ステータス
二人がカードに血を垂らすと、カードは光り輝き始めた。
突然の輝きに二人は目を閉じ、疑問を口にした。
「なんだ、この光は?」
「どうなってるんだろう?」
しばらくすると、光は落ち着き、ミリーは説明を始めた。
「これで登録が完了しました。先ほどの光は登録が上手くいった証です。これでお二人は迷宮に入ることが可能となりました。また、カードの登録ができたおかげで、お二人のステータスが見れるようになりました。」
「ステータスって?」
「ステータスとは簡単に言えば、能力を数値化したものです。」
「そんなことが可能なんですか?」
「可能なんです。百聞は一見にしかず。お二人ともステータスオープンと言って見て下さい。」
「わかりました。」
「わかった。」
「「ステータスオープン。」」
二人がそう唱えると、頭の中に何か見えるようになった。
アル
人間 Lv1
HP 12/12
MP 5/5
攻撃力 4(+5)
守備力 3(+2)
知力 6
速さ 7
運 7
武器 ナイフ 攻撃力+5
防具 布の服 守備力+2
レイ
人間 Lv1
HP 21/21
MP 0/0
攻撃力 7(+5)
守備力 6(+2)
知力 3
速さ 5
運 5
武器 ナイフ 攻撃力+5
防具 布の服 守備力+2
「どうです?お二人ともステータスは見えましたか?」
「はい、見えました。」
「すげえ、見えたぜ。」
「それがステータスというものです。この数百年の知識の蓄積で、HPがなくなると死んでしまうこと、魔法はMPを消費して使うことがわかっています。また、他の五項目の値はそれぞれの能力を数値化したものみたいです。」
「能力の値はどのくらいが普通なんだ?」
「そうですね、普通のLv1だとHPは15、MPは魔法が使える人で10くらい、使えない人は普通は0です。他の五項目はだいたい5が平均ですね。」
「なるほど、じゃあ僕はちょっと非力だけど、平均くらいなんですね。なぜかちょっとだけMPがありますけど。」
「俺もちょっと体力に自信あるくらいで、ほとんど平均くらいか。」
「なるほど、悪くはないですね。ただ、稀にステータスが軒並み平均の二倍以上っていう人もいるんですよ。」
「それどんな化け物だよ。」
「ただそんな方達でも『無限の迷宮』はクリアできていないんです。もちろん全ての人が亡くなったわけではないですが。」
「それだけ迷宮は過酷なんですね。」
「逆にすっげえやる気出たわ。アル頑張ろうぜ。」
「まあ、そうだね。やれるだけやってみよう。」
「やる気なのはありがたいんですが、初心者の方にはまず、ギルドのサポーターを連れて、迷宮探索の基礎を学んでもらいたいと思います。昔は登録が終わると、あとは冒険者の方の自由だったのですが、そうすると、一月もしないうちに八割の方が亡くなってしまっていたみたいです。そこで、四国で協議した結果、引退した冒険者に新人を教えてもらうことになりました。それが引き継がれて今もこういった新人研修を行っています。」
「なるほど。それはありがたいですね。特に僕達は村から出てきたばかりで、知らないことも多いですし。」
「それに生きていてこその冒険だしな。」
「人の意見を素直に受け入れることができるのは素晴らしいことです。いい人を紹介してあげますね。探索の研修は明日からでよろしいですか?」
「レイ。明日からでいいよね?」
「おう。」
「ミリーさん、明日からお願いします。」
「かしこまりました。では、手配しておきますので、明日は朝9時にこのギルドにお願いします。あ、それとまだお伝えしてないことは明日お伝えしますので。」
「わかった、それじゃあ。」
「わかりました。ありがとうございました。失礼します。」
レイとアルはミリーにそう言うと、ギルドから出ていった。