おっさん尋問される
脱がされた拘束具が隅に放ってある。薄暗いコンクリート張りの部屋の中、初老の男が一人椅子に座らされ、両手を椅子の背もたれの裏に縛られている。顔には幾つものアザが出来ており、皮が切れて血が滲んでいる。正面の大柄な若い男の拳にも血が薄くこびりついている。
「いい加減教えてもらえませんかね。五條さん、貴方にこれ以上手間はかけたくないんですが」
室内にいるもう一人の爬虫類を思わせるような印象の細身の男が感情のない声をかける。
縛られている男が薄く笑いながら返す。
「だから知らねえって言ってるだろ?伊田さんよ」見た目に反してしっかりした声が部屋に響く。
瞬間、ゴツゴツした拳が頰にめり込み、肉の弾ける音が響く。
「おい、上林そこ変われ」細身の男、伊田が筋肉質の男に声をかける。
「もうですか?」
「いいからさっさとどけ」
上林が後ろに下がり、伊田が五條に近づく。
「五條さん、貴方をここに連れてくるまでに、うちの若いのが20人近く殺られた」
「どうせ捨て駒だったんだろ?」
五條の軽口を無視して、黒光りする自動拳銃を取り出す。
「で、どうすんだ?俺を撃つわけにはいかんだろう?」
「時間が無いのでね、まず足の親指です。」
銃口を、下に向ける。
「もう一度聞きます。ワクチンの場所は?」
「だから知らねえよ」
部屋に乾いた銃声が響き渡った。
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