22の目
手に力を入れてシェーラの方へと向く。
「先程の言葉許せませんわ。シェーラさんあなた私がやったというのですが階段の件は先生方もご存知の通り私は保健室にその時刻いました。それにノートを裂いたりしたとのことですが誰が証人ですの?」
それを聞いたシェーラは得意顔で近くにいた取り巻きの一人を呼びます。
「わ、私が見ました!そちらのラフィーナさんがシェーラさんのノートと教科書をハサミで切り裂いていて!私、怖くて声をかけられませんでしたの!」
震える声で言う取り巻きな一人に生徒会の皆様は更に怒り顔になる。
「いつの事です?どこの教室で?」
「あ、えっと、あの、2年の最初の魔法の授業が終わった後の事です。そのままラフィーナさんが教室に残りになってた時にやっておりました。」
私に質問されるのは想定外だったようで私とシェーラが合う同じ授業を咄嗟に言っています。
「おかしいですねぇ。私、一年の最初の授業以来バルシェ先生から魔法の授業の免除を貰ってまして2年になってから1回も出てないのですが?それは他の誰かではなかったのですか?」
この言葉に何も言い返せなくなり取り巻きの方は顔を真っ青にしながらうつむいてしまう。
「シャルロットさんの件もですが、私前にバルシェ先生に沢山魔石を寄付しましてそれで記録石を作ってもらいこの学校の至るところにつけて頂きましたの。ほらやっぱりいじめは良くないですから。シャルロットさんの件もそこに映ってると思うので確かめさせてもらいましょう?」
この言葉にシェーラは慌てたが生徒会の皆様はシェーラの言ってることが正しいと思ってるわけです。
なのでサッサた立体投射機を用意させバルシェ先生に記録石を持って来てもらう。
「確か1ヶ月前のあなたの教室ですよね?その後は最近のあなたの部屋の廊下を見てみましょう。」
次々と投影していく。
だがその中のどれにもシャルロット先輩は映っていなく教室にも誰一人としてシャーラのものに触ったものはいなかった。
ドレスの件も誰もシャーラの部屋には入っていない逆に誰も部屋に入ってもいないに関わらず悲鳴を上げドレスが裂かれてると叫ぶシェーラ。
この時同室の人は辞めていてシャーラは一人部屋だった。誰も入ってないのになぜ引き裂かれているのか?誰が引き裂いたのか?そんなの分かりきってることだった。
自作自演。誰もがこの言葉を思ったことだろう。
「どういう事だ?シェーラ!」
生徒会長の怒声がシェーラに向けられる。
「あ、えっと、こ、これはその女の魔法よ!ラフィーナさんがシャルロット様に手を貸したんだわ!それにさっきのドレーユ様のグラスには毒が入ってたわ!入れたのはラフィーナさまだったのよ!」
負け時と言い返すシェーラに私は最後とばかりにある言葉を告げる。
「……私、グラスに毒を入れる事は出来ませんわ。
だって、私………………盲目ですもの。」
会場がさっきの比ではないくらいざわめく。
そりゃそうだろう今まで見えてると思っていた相手は目なんて見えてなかったのだから。
「そんな嘘!あなた見えてるでしょ!!普通にご飯とか食べてたじゃない!」
「私の目を見てみたらわかりますわ。焦点なんて定まって無いですし。何より私は一年最初の1、2回しか学食を食べた事はありませんわ!感覚でモノが何処にあるかは分かりますがそのものがどのような色をしているかまでは判断できませんの!私が盲目なのは先生方も承知の事実です!
今まで私やシャルロット先輩に言ってたことですがこれで全部嘘と判明しました!これ以上何をあなたは私達に言いますか?」
最初の得意げな顔から一転、今の顔は真っ青です。
そりゃそうでしょう。
勝つと思っていたものを言い返されあまつさえ大勢の前で逆に断罪。
「お前は私に嘘をついていたのか!この俺に!木の上の降りれなくなった子猫を救っていたお前に心を動かされ数々の優しい言動から婚約破棄まで言わせといてお前は俺に嘘の情報を与えていたというのか!」
ん?子猫?
「ドレーユ様。その子猫ってこの猫のことですか?東の中庭の木の上にいた。」
さっきまで黙って見てたセディーがポケットから子猫のベラを出す。
それを見たドレーユ様は見たことある猫なのか頷いている。
「この猫。木の上にいて衰弱してましたよ。」
まさに痛恨の一撃。
猫の件で心を動かされたと言うドレーユ様は更に怒りの顔でシェーラを見ています。




