迷宮の街『セントラル』
『無限の迷宮』がある街の外の草原にある二人の少年の姿があった。
一人は黒髪が少し目にかかる長さで、少し垂れ目で優しそうな顔をしている。165㎝くらいの身長で細身の体型である。
もう一人は茶髪の短髪で、身長175㎝くらいのガッシリ体型で少し目付きが鋭い。
「やっと街が見えてきたな、アル。」
「だいぶ歩いたからほんと疲れたよ、レイは疲れてなさそうだね?」
「全然だな。アルはもう少し体力つけろよな。これから冒険者になるんだし、そんな身体じゃ迷宮の探索なんてできないぞ。」
「そうだよね、もうちょっと頑張らなきゃな。あ、あそこから街に入れそうだよ。」
「そうだな。さっさと手続きして中に入れてもらおう。んで、冒険者ギルドに行こうぜ。」
少年達が話しながら少し歩くと、前方には大きな門が見え、その門の横には鎧に身を包んだ男が立っている。
少年達が門に近づくと、中年の鎧の男が少年達に話しかけた。
「そこの少年達。もちろん君達も迷宮に挑むため来たのだろう?」
「当たり前だ。ここに来る理由なんて一つしかないだろ。」
「はっはっはっ。君は元気だな。まあ、そうだろうが門番としての仕事だよ。いちおう迷宮の街『セントラル』に来た理由を聞かないとな。」
「そんなものなんですかね。あ、街に入るのに何か必要なことってありますか?」
「ふむ、ここですることは何もないよ。そういったことは冒険者ギルドで全てがやることになるんだ。ところで君達はどこの国に所属するか決まっているかい?」
「いえ、全く。どこがいいとかあるんですか?」
「うーん、そうだな。君達だったら東の国『イースタン』かな。見たところ君達は近接タイプの戦い方が合ってそうだし。もしくは北の『ノーザン』かな。」
「見ただけで戦い方がわかるもんなんだな。」
「みたいだね。」
「はっはっはっ。なんたって私は門番だからね。少しばかり戦闘経験あればわかるもんだよ。」
「それよりも何で僕達には『イースタン』か『ノーザン』がおすすめなんですか?」
「四つの国にはそれぞれ特色があって、まず君達におすすめした東の『イースタン』は君達のような近接タイプの装備を整えやすいんだよ。東の王様がそういった武器の援助をしているからね。」
「「なるほど。」」
「で、次に北の『ノーザン』だけど、この国は武器とか防具っていう装備じゃなくて冒険に役立つアイテムの開発を精力的に行っていてね。君達の探索がより安全になると思ってね。」
「ちょっと質問なんですけど、一つの国を選ぶと他の国のものは買ったりできないんですか?」
「いや、そんなことはないよ。ただ、国からの援助がある場合とない場合で倍近く値段が変わってしまうんだよ。」
「そういうことですか、それは所属する国は大事ですね。」
「そういうことだ。だから今の君達なら装備を整えやすい『イースタン』か探索の補助アイテムを揃えやすい『ノーザン』にするべきだと思ってね。」
「すごくタメになります。」
「あと、他の二つの国だけど、南の『サウザン』は遠距離タイプの装備が整えやすくて、西の『イースタン』は魔法タイプの装備が整えやすいって感じかな。」
「俺達にはあまり関係なさそうだな。」
「だね。」
「あと言えることは、これから他の人とパーティーを組む可能性もあるからその兼ね合いも考えないといけないぞ。パーティーは同じ所属国じゃないと組めないからね。」
「たしかに、俺達は近接タイプだから遠距離タイプや魔法タイプが一人くらいいた方が便利かもな。」
「それを考えると僕達は少し苦労するけど、『サウザン』や『ウエスタン』の方が仲間を集めやすいかもね。」
「難しいな。」
「まあ、冒険者ギルドに行って話を聞いてみるといい。私よりも詳しく教えてくれるだろう。」
「そうですね。ギルドで話を聞いてから決めます。いろいろお話ありがとうございました。」
「ありがとな、おっさん。」
「君達みたいな若い子には死んでほしくはないからね。君達がちゃんと話を聞いてくれる子でよかったよ。冒険者ギルドは街の真ん中、迷宮の近くにあるからね。この道を真っ直ぐ行くといい。」
「わかりました。失礼します。」
「じゃあな。」
少年達は門番から話を聞き終えると、門番と別れ、街の真ん中に向かって歩き出した。