もし幸運な少年が転生したら。
僕が転生してから8年が経過した。
転生してからの事だが、自分はゴエティア魔法王国のフォルネウス侯爵家の次男、グレイル・フォルネウスとして生まれた。
父親のコルド・フォルネウスは厳しいが根は優しい人で、国王バアルからも信頼されている国の重臣である。
いつも王宮で仕事をしており、家に帰っている時も食事と睡眠以外は基本的に執務室に篭っている。
母親のシャルル・フォルネウスは、元は伯爵家の生まれらしいが、凄くお淑やかで家庭的な母である。
学生時代は魔法の天才として有名であったらしく、雷氷の魔女と呼ばれていたらしい。
そして、長男こと兄のグラド・フォルネウスだが、テンプレよろしく天才だった。
剣術もできて魔法も他より抜きん出ている、学力もあり性格も優しい、最高の兄だ。
兄は15歳で、もうすぐ王立グレンディアス学院を卒業するらしい。
まあ、グラド兄さんは天然のトラブル体質で、よく騒動に巻き込まれては解決して行く王道ヒーローの様な存在だ。
僕は、そんな兄の背中を見て育ち、魔法も剣術も優秀だが兄に比べると若干劣り、次期当主は兄で決定している。
まあ、それは表向きの評価だが……。
実は、僕は家族にも隠している秘密がある。
先程の説明にあった魔法と剣術の事だが、剣術は確かに兄の方が勝っているだろう、だが、魔法については、はっきり言えば僕の方が優秀であると確信している。
僕が魔法と言うモノを教わったのは五歳の時だ。
兄も五歳の時から魔法の英才教育を母から受けているらしいので、自分も兄と同じスタートラインを切ったと言う訳だ。
まあ、あくまで、魔法を教わったのが五歳からであって、魔力そのものは、二歳の頃から感知できていた。
そして、そこから約半年程魔力をなんとかできないか頑張ってみた結果、無事に体内の魔力を動かしたり、魔力を放出したり、空気中の魔力を取り込んだりする事ができるようになった。
そして、いざこっそり魔法を使って見ようと、ファイヤーボールと唱えても、魔法は発動しなかった。
結局その日は魔法を諦めた訳なんだが、その日とある夢を見た事で魔法が使えるようになった。
とある夢とは、まるで無限に広がる図書館の様な場所で数え切れない程の魔法が記された本に囲まれる夢であった。
だが、それは唯の夢ではなかった。
なんと、起きた後に、どうやって魔法を発動するか悩んでいたら、突然脳内から声が聞こえたのである。
その声は、魔法の発動方法を情報サイトの説明文のように説明してくれた。
なんと彼女は、魔道書庫データベースAIシステムと言うらしく、過去から現在までに存在した全ての魔法の知識を記録している魔道書庫の管理AIらしい。
何故そんな所が僕と関係を持つ事になったかと言うと、実は、空気中の魔力を体内に取り込む技術は僕が初めて成功させた技術らしく、その技術知識を収集する際に何らかの誤作動で魂だけ一緒に魔道書庫に取り込まれてしまったらしい。
まあ、結局魂を送り返す事に成功した訳だが、魔道書庫に僕の魂の欠片がほんの僅かに残って、僕は魔道書庫へのアクセス権を手に入れたらしい。
まあ、そのおかげで魔法を使えた訳だから万々歳である。
そして、今現在8歳までその情報をひた隠しにしてきたのだ。
まあ、僕はこの力を使って何をするかは決まって居ない。
だが、この力で王道ヒーローの兄さんの手に届かない様な外道や吐き気のする悪党は僕がしっかりと血祭りに挙げようと思う。
ちょっっと終わり方が強引かなぁ……文才が無くてすいやせん。