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渡りの魔術士  作者: 紅鶴蒼桜
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第3話 ー追跡ー

椅子に座りながら意識を集中する。

糸で繋がったもの、あの通行書から僅かに伸びる魔力を手繰る。

辿って行くと、

「いた!」

敵衆は街から少し離れた所にいる。街から少しずつ遠ざかっていく様だ。

「段々離れて行っているけどどうします?」

「もう少し泳がせよう。まだ多少は大丈夫だろ、ローグ?」

とベルナンドが言ってくるのでもう少し待ってみる。

しかし、アラビスは直ぐに行きたい様で「まだか?もういいだろ」などと言ってくる。

その度にベルナンドは「もう少し待って」と返していた。

しばらく、ローグはそのやり取りを横目に魔力のパスの動きを辿っている。

・・・そして通行書の動きが止まった。

「止まった!」

と言うと、

「じゃあ、さっさと行こうぜ。どこら辺だ、ローグ」

アラビスがもう行く気満々で外へと飛び出して行こうとすると、

「休憩しているだけかもしれない。慎重に。距離をとって気付かれずに行こう」

と、ベルナンド。

「チッ、分かったよ、気配を消してなるべく静かに、だろ?」

と言うと、

「分かっているなら良い。では僕は少し準備してから出かけるとしよう。直ぐに追い付く。先に行っててくれ」

「はぁ、準備だぁ?さっきやれば良かったじゃねぇか」

「ま、ローグの邪魔しては悪いと思ったからさ」

「なら良いが。じゃ先に行ってるぜ。いくぞ、ユリアン、エイシャ、あとローグ、道案内頼むぜ」

「はいはい、アラビス」

と、ローグは答えると、エイシャが寄ってきて、

「ローグ様は道案内に集中して。護衛はエイシャにおまかせを」

「えーっと、私達も居るのだけれど」

「お熱いねぇ、おまえ等は」

「いえ、そう言う意味では」

などとエイシャに二人がからかっていると、ベルナンドが戻って来た。

「あ、まだいたの」

「いや、ローグとエイシャが熱くてさぁ」

「それはやめて下さい!」

「ははは」

ベルナンドはひとしきり笑うと、

「では行こうか、皆。ローグ、道案内よろしく」

と、ローグの肩にポンと手で叩いた。

それを合図としたのか、ローグが動き出した。

後にみんなが続く。


屋敷から出ると空は薄暗い。夜の始まりといったところだ。

ローグは、ほぼ曲がる事なく早足で進んで行く。

そのまま街の外へ。

ここからは更に慎重に。

たまに魔物が出るからな。特に夜は。

魔力の糸を手繰る。少し先で敵衆は留まっている。

気付かれたか?いいや、そこまでのヘマはまだしてないはずだ。

となると、野営の準備か?それとも・・・。

もう少し近づく。

大きな窪みの真ん中に陣取って何やら会話している様だ。

ベルナンドが手を上げてこちらを制する。

「あの窪み周辺は隠れる所が無い。ここで少し様子見だ」

「チッしょうがねぇな」

と、皆が手前の物陰に身を隠す。


「野営って風でもねぇな。どうしたんだ、あいつ等?」

ローグが顔を上げて言う。

「ここが目的地だとしたら」

一呼吸置いて、

「また、ギルドハウスに戻るかもしれません」

「え、それはどういう?」

どういう事?と最後まで言わせなかった。

衝撃波が飛んできたのだ。

隠れてた所が砕け散って破片を交わしながら僕等は敵衆の前に姿を現した。

しかし何故気付かれた?と思いながら相手を見つめる。

敵衆のその中で、

「やあやあ、君達が来るのは分かっていたよ」

と、あの少年が言う。

「これ」

と通行書を掲げて、

「何か細工したでしょ。扉の機能は回復したのに開かないのだけれど」

ローグはため息をついた。

「待ち伏せですか、自分達が囮の。まあ、通行書に機能不全の細工をしたのは、直ぐに目的の物があった場合に備えて、ですけれどね」

「ちゃんと直して下さいよ」

「僕達に勝ったらね」

「じゃあ、今度はしっかり直してくれるまでいたぶってあげる」

と、敵達が戦闘モードに入った。

勿論僕達もだ。

「さあ、さっさと倒してお宝をゲットしようぜ」

「おー!」

と僕達は雄叫びを上げて、敵陣になだれ込んだ。

ーー>続く

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