目覚めて
目が覚めるとそこは暗闇だった。
「…………」
生きてる。
助かった…助かったんだ!
嬉しさで顔が歪む。
「いっ…!」
顔中が痛い。
それもそうか、あれだけ殴られればな。
そんなことよりここは何処だろう、リビング?
それにしては背中が柔らかい、ベッドの上か?
とりあえず起きよう。
体を起こそうとすると顔に布がのってあるのに気づいた。
「……ハンカチ?」
布を取って当たりを見渡すと、右隣にベッドで寝ている人がいることに気づいた。
「何処だ……ここ」
そう言いながらも薄々気づいていた。
ここがどこなのか。
でもおかしい。
なんでそんな所に僕がいるんだ。
それもこんな格好で……。
死体安置所
間違いないここは死体安置所だ。
テレビで観たことがある。
つまり僕の隣で寝ている人は…。
いやもういい考えるのはよそう。
そんなことより早くここから出よう。
そう思うも足が動かない。
当然だ。
怖い。
動けない。
身体中がそう泣き叫んでいる。
当たり前のことだろう。
高校1年がこんな所に来て落ち着いていられる訳がない。つい最近まで中学生だったんだから。
「ぅ……ふ、は…」
言葉がでない。
怖い。
涙が出てくる。止まらない、とまらない、とまらない。
怖い怖い怖い……憎い憎い…
そしてある感情が芽生えた。
あいつを絶対に許さない。
あの目、僕を殴った時のあの目。
僕を憐れむような目。
僕の行いを笑うような目。
さげずむような目。
憎い憎い憎い憎い憎い
どうして今こんな感情が芽生えたのかは明白だった。
行き場のない感情をどうにかしたかったのだ。
だからあいつを憎む感情にさせた。
するとさっきまで動かなかった体がゆう事をきくようになった。
床に足をつける。
ベッドから腰を離す。
できた。
こんなにも簡単にできた。
なぜだか恐怖心は無くなっていた。
かわりにあいつへの憎しみだけが残った。
「……」
なんとなくベッドで横たわっている人に手を合わせる。
そこまでは良かった。
その次だ、僕の人生を僕が壊す瞬間が来たのは。
何となくその人の顔が見たくなった、本当になんとなくだ。
布をとる
「……………!」
気がつくのに数秒かかった。
あいつだこの顔…この目…
「なんでだ」
なんで死んでるんだよ
お前を殺すのは僕のはずだ