食べれたんだよ」
うっ久しぶりの腹黒リが。
「とっとにかく商人ギルドに向かって交渉するから一応配信許可を聞いてみるがダメだったらすぐ終わるからそのつもりでよろしく」
〔エマ:わかったわ〕
〔ドバン:了解〕
地図を開いて商人ギルドの方へと向かっていく
★ ★ ★
「ここが商人ギルドかーでっかいなー!!!」
ドワーフの村一番の鍛冶場よりもさらに大きな建物だった。
「大きいねーこんな大きい必要あるのかな?」
「それだけたくさんの取引が行われてるんだろ」
早速中に入るとロビーには人がごった返していた。至る所で商人が交渉をしていた。そうかここは単に商人がギルドと話す場所だけでなく情報交換やそう言っった場にもなっているのか。
俺はシュドに言われた通りカウンターへと向かう。
「初めて見るお顔ですがどう言ったご用件でしょうか?」
綺麗な受付のお姉さんが尋ねる。見てはいけないと思いつつもついその大きな胸に視線が向かう。と同時に後ろからドーコの視線も向けられたのでさっさと目的を果たす。
「シュドさんの知り合いで。このカードを見せればわかるって聞いたのですが」
「あっ!!! そのカードは!!! 至急ギルド長に連絡します。しばらくお待ちください!」
そう言って急足で奥の方へと受付のお姉さんが消えていった。ドーコの視線がまだ突き刺さる。だから俺はロリコンじゃないと言ったんだ。ちゃんと大きな胸には反応してしまう。男とはそういう生き物なんだ。
そういえば配信していいか聞いていなかった別の受付の人に聞いてみる。
「すいませんここって配信してても大丈夫でしょうか?」
「はい! 問題ありません! 聞かれてはいけない会話は防音室にて執り行われいますので」
ふう一安心だ。他の配信を確認してみると『今日の商人ギルド』なんてタイトルの変わった配信もあった。
しばらく待っていると、さっきのお姉さんが帰ってきた。
「最上階のギルド長部屋にお越しくださいませ。そこで是非お話しがしたいとのことです」
その言葉を聞いたあたりの商人がざわつき始めた。
「あのギルド長が会うだって!?」
「部屋に招かれるなんて何ヶ月ぶりだ? いや何年ぶりだ?」
「信じられねぇ。あの特徴的な髭だな覚えたぜ」
何やらよっぽど珍しいことらしいな。それにしてもヒューマンの国に来てそうそう目立ちたくはなかったのだが。ここはいっそ売名するか? いやじっくり伸ばしていこう。ただギルド長に会うだけでまだ認められたわけでもない。
大人しく受付のお姉さんに案内されるまま階段を上がっていく。
コンコンコンッ
「ギルド長先程のお客様がお着きになられました。
「入れ」
ドアが開き中に入るとそこには威厳ある男が大きな椅子に座っていた。ドウェインより威厳があるんじゃないかと思う威圧感だ。
「商人ギルド長をしているメインジョブ商人、サブジョブ配信者のエドベンドだ」
「私はドワーフの村から来ましたメインジョブ配信者、サブジョブなしのドワルフです。こちらは妻のメインジョブ重戦士、サブジョブなしのドーコです。それと配信中なのですが問題ないでしょうか」
「問題ない。大体の話はシュドから話は聞いている。装飾も出来るドワーフがいるとな。それにマジックアイテムも完成させたと、それがお前で間違い無いな?」
「はい、これがその装飾を施したマジックアイテムです。ここで効果を実践するには不向きですが」
そう言って俺はオリハルコンの盾を出す。ギルド長はじっくりとそれを眺め鑑定を始める。
「これを売るつもりはないだろうな?」
「そうですね。これは俺がドワーフの村で作った相棒ですので」
「それを聞いて安心した。オリハルコンで出来た盾というだけで価値が跳ね上がるというのに、更にこの装飾でマジックアイテムとなってはこの国が潰れてでも買えまい」
やっぱりすごかったんだな、お前! そう思いながら盾を見る。
「シュドの配信でお前が作った鎧は見せてもらった。即金が欲しければ今ある金で支払うが、オークションにかければより一層金を得ることができるがどうする?」
うーんオークションか。ここは慎重に考えたほうが良さそうだな。
「ちなみに即金で有ればどれほどの金額になるんでしょうか?」
「1000万リラだなそれ以上は払えない」
「いっ1000万リラ!?!?」
さっきまで置物のように固まっていたドーコが大声を出した。ドーコに耳打ちで確認する。
(確か前にシュドが見せた魔法鞄が150万リラだったよな)
(うん。私たちが一生懸命働き続けて半年かかるレベルだよ。鎧1つで1000万リラなんて絶対おかしいよ! 何か裏があるって)
「裏などない」
「ヒィー!」
流石商人ギルド長だけあって地獄耳だな。
「そんな大金で引き取って大丈夫なんでしょうか? まだ実物も見てないですし」
「それだけの価値があるとあのシュドが断言したのだ。もし納得しなければオークションを進めるが?」
「どうするドーコ?」
「うーんとりあえず何をするにもお金は必要だし即金で貰ってまたドワルフが作った時はオークションに出してもらうのがいいんじゃないかな」
「では即金でお願いいたします」
「わかった。後シュドからの依頼でドワルフの魔法印を用意させておいた。受け取れ」
シュドは本当に優秀だな。
「ありがとうございます。それでお話しなんですが私たちの鍛冶場を持ちたいのですが何処か空きはないでしょうか?」
「2つ目星をつけて置いた。1つは国の中央に近くどこへでも行きやすい場所だ。その分値が張るがな。もう1つは郊外で場所は悪いが安い場所だ。どちらにする?」
流石に話が早いな。もう目星をつけているとは。中央の方はいろんな場所にアクセスがしやすいのはいいが、その分ドワーフの村では気にしなかったが、夜遅くまで作業とかすると騒音問題で怒られそうだな。場所は不便だが離れた場所の方が色々と自由が効くだろう。
「では2番目の郊外の方でお願いします」
「えー! 絶対中央の方が楽だよー」
「どうやら商才もあるようだな。ではその分をさっきの支払額から引かせてもらおう。賃貸か買い切りかどうする?」
うーん第二拠点として持っておくのもいいだろうしここは買い切りにしておくか。ヒューマンの国にも自分の居場所があるのもいいだろう。
「買い切りでお願いします」
「なんで買い切りなの!?」
「わかった。では残りの金額500万リラを」
「ちょっと待ってください。ここでは魔法鞄も取り扱ってるんですよね?」
「あぁそうだが?」
「1番高いのでおいくらでしょうか?」
「450万リラだ」
「ではそちらもお願いします」
「せっかく1000万リラもうかったのにもう50万リラしか無くなったよ!?」
「ハハハ!!! ドワルフ、お前には本当に商才があるようだな。もし借金をしたいときはいつでもここを訪ねるといい。私のカードだ受け取れ」
そう言ってカードを机から取り出し俺に手渡す。
「魔法鞄は受付で渡してもらうがいい。良い取引を感謝する」
「こちらこそありがとうございました」
そう言ってギルド長の部屋を後にする。ドーコは終始ポカンとした顔のままだった。
・面白かった!
・続きが気になる!
・陰ながら応援してます!
と、少しでも思った方は、ブックマーク追加と下にある【☆☆☆☆☆】からポイント評価して頂けると、とても嬉しいです! めちゃくちゃ執筆の励みになるので、お手数をお掛けしますが是非よろしくお願いします!




