出来事
深夜4時過ぎ 唸るような暑さで古室は目を覚ます。
「…暑い……」
暑すぎる。
どうして八月というのはこんなにも暑いのだ。
高校に入ってから初めての夏休み、特に予定もなくダラダラと過ごしている内にいつまにか1週間もたってしまった。
……まあ、その前に予定なんて出来るはずもないのだけれど。
僕には友達がいない。
いわゆるボッチだ。
別に欲しいとも思わないし欲しくないとも思わない。
出来たらできたで面倒くさそうだし、出来なかったできなかったで寂しいし、結局どっちでもいいのだ。
そう自分に言い聞かせてこれまで現実逃避してきた……いや、違う、人間関係なんてめんどくさいだけだ、ろくな事がない、一々人に合わせなきゃいけないし、変に気をつかったりするのも嫌だ。
だからもういい考えるのはよそう。
暑さのせいでつい嫌なことを考えてしまった。
「水でも飲もう」
そう言って気だるい体を起こし寝室を出て1階に続く階段に向かう。
異変に気づいたのは階段の丁度真ん中あたりまで来たところだった。
下から物音がする。誰かがまだ起きてるのかなと、特に気にする様子もなくリビングに向かう。
ドアを開けると電気はついていなかった。
「あれ、誰もいない……」
気のせいか、と思い電気をつけると
”そいつ”は僕の目の前にいた。
「え…」
気づいた時にはそいつの拳が僕の頬にめり込んでいた。
ドン
鈍い音が脳内に響く。
何度も何度も顔を殴られる。
ドン
ドン
ドン
痛い、痛い!イタイ!
「や…」ドン「やめて…」ドン「くだ…」ドン
それからひたすら殴られた。
もう意識が朦朧としている。
最後に1人くらい友達がほしかったな。
なんて思いながら僕の意識は途絶えた。