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41話 はじめてのヒューマンの国

「おはようございます! 馬車を発車させますが準備はよろしいでしょうか?」

「おはよう、よろしく頼む」

「はい! 承知しました。今日の昼頃には我々どもの国シュリガイムに着くと思われます!」

「わかった」


 そういって従者が運転席に戻り馬車を発射させる。ドーコはまだ寝ているみたいだ。鍛冶仕事がなければ本来ドーコはゆっくり起きるタイプなのかもしれない。念のため顔色を確認するが、問題なさそうだ。


 馬車に乗ってる風景でも配信しようかな。


「なぁ従者さんでいいのか? あんたの名前ってなんて言うんだ?」

「アジルと言います!」

「じゃあアジル、配信したいんだが良いだろうか?」

「馬車の風景をですか? あまり人気がなさそうですが……。別に問題は無いですよ」


 人気が無くたって1人で暇なんだし配信しよう。タイトルは『いざヒューマンの国へ』でいっか。


〔エマ:ようやくヒューマンの国へ向かうのね〕

〔ドワルフ:まぁそういうなよ。ドヴァルグのスタンピードを止めなきゃドーコの実家が無くなってたし呪いで死んでたんだぞ〕

〔エマ:別に咎めてるわけじゃないんだけど。私はヒューマンの国へ行ったことがないから楽しみだわ〕


「ふわーぁ。おはようドワルフ。今何時」

「おはようドーコ。俺は時計なんて持ってないぞ。自分の懐中時計で確認してくれ。それにしても良く馬車が走ってる中眠っていられるな」

「どんな状況でも眠れるのが冒険者の資質ってやつだよ!」

「鍛冶師じゃないのか?」

「どんな状況でも眠れるのが鍛冶師の資質ってやつだよ!」


 どっちでもいいのか。


「おぉー見えてきたなヒューマンの国が!!」

「そんなに感動することかな?」

「俺にしてみれば新天地だぞ! それにこれから暮らしていくんだ。ついたら早速、観光いや視察をするぞ!!」

「テンション高いなー」


〔ドバン:ほーそれがヒューマンの国か。なかなか立派じゃねぇか〕

〔ドワルフ:そうか、ドバンも村から離れたことがないから初めて見るのか〕

〔ドバン:というか今見てるほとんどの奴は見たことがないと思うぞ〕


 そう言われ視聴者カウンターを見ると500人を超えていた。なんだかんだ興味のある奴はいるんだな。最高同時視聴者を超えたぞ。


 そんなことを思いながらヒューマンの国の関所についた。


「これはアジルさん! お勤めご苦労様です! 念のため中を拝見してもよろしいでしょうか?」

「構いませんよ」


 ドアが開き関所の役人が俺たちを見る。


「これはヒューマンでもないですし、一体何ですか?」

「私たちギルドの客に失礼ですよ。こちらはドワーフの方々です。私たちの国でしばらく過ごすそうで」

「大変失礼致しました! それにしてもこの石はなんでしょうか?」

「シュドさんが認めた魔物の卵ですよ。もし何かあってもこのお二人が対応してくださいます」

「了解致しました! ではお通りください! ようこそシュリガイムへ!!」


 シュドが相当切れモノなのは薄々分かっていたが、このアジルもなかなかに優秀な人材のようなだな。


「それではこれからどうしますか? このまま商人ギルドへと向かわれますか?」

「いや先に市場なんかを視察して周りたい」

「観光でしょ」

「うるさい!」

「ではこの国の地図をお持ちください。でも夜までには商人ギルドに来てくださいね」

「わかった」


 そう言って俺たちは馬車を降りて市場へと目指す。アジルは馬車を走らせ商人ギルドの方へと向かっていく。


「地図をもらったがドーコなら大体の場所を知ってるんじゃないか?」

「ううん。私がいくのなんて冒険者ギルドくらいだもん。あんまりふらついて変なところ行っても危ないしね。あ! でも勇者パーティーの防具を作ってる人のところと宝石商人には行ったよ!」


 あーそうだったあの俺が超えるべきライバル!作業配信の王か!!


「よし今すぐ向かうぞ!」

「その前に昼ご飯食べようよー。市場も行きたいんでしょ」


 確かに腹が減っていた。ううう背に腹はかえられぬ。


「わかったよ。じゃあ先に市場で食事を済ませていこう」

「やったー! ヒューマンの屋台はドワーフのものとは一味違って面白いんだー!」

「味の感想で面白いってなんなんだ。とりあえず向かうか」


 確かにそうだ。先のことを考えるばかりで今この状況を見てなかった。市場へ向かうまで観察しながら向かうとしよう。


 どこを見ても人だらけだ。人っていうかヒューマンって言った方が正しいか。別種族が全然見当たらない。まぁそれもそうか。ドワーフのエルフも自分の地から動かないんだもんな。それに獣人は魔族側だし。と思った時、視界の隅に重い荷物を運んでいる耳の生えた男が映った。


「なぁドーコ! あれって獣人か?」

「あぁー半獣人の奴隷だね。あんまり見るものじゃ無いよ。可哀想だし」


 そう言って歩みを進めるドーコ。


「ちょっと待てよ。この国では奴隷が認められてるのか?」

「うん。私は好きじゃないけどね。どうしても払えないお金を返すために自分の子供を売りに出すんだってさ」

「でもさっきのは半獣人?だったよな? ヒューマンの国には半獣人もいるのか? 後、半獣人ってなんだ?」


「ヒューマンの国には普通の獣人も半獣人も住んでないよ。半獣人っていうには獣化できない獣人の事を指す言葉だよ。獣人の王国では半獣人は一族に認められず追い出されるんだって。それを奴隷商が拐ってここで売り捌くってわけ。奴隷商からすれば拐うのにリスクが多少あるけど、それでも半獣人は筋力が高いから高値で売れるんだってさ。あと殺しても罪悪感がないって」


「末恐ろしい話だな。ドーコがフラつかないのもそんなに知識があるのも奴隷商対策ってわけか?」

「そうだね。髭がないドワーフなんて売り文句で売られたら溜まったもんじゃないからね」

「それもそうだ」


 そんなことを話していると市場にたどり着いた。


「ほらーそこの髭を伸ばした兄ちゃんにちっさい女の子! うちの串焼きを買ってかないかい?」

「こっちのアッペルなんて安いよー」

「ポーションはいらんかねー! 冒険に行くなら必須だよー」


 おぉ流石に活気付いてるな!小さいと言われてご立腹なドーコは串焼きを無視して進む。どうやら別の串焼き店で買うようだ。俺もしっかりついていくがこの人混みだといつハグれるかわからない。ドーコの手を掴み離れないようにする。


 そういえばデートなんてしたことなかったな。これが実質初デートというわけか。俺たちは早速串焼きを買い食べる。


 ふむ。確かに不思議な感覚だ。ドワーフの村の味に慣れたからか? でもどうにも懐かしい感じの味がする。もしかして味付けが元いた世界に似ているのか?


「どうしたの変な顔して?」

「いやなんか懐かしい味がしてな。俺の元いた世界に似てる気がするんだ」

「そうなんだ! じゃあもっといっぱい食べて試さないとね!」


 そう言ってドーコと市場探索を続けた。

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