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パラレルワールド

作者: 高野真志

 私は、ある遠い高校に1時間半かけて通っている。


 その通う際に乗っているときにバスでパラレルワールドに行ったことついて話そうと思う。


 いつもの通りに私はバスを待っていた。13年間繋がりのある友達、いや、もう親友といってもよい女の子がいる。名前は遥。その子の姉である、日和さんが私の後ろに並んでいた。


「こんにちは」


 といつもの通りに挨拶をした。彼女も挨拶を返してきた。


 ただ、いつもと違うところが一つある。大きな人形を持っていた。それも結構大きいやつである。彼女はにこにこしてそれを持っていた。


 私は、携帯を弄っていた。すると、遥から連絡がきた。


「私のお姉ちゃんいない?」


 私はすぐに返信した。


「いるよ。なんかおっきい人形持っているよwww」


 と返した。


 丁度バス停にバスがきた。私はカードをカードリーダーにかざしてバスに乗った。いつもの席に座る。自分の携帯を見る。そこまではいつも通りなのだが、ここから不可解なことが起きる——————


 自分の携帯を見ていたら急に意識がなくなった。


 ちなみにバスに乗ったのがpm1;00。降りる予定の時刻はpm2:30である。


 私の意識がなくなる前に遥から着信があった。


「そんな大きな人形を持って帰ってこられても困るんだよねwww」


 私は既読をつけるだけで何も返信をしなかった。というかその前に意識が落ちてしまった。その着信があったのはpm1;20。


 私が覚醒したのがpm1;40。いつもより寝起きがよかった。というよりも寝た感じがしなかった。


 また遥から着信があった。


「本当に大きい人形持って帰ってきたねwww」


 この着信があったのがpm1;30。あれ?前の遥からの着信があったのは確か・・・10分前だ。到着予定時刻よりこんなに早く家に着くはずがない。だってここからだと小1時間ほどかかるからである。私は後ろを見たが、乗っていたはずの日和さんがいない。


「もう着いたの?早いね」


 と返信したが既読がつけられるだけで返信は返って来ない。


 また意識が落ちてしまった。


 私が目覚めたとき異様な雰囲気がバスの中を取り巻いていた。周りを見ると後ろの席にお爺さんが一人無言でこちらを見ている。途中から仕事帰りの暗いサラリーマンが乗ってきて不気味だった。もう一つだけ変なことがあった。それは、ハングル文字と日本語が混ざっていて私では読むことのできない文字だった。でも、周りはいつもの風景だった。話している言語には、少し日本語の名残があるが、やはり意味が分からなかった。すると、後ろにいたはずのお爺さんが私に突然話しかけてきた。もちろん意味は分からなかった。


「なんですか?」


 と私が言ったらお爺さんはすごく驚いた顔で周りを見ていた。ほんとに挙動不審だった。その時に携帯で遥に連絡しようと文章を送ってみたのだが、携帯の中では普通の私が使っていた日本語だった。既読はついたがまた変な文字で返ってきた。


 いきなりお爺さんが私の携帯を取り上げ電源を切った。そして人差し指を立て自分の口元に持ってきた。


「しーーーー」


 と息を吐いていた。私に喋るなと言っているかのように。私はそれに従い、後は一切口を開かなかった。


 気づいたらもう目的の場所に着いた。バスのアナウンスが言ってることは分からなかったが自分の故郷なので外を見たらすぐに分かった。


 降りて、周りを見てもほんとに普通だった。すると、突然お爺さんが5歳の子どものような字で書いてある紙を私に渡してきた。


「ここはおまえのいるばしょじゃないかえれ」


 と書いてあった。私は携帯をつけてみた。すると、遥から大量に文章が来ていた。意味の分からない文字でそしてビックリマークがたくさん語尾についた長文が100件くらいきていた。すごく怖かったのを覚えている。なぜなら遥はビックリマークをたくさん語尾につけたりしないし、長文をたくさん送りつけてくる人ではないからだ。


 帰れっていったってどうしよもないからとりあえず自転車に乗って家まで帰ろうとしたが家の前に黒いスーツを着た大きな男が7から8人くらいいた。その男たちは私を見るなり、大きな声で叫び、走ってきた。私は一目散に自分の持てる最大の速力をもって逃げた。逃げ切った後、どうしようもなくとりあえず身を隠した。ゆっくりと思考回路を巡らせる。あの男たちがいたのはたぶん遥のせいだ。文章を送ったのは遥だけだし、お爺さんはそんなに早く動くことができないし、バスの中の人たちは気づかなかったし、あの男たちに知らせることができるのは唯一可能性がある遥だけだからだ。私はもう一度お爺さんからもらった紙を見た。


「じんじゃこい」


 と端に書いてある文字を見つけた。なにもできなく、見つかるのも時間の問題なのでとりあえず神社に向かった。


 町中には見たことがある役場の人がうろうろしていた。私を見つけようとしているのが目に見えて分かった。何とかその捜索網をかいくぐり、神社にたどり着くことができた。


 そこにはさっきのお爺さんと神主がいた。


「助けてください!!!!!」


 大きな声で頼んだ。すると私の手をつかんで境内の中に連れて行った。境内の窓からは、スーツの男が私を探しているのが見えた。神社の中にいることはバレているらしく、男が境内のドアを破ろうとしている。神主が抑えて、お爺さんと私は境内の奥に行った。


 そこには、小さな鳥居があった。お爺さんがその鳥居に入るように促してきた。もちろん私は鳥居に入り、その奥にあったおみくじを取った。その中には、なんと、私がいつも使っていた日本語が書いてあった。


「大吉 稲荷神に宝石をささげよ」


 と書いてあった。宝石はおみくじの中にあったやつを使った。狐の像が近くにあり、口に宝石をはめた。すると、眩い光が私を包んだその瞬間男たちは境内に入ってきてお爺さんと神主を捕まえた。少ししか見えなかったが、すぐに私の意識は落ちてしまった。


 気づいて周りを見ると、私は神社の境内の中に倒れていた。携帯を見ても遥から着信は一切なかった。あの変な文字も。


 辺りは薄暗かったので、家路を急いだ。いつも通りに母が迎え入れてくれて、なんかとてつもない安心感に包まれ、私は泣いてしまった。


 私は、このことを誰にも話さなかった。言ってはいけない気がしたからだ。


 数日たったある日、神社の神主と私の家の近くに住んでいたお爺さんが死んでしまった。私はすぐに気が付いた。あのとき助けてくれた神主とお爺さんだということに。私はテレビで、パラレルワールドと現実世界とは繋がっており、どちらかの自分が死んでしまうとどっちも死んでしまうことを聞いたことがあり、もしかしたらあの後捕まって殺されたんじゃないか、という思考がよぎった。ということは、私はパラレルワールドにいたということになる。


 いまでも信じがたい出来事ではあるが、私は本当にパラレルワールドに行ってたんじゃないか。と思っている。


 あのまま、あの黒いスーツを着た男達に捕まっていたら私も死んでいたんじゃないかと思い、そのことを思い出すたびに恐怖で震えて寝れない日々が続いている。


 あの時の記憶は今も鮮明に覚えていて、私は夢ではないと思っている。


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